September 21, 2012 / 5:32 AM / 7 years ago

期待と不安、政策効果と景気減速の狭間で揺れる市場センチメント

[東京 21日 ロイター] 政策効果期待と景気減速懸念の狭間で市場センチメントが揺れている。

9月21日、政策効果期待と景気減速懸念の狭間で市場センチメントが揺れている。今月14日撮影(2012年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

「無制限」買い入れという大胆な米欧中央銀行の積極姿勢は引き続き好感されているものの、景気減速感の強まりから、本格的なリスクオンにも移りにくい。在庫調整の一巡や米住宅市場の回復を確認するには時間が必要であり、市場には再びこう着感も漂い始めている。

<乗り遅れを警戒する投資家>

材料一巡感が広がってはいるが、市場のリスクオンムードが消えたわけではない。「今買わないと乗り遅れるとみて、買い遅れている投資家はリスクオンに傾いている」(大手証券株式トレーダー)という。

21日前場の日経平均.N225は反発。円高や景気減速への懸念は強いものの、上海総合指数.SSECが切り返すと上げ幅を広げた。海外市場では、米ダウ.DJIが終値で5年9カ月ぶり高値水準となるなど、高値警戒感が強い中でも依然堅調だ。欧州の主要株価指数は反落したものの、リスクの高さを示すEUROSTOXX50ボラティリティ指数.V2TXが7月中旬以来の低水準となったことで、相場が今後上向く可能性が示唆されたと受け止められている。

株価の下値不安が後退したのは、欧米中銀の大胆な施策が背景だ。欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)が、条件付きながら重債務国の国債やモーゲージ担保証券(MBS)などを「無制限」に購入すると決めたことが市場に衝撃を与えている。実体経済に与える効果については見方が分かれているものの、「無制限のインパクトは大きい。米量的緩和第1弾(QE1)、QE2以上の効果をもたらす可能性がある」(国内投信)との受け止めも多い。少なくとも積極的なリスクオフはいったん控えられており、株式などリスク性商品は底堅い動きとなっている。

為替市場でも、今週はドルと円が共に強く、クロス円が下落する展開となっており、先週までのリスクオンの流れがリスクオフに転じているようにも見えるが、JPモルガン・チェース銀・債券為替調査部チーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏は、地合いは依然リスクオンだと話す。株価が高値圏であるほか、投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー(VIX)指数.VIXも低いと指摘。「今週の為替相場の動きは、リスクオフモードへの転換ではなく、先週までの動きの一時的な調整にすぎない可能性が高い」という。

<警戒感残り、商いは再び減少>

ただ、リスクオフではないにせよ、QE1やQE2が導入された後のような本格的なリスクオン相場がまだ見られないのも確かだ。今回、QE3が発表された後、米10年債金利はいったん1.8%台に上昇したものの、前回の金融緩和当時とは異なり、上昇は長続きせず、再び1.7%台に低下している。日本の10年債金利も0.8%付近でこう着気味。景気減速感は日増しに強くなり、政策効果期待との綱引きとなっている。

9月9日─9月15日の対内中長期債投資で海外勢は5217億円買い越した。買い越しは4週連続。三菱UFJモルガン・スタンレー証券・債券ストラテジストの稲留克俊氏は「米欧中のPMIがさえない内容となり、市場の関心が世界の実体経済に移っている」と指摘。海外勢の債券買いはこうした動きと整合的だという。

日本の株市場でも「ショートセルは少ないが、海外ロング勢からの売りが目立っている」(外資系証券株式トレーダー)といい、慎重な動きが指摘されている。

欧州債務問題はイタリアなど欧州の経常収支が改善していることもあって小康状態だが、グローバル経済全体で見れば、ネガティブな影響ももたらしている。経常収支の改善は貿易収支の改善が要因であり、貿易黒字増加の背景は輸出増ではなく中国などからの輸入減だ。「欧州重債務国の国債発行をまかなうマネーの動きとしては好材料だが、中国が犠牲になっているとも言える。中国経済が減速すれば日本も悪影響を受けざるを得ない」とT&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は指摘する。

日本の8月貿易収支は中国や欧州連合(EU)向け輸出が大幅に減少し、7541億円の赤字となった。単月の赤字額としては過去7番目の大きさだ。

日経平均の予想PER(株価収益率)は約12倍前半と比較的低いが、依然として欧米株に対する出遅れ感は強いままだ。「現在の為替水準であれば業績下方修正もそれほど心配しなくていい。日本株は割安感も出る水準だ。それでも買われないのは円高再進行などへの懸念が強く、業績にも不安が残るからだろう」とインベストラスト代表取締役の福永博之氏はみている。

金融緩和による潤沢な流動性は株式市場にとってポジティブな要因だが、実体経済や企業業績の下振れ懸念が残るうちは本格的なリスクオンには移りにくく、市場には再び様子見気分も広がってきている。

東証1部売買代金は20日まで4日連続で1兆円を超えていたが、21日前場は4443億円と再び大台割れペースに戻ってしまっている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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