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インタビュー:アジアは競争激化で数年厳しい=野村HD・CEO
2012年9月12日 / 04:27 / 5年後

インタビュー:アジアは競争激化で数年厳しい=野村HD・CEO

[東京 11日 ロイター] 野村ホールディングス(8604.T)の永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)は11日、ロイターとのインタビューで、成長戦略の中心に位置づけるアジアの投資銀行業務について、多くの金融機関のアジア進出により競争が激化し、数年は大きな利益を出すのは困難との見方を示した。

9月11日、野村ホールディングスの永井浩二グループCEOは、成長戦略の中心に位置づけるアジアの投資銀行業務について、多くの金融機関のアジア進出により競争が激化し、数年は大きな利益を出すのは困難との見方を示した。写真は7月、都内で撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

10億ドルのコスト削減を予定通り1年半で完了し、ビジネス基盤を確立した上で、2016年までにアジアで黒字化を目指すと述べた。

永井CEOは、2050年にはアジアが世界の国内総生産(GDP)のおよそ半分を占める規模に成長する見込み(2010年は28%)であることに加え、顧客ニーズがアジアに向かっているのに伴い、投資銀行業務の市場規模(フィープール)の成長も期待できることから、野村にとってアジアが成長の源泉になるとみている。

また、世界的に加速する金融規制の内容については、今秋の米大統領選挙の結果に左右される可能性を指摘した。ただ、野村の経営は、レバレッジを利かせ、トレーディングや自己資金投資を行ってきた海外の投資銀行とは異なり、豊富な個人の金融資産が預貯金に滞留する中でリテールとホールセールが共存する特殊なケースであり、「世界的に言われている投資銀行ビジネスモデルの崩壊の話とは全然違う」と語った。

主なやりとりは以下の通り。

──野村は総額10億ドルのコスト削減の45%を欧州で実施し、日本・アジアで成長を求める戦略を打ち出した。アジアの投資銀行業務は競争が激化しているが、どう稼ぐのか。

「そんなにすぐ2015年や16年までに大きく稼げるとは思っていない。まずはアジアのホールセールを黒字化することが目標だ。14年3月期までに(10億ドルの)コストを削減し、適正サイズにする。その作業が終わった後、少なくともアジア単体で黒字化を目指す」

──投資銀行業務はアジアでもうからないと言われるが。

「アジアは2050年までに世界のGDPの半分を占めるようになる。今、投資銀行のフィープールは圧倒的に米州が大きいが、アジアも当然大きくなるとみている」

──競争が激しく手数料の割引競争は激化しないのか。

「アジアには地域で圧倒的なシェアを持つ地元の証券会社がなく、プライスリーダーがいない。米国ではゴールドマン・サックス(GS.N)やメリルリンチ、欧州ではドイツ銀行(DBKGn.DE)やUBSUBSN.VXなど大きな金融機関があり、外から見れば日本では野村もある意味そうかもしれない。しかし、アジアには今そのような存在がない。だから皆が参入し、フィーのたたき合いになり、スプレッドが非常に薄い。これでフィーが伸びなかったら皆撤退するだろう」

──野村はプライスリーダーになるのか。

「プライスリーダーになれるかは別だが、たぶん数年はしんどい。当たり前だ。皆参入してくるのだから。そんなにすぐ2─3年でアジアで大きく稼げるとは正直、思ってない。しかし創業90周年(16年3月期)ぐらいにはアジアで黒字化、海外を黒字化しなければならない。(16年3月期までに)EPS(1株当たり当期利益目標)を50円にすると掲げているのだから」

──アジアの投資銀行業務における提携や買収は。

「現時点では何も検討していない。ただ、常にあらゆる可能性は検討する。よく聞かれるが、アジアで買収をしますか、銀行傘下に入りますか、野村不動産や野村総研の売却は──に対する答えはすべて同じ。常にあらゆることを検討する。すべてメリット、デメリットを含めて検討しているが、現時点で具体的な答えは持っていない」

──欧米のM&A(合併・買収)業務で全てのセクターをカバーせず、一部に限定する戦略に変えた。カバーできない部分を補完するため他の独立系M&Aブティックと提携は。

「それは可能性はゼロではない。ある意味、効率的だと思う。ブティックと資本関係なしに業務提携だけすると、収入は半分になる。しかし、お互い良いところを取りましょうという話は、あれば当然考える。ただ、現時点では何も決めていないし、具体的な話は何もない」

──証券業の5─10年後をどうみるか。リサーチ部門のスピンオフや銀行と証券の分離論など、世界中で業界が変貌しようとしている。

「米国の大統領選挙でどちら(の政党)が勝つかによって若干変わるかもしれないが、世界的な金融・資本規制はどんどん強化されるだろう。おそらくゴールドマンやモルガンスタンレー(MS.N)などに代表される、レバレッジをかけてリターンを取りに行く従来型の投資銀行のビジネスモデルは辛くなる」

「野村型のビジネスモデルはやや違う。日本の家計部門には資産が約1500兆円もある上、国民性もあってその9割近くは預金・保険にある。有価証券にはわずか11%の資産しかないという非常にユニークな状況の中、(野村は)高いシェアを持つ。そして、それにホールセール業務が寄って立つ車の両輪型のビジネスモデルだ。日本はさらに特殊で、法人に対する銀行の影響力が強いが、(野村が)いてくれないと困ると指摘される。日本という特殊な国で、このような存在価値がある当社のビジネスモデルは、実はまだ十分に競争力があると考えている」

──これからもそうか。

「これからも(競争力は)あると思うし、世界中で言われている投資銀行ビジネスモデルの崩壊の話とは全然違うと思う。また日本の発行体(企業)は成長を外に求めようとしており、アジアに対するニーズは非常に強い」

(ロイターニュース 江本 恵美、ネイサン・レイン、編集:山川薫)

*写真を差し替えて再送します。

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