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焦点:新興市場でも威光失うノキア、新機種対応で出遅れ

[ニューデリ/ヘルシンキ 29日 ロイター] 新興国市場でフィンランドの携帯電話大手ノキアNOK1V.HE が威光を失い、韓国のサムスン電子005930.KSなど、かつて劣勢だったライバルが脚光を浴びている。

4月29日、新興国市場でフィンランドの携帯電話大手ノキアが威光を失い、韓国のサムスン電子など、かつて劣性だったライバルが脚光を浴びている。写真はヘルシンキで昨年7月撮影。提供写真(2012年 ロイター)

ノキアは14年にわたり世界最大の携帯電話会社だったが、今年の第1・四半期に販売台数でサムスンに追い抜かれ、利益の上がるスマートフォン(多機能携帯電話)部門では昨年既に、米アップルAAPL.Oとサムスンに先を越されている。

ノキアから輝きを奪ったのはアップルの「iPhone(アイフォーン)」だが、ノキアは従来型携帯電話機の市場でも輝きを失いつつある。この分野は同社にとって頼みの収益源であるとともに、新興国市場で何年にもわたって力強い成長をもたらしてくれた期待の星だった。

今年1─3月にノキアの従来型携帯電話機の売上高は前年同期比で16%減少し、過去5四半期のうち4四半期で減少している。その一方で、競合する中国の携帯電話・通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)000063.SZや華為技術(ファーウェイ) HWT.ULが急速に売上高を伸ばしている。

インドの調査会社サイバーメディアによると、ノキアの市場シェアは2011年までの3年間で半減している。同期間のインドの総販売台数1億8300万台のうち、同社のシェアは31%だった。

ノキアは急拡大する中産階級の好みの変化についていけず、購入者の選択に影響力を持つ販売店経営者の支持を失っているというのがアナリストらの見方だ。インドでは一般的に通信事業者が薄利で、電話機の販売を補助しない傾向にある。

ムンバイで携帯電話販売店を営むマニシュ・カトリ氏は「われわれのような販売店は、ノキアから顧客に見せる(デモ用の)ダミー商品を入手するのにさえ多くの問題に直面する。会社からの後押しは一切ない」と述べた。ノキアに恨みはないが、事業的には顧客にはより人気のあるモデルを勧めるほうが得策だという。カトリ氏は、電話機の販売台数が月間約500台の自分の店はノキアにとって優先順位は低いだろうが、サムスンはスタッフを店によこすと語った。

<現地の好み>

一方、世界最大の携帯電話市場である中国では、通信事業者が携帯電話販売に大きな役割を果たし始めており、この傾向はノキアにとっては逆風になっている。

調査会社カナリスのアナリスト、ピート・カニンガム氏は「通信事業者は、外国企業よりも中国の地元企業を優先させる」と指摘した。

調査会社ストラテジー・アナリティクスによると、1─3月にノキアの売上高は前年同期比62%減、市場シェアは2年前の39%から昨年は24%に減少した。

アフリカでもノキアのシェアは昨年、2年前の62%から51%に減少した。ストラテジー・アナリティクスのニール・モーストン氏は、ノキアはアフリカで優れた販売網を持っているため、それでもまだライバル他社に勝っているが、下落傾向を急いで阻止する必要があると指摘した。

一方、ノキアはこれら新興国市場向け投資を継続して顧客を引き付ける方針を示している。エグゼクティブ・バイス・プレジデントのメアリー・マクダウェル氏は「わが社は特に『アーシャ』シリーズの販売が好調なインド、ナイジェリア、ブラジル、メキシコで引き続き携帯電話機の品揃えを充実させていく」と述べた。

<フルタッチで出遅れ>

アナリストらはまた、ノキアは人気のテクノロジーへの対応が遅いとみている。例えば新興国市場では、1つの回線で複数の端末が利用できるマルチSIM対応機種が人気だが、ノキアは2011年半ばまで対応機種を持っていなかった。

また従来型携帯電話のフルタッチ画面対応機種でも他社に差を付けられている。ストラテジー・アナリティクスによると、同機種は昨年、世界で1億0500万台販売された。

CCSインサイトの調査部門を率いるベン・ウッド氏は「ノキアはフルタッチ画面対応機種を持っていなかったため、サムスンなど他社に市場を明け渡してしまった。サムスンはこのことに3年前に気付いたが、ノキアは今でもまだこの手の製品を用意していない」と指摘。「そうしているうちにグーグルのアンドロイドOS(基本ソフト)搭載端末の価格が下落してしまい、ノキアのビジネスチャンスはほぼ閉ざされてしまっている」と述べた。

ノキアは向こう数カ月中にフルタッチ画面機種の「306」を発売する予定だ。

<失われるブランド力>

モーストン氏は「ノキアの今年の主要課題は主力のスマホ製品の急落を止めてノキアの全体的なブランド力立て直しを図ることだ」との見方を示した。

ノキアは昨年、自社のスマートフォン向けOS「シンビアン」を捨て、実力が未知数の米マイクロソフトMSFT.Oの「ウインドウズフォン」を採用した。ウィンドウズフォン搭載機種の発売前にシンビアン搭載機種の売上高は急落している。

今月、ノキアは中国でウィンドウズフォン搭載スマホ機種を発売した。積極的な販売キャンペーンを行い、地下鉄、雑誌、新聞などで大々的に広告を展開している。

ロイター調査に参加したアナリストによると、ノキアは今年、ウィンドウズフォン機種を2700万台、来年は5500万台、14年は9400万台販売する必要がある。今年の第1・四半期の実績が200万台にとどまったことを考えるとノキアの今後の道のりは非常に険しそうだ。

(Devidutta Tripathy and Tarmo Virki記者)

*本文中の誤字を修正して再送します。

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