[パリ 7日 ロイター] 6日に実施された仏大統領選の決選投票は、内務省が発表した99%開票時点の結果によると、社会党のオランド前第1書記の得票率が51.67%で、サルコジ氏の48.33%を上回り、オランド氏が勝利した。以下はオランド氏が掲げる政策骨子。
◎緊縮のみを重視する経済政策には反対。欧州の財政協定を再交渉し、雇用や経済成長を促進するための条項を盛り込むことを約束した。
◎2017年末までの財政均衡の実現を約束。ただし、成長が弱い場合には、この目標を調整するとの立場を示しており、目標達成のために国益を犠牲にすることはしないと表明。赤字削減策としては、減税廃止や新税導入を掲げており、290億ユーロの追加税収を見込んでいる。
◎2017年までに1000億ユーロを節減すると約束。このうち半分は新たな歳入によるもので、うち200億ユーロはすでに議会で可決済み。残りの半分は歳出の伸びを年1.1%に抑制することで実現へ。
◎同時に、向こう5年間で200億ユーロの新たな支出を行うことも約束。これには、18歳で働き始めた人について、60歳で引退する権利を復活させることなどの措置が含まれる。また、若年層の失業対策として、任期中に6万人の教員を追加採用することや、年に1000人の警察官の採用、国家が支援する形での15万人の雇用創出を提案した。
◎富裕層の課税強化。100万ユーロを超える年収には75%の課税を行い、15万ユーロ以上の層には最高税率を45%とする。国営企業の幹部の報酬について、最も賃金が低い人の20倍に制限するほか、大統領給与の30%削減、最低賃金を経済成長に連動させることを約束。
◎差別解消を約束。同一賃金の原則を守らない企業に制裁を行うほか、「女性の権利省」の創設、閣僚の半分を女性とすることを表明した。また、憲法から「人種」という文言を削除、移民割り当てに関する議会の議論を開始する見通し。同性愛者による結婚や養子縁組を支持。
◎サルコジ大統領と同様、リテール銀行業務と投資銀行業務の分離、金融取引税導入など、金融規制の強化を約束。危険な金融商品禁止やストックオプションの禁止、ボーナス抑制、欧州格付け機関の創設、オフショアのタックス・ヘイブンでの銀行の活動禁止への支持を表明した。
◎産業や雇用向け対策としては、中小企業や新興産業支援のため公的な投資銀行の創設を提案。フランスに投資する企業、国内での生産を維持する企業に対しては、公的な支援や資金を付与する。大手企業が生産拠点を国内に戻すよう支援するほか、中小企業の税率引き下げを約束。
◎若年層の雇用促進。無制限の長期契約で若者を雇用するとともに、高齢労働者も引退まで雇用し続ける企業には、社会保障負担を軽減へ。
◎発電量に占める原子力の比率を現在の75%から、2025年までに50%に引き下げることを約束。老朽化したフェセネム原発は廃炉とするが、先進的なフラマンビル原発は完成させるとの方針を表明した。
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