March 28, 2012 / 4:27 AM / 6 years ago

訂正:焦点:スペインは日本型10年不況に突入か、官民そろって緊縮路線

[マドリード 27日 ロイター] スペインでは企業と家計がともに財布のひもを締め、政府予算は削られ、銀行貸し出しは振るわない状況となっている。このため長年にわたり経済が停滞し、最終的には救済を仰がざるを得なくなる可能性がある。

スペインは財政赤字を欧州連合(EU)に課された上限以内に削減するよう迫られており、ラホイ首相は30日に発表する予算は「極めて緊縮的」になると約束している。

景気は3年間で2度目となるリセッション入りの瀬戸際にあり、失業率と借り入れコストは大幅上昇。一部のエコノミストは、日本のような失われた10年に陥ると予想している。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのエコノミストで、スペインのシンクタンクFedeaの研究者(訂正)、ルイス・ガリカノ氏は「スペインは財政支出削減に応じたことで、欧州との心中合意に署名してしまった。これは誰のためにもならない下降スパイラルであることを欧州は理解しなければならない」と話す。

スペインの公的債務は国内総生産(GDP)の約70%とユーロ圏で最高水準の一群に属し、ギリシャが国際支援を要請した2010年以降、投資家の注目を集めてきた。スペインの経済規模はアイルランド、ギリシャ、ポルトガルの合計の2倍以上で、ユーロ圏にとって「大き過ぎてつぶせない」存在だと見られている。

スペイン国債利回りは昨年、14年ぶりの高水準を付けた後に低下したが、景気への懸念が再浮上する中でドイツ国債とのスプレッドが再び拡大し始めている。

キャピタル・エコノミクスのベン・メイ氏は「非常に深いリセッションの最中に政府が多額の財政赤字を続ければ、利回りは上昇しそうだ。最終的には妥当な金利水準で資金を借りられるよう、救済を求める必要が生じかねない」と指摘する。

ラホイ首相が発表する2012年度予算は、増税、賃下げ、公的サービス縮小などを通じた少なくとも350億ユーロの支出削減が盛り込まれる見通し。これは2013年の財政赤字をEU上限のGDP比3%以内に抑えるのが狙いで、13年度予算も同様に緊縮的になるだろう。

<元気のない消費者>

他の欧州諸国と同じく、スペインの好況時にも内需が成長に重要な役割を果たしてきたが、もはや国内の消費者に経済の救世主となる力は秘められていないもようだ。

セリンダ・ガルシアさん(55)はマドリードの中産階級が暮らす地域で30年にわたり惣菜屋を営んできた。4年に及ぶ経済危機でも商売は影響を受けなかったが、ごく最近の経済改革と政府支出削減は別だ。「ここ数カ月間でまぎれもなく売り上げが大きく落ち込んだ。うちのお客さんのほとんどは安定した職があって良い給料をもらっているけれど、最近の改革で誰もが将来を心配するようになった」という。

スペインでは10年間続いた不動産バブルが4年前に崩壊し、景気の低迷が始まった。ことしの成長率はマイナス1.7%と予想されている。

昨年第4・四半期の住宅価格は11.2%下落し、あと30%は下がる可能性がある。建設部門では数百万人の非熟練労働者が職を失った。

失業率はEU平均の2倍以上で、若年層は約半分が失業。貧困レベルは欧州のどの国よりも急速に悪化している。

<動きの取れない企業>

企業も苦境にある。最も有望な産業分野でさえ事業を縮小している。

観光業はGDPの約11%を占めるが、観光グループ、ソル・メリア(MEL.MC)は昨年第4・四半期に債務削減のための資産売却を余儀なくされた。昨年は北アフリカの紛争を嫌った旅行者が訪れたことがスペインの観光業に追い風となったが、それでもソル・メリアは国内での設備投資に二の足を踏んでいる。

    ガブリエル・エスカレル最高経営責任者(CEO)は「早期予約市場で相当規模の予約が見られない現段階では、様子見姿勢の方が望ましい。スペイン観光の主要市場が不振なことを考えればなおさらだ」と語った。

    銀行貸し出しも細ってしまった。金融業界は既に合従連衡を経たというのに、新政権から500億ユーロ規模の追加的なバランスシート強化を命じられている。ある金融機関幹部は「ことしはまったく信用拡大が見られないだろう。景気が減速している中で加速することはない」と話す。

    信用収縮の痛みは大企業だけでなく、ここにきて果敢にも住宅ローンを申請する家庭にも及んでいる。ある優良企業幹部は「当社はスペインで最も健全な企業の1つだが、銀行はとにかく貸したがらない」と言う。同社の場合は債券市場での資金調達が可能だが、中小企業はそうはいかない。

    <日本の二の舞か>

    一部のエコノミストは、スペイン経済の行く末が1990年代の日本に酷似していると懸念している。

    野村総合研究所研究創発センターのリチャード・クー主席研究員は「スペインの民間部門がデレバレッジ(資産圧縮)を進めている時に政府が財政再建に固執し続ければ、リセッションは大幅に長引くだろう。スペインが患っているのはバランスシート不況と呼ばれる非常にまれな病であることを政府は理解しなければならない。この病は債務で賄われた全国規模の資産バブルが崩壊した後にだけ起きるものだ」と述べた。

    クー氏は、ユーロ圏の政策金利は歴史的な低水準にあるが、バランスシート不況時には金融を緩和しても新規貸し出しは促進されないと指摘。「日本では政策の失敗から這い上がるのに10年間を要した。スペインが同じ道をたどるのを見たくはない」と話した。

    (Paul Day記者)

    *英文の訂正により、4段落目のルイス・ガリカノ氏の肩書きをシンクタンクFedeaの「代表」から「研究者」に訂正します。

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