September 21, 2012 / 9:57 AM / 7 years ago

アングル:野田氏再選も政権運営は崖っぷち、特例公債法「秋の陣」

[東京 21日 ロイター] 民主党代表選は野田佳彦首相(代表)が全体の3分の2の票を集め、1回目の投票で再選が決まった。しかし、足元の政権運営は厳しさを増している。党内での基本政策の対立は代表選でも表面化、新たな離党者が出る可能性も指摘される。

9月21日、民主党代表選は野田佳彦首相(代表)が全体の3分の2の票を集め、1回目の投票で再選が決まった。しかし、足元の政権運営は厳しさを増している(2012年 ロイター/Toru Hanai)

衆議院議員の離党者が9人を超えれば国民新党を加えても少数与党に転落し、内閣不信任決議案の可決が現実味を帯びる状況だ。

一方、衆院解散時期は秋から「来年の通常国会冒頭」に後ずれするとの観測も増えている。早期解散を迫る野党との間で、特例公債法案、違憲状態の「一票の格差」是正、補正予算案編成などをめぐる攻防が続く。

<内外に待ち受ける政策課題>

再選された野田首相にとって、山積する政策課題の中で、最も急がれるのが予算執行に欠かせない特例公債法案の成立だ。政府は9月から予算執行の抑制を始めたが、法案が成立しなければ11月末には財源が枯渇する危機的状況。違憲状態とされる「一票の格差」是正など衆院選挙制度改革も、総選挙前の必須の課題とみられている。

さらに、尖閣諸島の国有化をめぐる日中関係の悪化は、中国での反日デモの高まりにより日本経済に深刻な影響を与え始めた。領土問題をめぐる日韓関係の悪化も表面化しており、「外交の立て直しこそ急務だ」(財務省OB)との声が広がる。政府内では、景気減速下での円高進行への警戒感も強まっており、景気下支えのための補正予算編成の必要性も含め、内政・外交両面から課題が待ち受ける。

さらに原発・エネルギー戦略では、「30年代に原発ゼロ」を目指すとの政府方針をいったんは決めながら、内外の調整不足で閣議決定できず、事実上白紙に戻ってしまった。党主導で脱原発時期の明記を決定しただけに、党内融和の火種も残る。

代表再選を決めた後、野田首相は「重たい職責を緊張感をもって果たしていきたい」と決意を表明。まずは党役員人事で態勢を固め、3党党首会談で3党合意の再確認をしたうえで、内閣改造に踏み切り、足元の態勢を再構築する考えだ。

<解散時期は年越しの声>

こうした中、衆院解散時期については「今秋」から「来年度予算案の衆院通過後」(野田陣営)との観測さえ出てきた。後ずれの最大の理由は違憲状態にある「一票の格差」問題の是正だ。

野田代表の選対本部長である藤井裕久最高顧問は、「一票の格差」の違憲状態解消なしに解散はできない、が持論。このため、秋の臨時国会で、選挙制度見直しの改正法案が成立しても、区割り審による見直しの議論には3─4カ月かかるとみられるため、解散時期は来年に持ち越すとの観測が強まっている。

引退を表明する直前に野田首相と面談した与謝野馨氏は解散時期について「年を越す可能性が出てきた」(9月4日インタビュー)と見通した。岩井奉信・日本大学法学部教授も「11月ごろの解散とみているが、解散時期が遠のいてきた感じがある」と述べている。

野田首相はまた、代表再選後の会見で、「違憲とされる格差是正は最優先だ」としながらも、「定数削減も実現させたい」として、3党合意をした政党にも問題意識を共有してもらうよう交渉したいとしている。

<離党に歯止めかけられるか>

一方で、党内の亀裂は決定的に見える。代表選の論戦で、原口一博元総務相は「消費増税は一回凍結し、主権者に判断を仰ぐ」など政府方針を覆す議論を展開。党内の議論を踏まえて決定した政府方針への批判に野田首相はたびたび露骨に反論した。与党からの政権批判は、「これだけ基本政策で対立してひとつの政党か。政権党と思えない。政権を担う資格はない」(野田毅・自民党税調会長)と、野党には格好の批判材料となった。

衆院での民主党の現有議席は247。「日本維新の会」への合流を決め、既に離党届を出した2議員と離党の意向を公式に表明した1議員を除けば244議席。これらの議員を除いて新たに6人が離党すれば単独過半数を割り込み、9人以上が離党すれば、連立を組む国民新党(3議席)と合わせても、少数与党に転落。内閣不信任案が可決され得る状況に陥る。

代表選の結果判明後、原口氏は「政権運営に一兵卒として協力する。民主党を変えてこそ私たちの使命」と述べ、あらためて離党する考えがないことを明言した。新執行部が次の衆院選に向けて、党内結束を高めることができるかが焦点になる。

<自民党新総裁の解散戦略も焦点に>

重要法案の成立に向けては、自民・公明の協力が得られるかも次の焦点だ。自民党総裁選を戦う候補者の間で解散戦略には微妙な違いがみられる。地方票で先行しているとみられる石破茂前政調会長は、特例公債法案への対応に関し「予算は成立した、しかし、借金する法案が成立せず予算が執行できないのはあるべき姿だと思わない」と指摘。「解散は一日も早くあるべきだが、解散しないから審議に応じない、協力しないというのは日本にとって良いことではない」と柔軟だ。

これに対して、石原伸晃幹事長は「民主党の代表選でどれだけのアンチ野田票が入るか。そののち何人離党するか」をみたうえで、民主党単独での安定過半数を下回る事態に追い込まれれば、自民・公明の協力なしには、野田首相が編成を明言した補正予算が組めないと見通し、「適切な時に解散を打ってくるのではないか」と語っている。

野田首相は今夕から党役員人事に着手する考えを表明。衆院選と参院選をにらみ、選挙対策に力を入れる意向を示した。国連総会出席のため訪米する24日までに幹事長などの党役員人事を選任する考えだが、輿石東幹事長の処遇が焦点となる。米国から帰国後の28日以降には、内閣改造に踏み切る方針。「すべての人の力を政権運営と党運営に結集させたい」とチーム力の結集を呼びかけた。

自民党の新総裁が26日に決まった後には、民・自・公党首会談を呼びかけ3党合意について再確認を行う予定。重要法案について野党の協力関係が構築できるかが焦点だが、野党側は谷垣禎一自民党総裁との間で交わした「近いうち解散」の再確認を求めるとみられ、月末から再び解散政局が動きだす。

(ロイターニュース 吉川裕子 石田仁志:編集 佐々木美和)

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