Reuters logo
インタビュー:日銀の外債購入問題多い=武藤・大和総研理事長
2012年9月12日 / 07:12 / 5年後

インタビュー:日銀の外債購入問題多い=武藤・大和総研理事長

[東京 11日 ロイター] 財務事務次官と日銀副総裁を務めた武藤敏郎・大和総研理事長は11日、ロイターのインタビューに応じ、日本経済の下振れリスクは高まっているが、直ちに追加の金融緩和が必要な状況ではないとの見方を示した。

9月11日、財務事務次官と日銀副総裁を務めた武藤敏郎・大和総研理事長は、日本経済の下振れリスクは高まっているが、直ちに追加の金融緩和が必要な状況ではないとの見方を示した(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

日銀は「必要な政策を実現している」と評価した上で、今後取りうる追加緩和手段として時間軸政策の強化や、短期の国債を売り長期を買うツイストオペなどを挙げた。日銀による外債購入は問題が多いと指摘、急激な為替変動が起きていない現状では政府による為替介入も難しいとの認識を示した。

インタビューの詳細は以下のとおり。

──海外経済の見通しは。

「中国は欧州依存度が高いので輸出が減速、輸入も落ち込んでいる。今後はかつてのような9%ないしそれを超えるような経済成長は期待しにくい。第2・四半期の成長率は7.6%。当社として2012年に8%程度の成長を実現できるとみているが、8%を下回るリスクはある。中国政府は、資源やエネルギーをふんだんに使う『粗放的』経済成長モデルを転換する必要性に気付いている。成長率が例えば6%を下回ったりすれば大変だが、7.6%でも大規模な財政出動を行う様子はなく、8%程度ならば均衡的に発展できる水準と考えているようだ」

「米国経済もリーマン・ショック後の立ち上がりはかんばしくなく、世界経済は4%台の成長から3%台の成長に当面減速していくとみている」

──日本経済の見通しは。

「4─6月期GDPの改定値公表を受け、当社では2%達成が可能とみていた12年度成長率を1.8%に、13年度成長率を1.2%に若干下方修正した。足元の減速は明らか。日本経済の直面するリスクは4点。1に欧州情勢のさらなる悪化、2に地政学リスクによる原油価格急騰、3に現在70円台後半でひところより安定しているものの、円高、4は電力供給問題」

「物価の動向は、2012年度の消費者物価指数(コアCPI)でゼロ近傍、13年度もゼロに近いプラスとみる。日銀は今年春から夏にかけて14年度に1%の目標を達成できるとみていたが、現時点ではやや楽観的にすぎるのではないか」

──日銀による金融緩和の必要性、今後の政策手段は。

「下振れリスクは春、夏より少し高まっているが、今すぐに政策対応が必要とは考えていない。問題は12─13日の連邦公開市場委員会(FOMC)でどのような政策が取られるか。日銀は10月末の『展望リポート』で経済・物価見通しを下方修正する可能性がある。目標とする物価上昇率1%の達成が遠のいたとの理由で追加緩和を議論する可能性がないとはいえない」

「日銀が今後取りうる政策対応として、短期の国債を売り長期を買うツイストオペや、時間軸政策の強化などいろいろ考えうる。量的緩和に限界があるなら、信用緩和の手段としてリスク性資産の買い入れも選択肢。金融政策に限界があるとは思っていないが、それだけで日本経済を力強く変化させられるとも思っていない。規制緩和などの構造改革なども重要」

──金融緩和の副作用をどうみるか。現状の日銀の政策をどう評価するか。

「非伝統的金融政策は、効果も明らかでないかもしれないが、副作用も明らかではない。直近インフレが急激に起こるリスクは小さいため、政策当局者としては効果と副作用を比較し、効果の方に期待して行動する必要がある」

「日銀の金融政策については、市場との対話などに若干の課題があるものの、かなりいろいろ必要な政策を実現しており、評価すべき。FRBも日本の金融政策を勉強している。物価が上昇するまで無制限に金融緩和を続けるよう主張する極論は少なくなっていると思うが、そのような政策は失敗する可能性が高い。信用創造のメカニズムが働かなければ日銀がマネーストックを勝手に増やすことはできない。ベースマネーを増やすのも限界がある。量を増やせばよいというのは、例えば補正予算による財政出動をできるだけ大規模なものにすべきとの主張に似て無責任」

──円高対策としての日銀による外債購入や政府の為替介入をどう見るか。

「日銀による外債購入は問題が多い。外債購入を主張する人は為替に言及しており、為替を目的としながら『金融緩和政策』と呼ぶのは、マーケットの信認を得られない」

「為替に働きかけるのであれば為替介入が本来の手段。しかし現在は急激な為替変動は起きておらず、為替介入は難しい。為替介入は急激な為替変動に対応する手段。為替の水準は市場で決まるものであり、為替の水準が適切でないから介入するというわけにはいかない。日米金利差は為替レートに影響を与えるため、金融政策は為替に無縁ではない。しかし金融政策の目的は物価の安定とそれによる経済の持続的発展であり、その結果として為替水準が決まる」

(ロイターニュース 竹本能文、木原麗花;編集 内田慎一)

*写真を添付して再送します。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below