December 12, 2011 / 7:07 AM / 8 years ago

EU首脳会議、財政規律強化で合意も市場不安払しょくには力不足

[ベルリン 12日 ロイター] 先週の欧州連合(EU)会議では、ユーロ圏の経済統合に向けた大きな一歩が踏み出された。ただ、市場参加者の間では、こうした対応により現在の危機を収束させるには既に手遅れで内容も力不足との見方がある。

 12月12日、先週の欧州連合(EU)会議では、ユーロ圏の経済統合に向けた大きな一歩が踏み出された。写真はEU旗。ブカレストで8日撮影(2011年 ロイター/Bogdan Cristel)

首脳会議は、ユーロ圏17カ国と他の複数の国が財政規律強化に向けた条約締結を目指すことで合意したが、アナリストはこの長期的な対応が現在の債務危機を解決できるか、疑問視している。

メルケル独首相はクリスマス前にまた首脳会合を開催することはない、との見方を示しているが、EU当局者は、市場の圧力により首脳陣は会合の開催を余儀なくされる、と予想する。

9日の株式市場は、首脳会議が終わりに近づくにつれ買いが膨らんだ。一方、イタリアの借り入れコストには上昇圧力がかかった。首脳会合での合意が意味するところは、今後数週間の市場の動きで一段と明確になるだろう。

EU首脳会議は、EU加盟国が相対融資を通じてIMFに2000億ユーロを追加拠出することで合意。さらに、欧州安定化メカニズム(ESM)を1年前倒しで2012年半ばに常設させることでも合意した。加えて、既存の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の拡充により、イタリアやスペインなど債務問題を抱える国の救済を目指す。

ただ、EU首脳会議を経ても課題は山積だ。イタリアだけでも来年2月から4月の間に1500億ユーロの債務借り換えが予定されている。一方、ESMの運用開始には来年半ばまで待たなければならない。EFSFへの出資を積極的に検討している海外投資家は現時点ではほとんど見当たらない。

さらに、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日、独仏を含むユーロ圏15か国の長期ソブリン格付けを「クレジットウォッチ・ネガティブ」に指定しており、EU首脳会議後できるだけ早急に格付け見直しを行うとしている。市場で今週、投資家の警戒姿勢が強まることは間違いない。

ヘッセン・チューリンゲン州立銀行(ヘラバ)のMarkus Reinwand氏は「前回のEU首脳会議と同じだ。首脳会議前に価格は上昇し、会議後に売られるパターンだ」と語った。

<クリスマス休暇返上>

首脳会合での合意は加盟国のそれぞれの議会で承認される必要があるが、各国レベルで承認をとりつけることがいかに難しいかは、これまでにも既に明らかになっている。

財政規律の強化を各国の法律で義務付けたりIMFへの2000億ユーロの拠出の詳細をつめるなど、未決定事項がたくさん残っている。

ドイツを例にとると、IMFへの拠出規模はまだ確定していない。政府とドイツ連銀は今後数週間のうちに決定する見通しだが、救済資金を既に受けている加盟国もIMFへ拠出するのか、また、仮に拠出しない場合に不足分をどのように補うかなどは不明だ。

ショイブレ独財務相は、ドイツのZDFテレビとのインタビューで「依然多くの不確定要素があるが、何よりもまず、合意されたことを実施する必要がある。緊急案件としてすすめなければならない。クリスマス休暇に入ることはできない」と述べた。

アイルランドのバラドカー運輸相はRTE放送とのインタビューで「今後数週間におよぶ作業になるだろう。財政協調は得策で、それに向け動いていることはよいが、今抱えている問題の解決には不十分だ」と述べ、財政協調だけでは域内の債務危機の解決には不十分との見方を示した。

12日付の南ドイツ新聞によると、近く退任する欧州中央銀行(ECB)のシュタルク専務理事は、ユーロ圏債務危機への対応でIMFの関与を拡大させるのは「自暴自棄行為」に等しいと指摘、ユーロ圏による思い切った対策が必要だとの認識を示した。

INGのエコノミスト、Carsten Brzeski氏は「何も確定していない。バズーカ砲は3者が小さな兵器を寄せ集めたようなもの。各国レベルの決定により全体の計画が台無しになる可能性がある」との見方を示した。そのうえで「(危機は)まだ収束していないが、ユーロ圏は財政協定とユーロ救済に向け正しい方向に向かっている」との考えを示した。

<今週のイタリアとスペインの国債入札に注目>

今週のイタリアとスペインの国債入札は、EU首脳会議を市場がどう受け止めるかの最初のテストになる。まだ、ドイツも2年債の発行を予定している。

カリヨンのストラテジスト、ルカ・ジェリネック氏は「ドイツは入札を順調にこなすだろう。スペインもまずまずの結果になるだろう。イタリアの入札にも十分な需要が見込まれるが、7%近い利回りは発行する側にとって喜べない水準だ」と述べた。

アナリストは、入札を問題なくこなすためにECBが市場を支援すると予想している。ただ、ECBは危機対応における関与拡大には依然消極的だ。

ECB筋がロイターに明らかにしたところによると、ECBは現在ユーロ圏国債の買い入れ限度を週200億ユーロとしており、EU首脳会議の決定を受けて対応を強化することは検討していない。

ドラギECB総裁は、9日の首脳会合開催の数時間前に、ECBが危機に対応するためにその役割を拡大する、との期待に冷や水を浴びせた。

BNPパリバのLuigi Speranza氏は「ECBには国債買入れをかなりの規模拡大する余地がまだ残っている。ただ、危機解決に向けその役割を拡大することにECBがコミットしていないという点を市場は懸念している。ドラギ総裁自身によりECBの関与拡大観測が高まったことを踏まえると、市場の警戒感はいっそう強い」と指摘した。

(Annika Breidthardt記者;翻訳 伊藤恭子;編集 佐々木美和)

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