August 28, 2012 / 3:41 AM / 7 years ago

ブログ:円高無策と日本のお家芸「製造業」の衰退

星 裕康

写真は2009年7月、東京の家電量販店で(2010年 ロイター/Toru Hanai)

主力の液晶テレビ不振で経営不安が顕在化したシャープ(6753.T)。来年9月に総額2000億円に上る転換社債(CB)償還を控え、資金繰りへの懸念が浮上している。

経営立て直しに向け、台湾の鴻海精密工業(2317.TW)との資本・業務提携の強化や、主力行の支援と引き換えに、大規模なリストラは不可避な情勢だ。シャープは2日の決算で発表した約5000人の削減に加え、3000人規模の追加削減を検討している。

リストラはシャープだけではない。ソニー(6758.T)も2012年度に国内外で1万人規模の削減を検討。電機業界は各社とも数千人単位で人員削減に向けた動きが明らかになっており、まさにリストラの嵐が吹き荒れている。

日本のお家芸といわれた製造業の衰退──。今年2月には国内半導体大手のエルピーダメモリが経営破綻した。中核事業の低迷に加えて、長引く円高で輸出企業の価格競争力が低下し、経営体力が消耗していく構図は同じだ。政府・日銀が一体となった円高対策が待たれるが「このままだと、第2、第3のシャープが出てきても不思議ではない」(国内証券の株式関係者)と危機感を抱く市場参加者は少なくない。

5月以降の欧州債務危機や世界景気懸念を背景にしたリスクオフの強まりで、円相場は1ドル=80円割れの高値圏で推移している。ひと頃の円高圧力は弱まっているが、政策当局が80円割れの水準に満足しているというわけではなかろう。日本銀行の金融政策目標には、通貨価値の安定がある。いわゆる「通貨の番人」としての役割だ。

しかし、その「通貨の番人」はかつての話だ。リーマンショック以降、政府の財政政策余地が徐々に狭まった結果、日銀をはじめ各国中央銀行の金融政策がいまや国家成長を下支えしている。物価目標を達成するためには、企業活動を活発化し、総需要を喚起することが必要なのだろう。

日銀が2010年10月に打ち出した包括的な金融緩和策では、基金を通じた国債や社債・CPをはじめとする多様な資産買入と共通担保資金供給で、長めの市場金利低下と各種リスクプレミアム縮小を狙った。しかし、資産買入に基準が設けられていることもあり、「経済活動の潤滑油となるべき資金が本来必要な所に回らずに根詰まりを起こしている」(国内金融機関のクレジット関係者)との指摘もある。

社債市場では、国債に対する上乗せ幅(スプレッド)で二極化が鮮明になっている。日銀の社債買入対象銘柄や優良銘柄が10─20ベーシスポイント(bp)で推移する一方、財務や業績に不安を抱える企業にワイド化圧力がかかっている。優良企業の資金調達コストが低下するだけで、二極間における資金調達コストの格差はむしろ広がっている。

「亀山ブランド」で世界に名をはせ、液晶の雄と呼ばれたシャープの凋落。「資金繰りさえメドが立てば、ひとまず最悪のシナリオを回避できる」(同クレジット関係者)との指摘もある。工場だけが国内に残り、シャープの高い技術力が海外に流出するといった事態は回避して欲しいところだ。製造業の衰退について、みなさんどう考えていますか。

(東京 28日 ロイター)

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