September 19, 2012 / 4:51 AM / 7 years ago

日銀が追加緩和、買い入れ基金10兆円増額:識者はこうみる

[東京 19日 ロイター] 日銀は18、19日に開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の10兆円増額による追加緩和策を全員一致で決定した。国債など金融資産の購入原資となる基金の規模を10兆円増額、従来の70兆円から80兆円に引き上げた。

9月19日、日銀は開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の10兆円増額による追加緩和策を全員一致で決定した。写真は日銀本店。3月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●円安を後押し、長国の入札下限金利を撤廃

<第一生命経済研究所 主席エコノミスト 熊野英生氏>

今回の日銀の決定は、欧米の金融緩和で円安に傾いた為替の流れを後押しする格好となっている。長期国債の入札下限金利の撤廃がマーケットに効いている。長期金利低下に伴い、現時点では日米金利差が再び拡大する格好となり、それが円安の作用をもたらしている。円安・緩和期待で主力輸出株を含めて株価も上昇しており、適切な対応だと思う。

いわゆる時間軸における量的な供給を明示し、基金規模を通じて資金供給のインパクトを鮮明にしたほか、固定金利オペは減額せず、日銀の積極さをアピールする形となった。

●欧米に比べ緩和規模は物足りないが同調姿勢を評価

<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>

日銀は追加緩和を決定し、資産買い入れなどの基金を10兆円程度増額した。欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)による無制限・無期限の金融緩和と比較して緩和の規模が物足りない印象だが、欧米中銀に同調して動いたことをマーケットは評価している。一部では10月の展望レポートと同時に緩和するとの見方があったが、日銀は市場の動向を考慮したということだろう。

日経平均が8月20日の高値9222円87銭を上抜いたことで、チャート上は下値・上値を段階的に切り上げ、きれいな形となっている。日米欧の追加緩和により市場センチメントが改善し、今後は中国の反日デモなどの問題をこなしながら、上値を試す展開を想定している。目先は5月2日─7日のマド(9206円45銭─9344円53銭)埋めを達成し、9月中にも9500円を目指すとみている。

●緩和効果に疑問残る

<みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>

今回の日銀の追加緩和決定は、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)が思い切った金融緩和を行った後なので、背中を押された面があったようだ。景気判断を下方修正したことで、金融緩和と整合性を取ったことになる。

長期国債の下限金利撤廃で、金利の低下余地が発生し、オペの札割れも回避されていくだろう。長期国債買い入れ期限を2013年12月末に延長したので、追加緩和政策がイメージできるという点では、打ち止め感はない。

日中関係で閉塞感が強まっていたときだけに、良い意味での刺激を与えたとは思うが、緩和の効果に関しては疑問が残る。外為市場での円安誘導、景気刺激効果は限定的とみている。

●社債買入オペの下限金利撤廃、サポート要因だが効果は懐疑的

<BNPパリバ証券 チーフクレジットアナリスト 中空麻奈氏>

日銀は金融政策決定会合で、社債買い入れオペの入札下限金利(現行0.1%)の撤廃を決めた。クレジットのサポート要因に違いないが、効果は懐疑的と言わざるを得ない。

そもそも投資家が買い取って欲しいと思う社債と、日銀が買い入れる社債とのギャップが存在する。その差を埋めきれなければ、これまでと何ら変わらないのではないか。買い入れ基準を大胆に緩和するなどの措置に踏み切らなければ、緩和していくという姿勢を示すアナウンス効果にとどまる。

オペの札割れを回避できるかどうかについても微妙だ。投資家が買い入れ対象となる社債を多く抱えているとは思えない。

●ドル円は底堅い動きへ

<みずほ証券 FXストラテジスト 鈴木健吾氏>

日銀が資産買入等基金の10兆円増額を決めた。満点はどこにあるかわからないが、市場の予想を上回る結果となったのは確かで、ドル円はそれに素直に反応して円安方向に振れた。ドル円の底固めに一定の効果があったとみていい。

欧州中央銀行(ECB)の無制限や米連邦準備理事会(FRB)の無期限に比べれば、日銀の緩和は若干見劣りするが、積極姿勢を示したことは、消去法的な円買いをある程度食い止めて、ドル円を下支えする要因になる。

米連邦公開市場委員会(FOMC)後、米長期金利は下がらず、ドル円は底堅い動きになっている。この緩和で一気に円安とはいかないものの、今後、底堅さを増していくのではないか。

●思い切った緩和策、円債への影響は限定

<大和証券・金融市場調査部チーフストラテジスト 山本徹氏>

日銀は展望リポートと合わせて追加緩和という美しいストーリーを描いていたと思うが、欧州中央銀行(ECB)理事会と米連邦公開市場委員会(FOMC)でいずれも「前倒しで、無制限」という積極的な緩和姿勢を示したことで、日銀も従来のスタンスにこだわらず、思い切った緩和策を打ち出したとの評価だ。

日銀は内外から緩和に消極的との見方が強かっただけに、日銀は変わったと市場に受け止められるかもしれない。日銀としては、海外経済の減速リスクを警戒。中国の反日デモによる影響が懸念される中で大義名分が立ちやすかったのだろう。

緩和策の内容をみると、長期国債と国庫短期証券の買い入れをそれぞれ5兆円増額。長期国債買入の入札下限金利を撤廃した。為替と株価が大きく動いたが、円債の反応は限られている。日銀買入対象となる3年まではすでに0.1%で張り付いている。下限金利が撤廃されても、超過準備の付利が0.1%に設定されている以上、国内投資家が0.09%、0.08%といった利回りで買う理由が見当たらない。基金の増額は既定路線だったため、円債への直接的な影響は限定的だろう。

●ドル円は米経済指標次第の側面も

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア為替・債券ストラテジスト 植野大作氏>

海外勢はともかく、国内勢はこのタイミングでは見送るとの予想が多かったので、タイミング的にもサプライズだったし、金額の10兆円も市場予想より多かった。これに反応してドル円は上昇。日銀が緩和合戦についていくという姿勢をみせたことで、ドル円の下値リスクは軽減された。

もっとも、米国は年内くらいは「財政の崖」解消に向けた不透明感がどうしても安定的な景気回復期待を阻害する形になってしまう。下値リスクが軽減されたとはいえ、今後出てくる米国の経済指標の結果次第ではもう一度介入警戒感とのにらめっこ相場になる可能性も残っている。

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