May 7, 2012 / 2:12 AM / 6 years ago

焦点:ギリシャとフランス、有権者がドイツの緊縮路線拒否

[ベルリン 6日 ロイター] 6日投票のギリシャ総選挙は、金融支援と引き換えに緊縮財政を進めてきた2大政党が大きく議席を減らした。

ドイツは欧州債務危機に対応するため、加盟国に緊縮財政を呼び掛け、国家破綻やユーロ離脱を防いできたが、ギリシャの有権者はこうした緊縮路線を拒否。同日実施のフランス大統領選でも、現職のサルコジ大統領が社会党のオランド前第1書記に敗れており、今後ドイツには成長重視の政策を求める圧力が強まるとみられる。

ただドイツのメルケル首相が、選挙結果を受けて、成長促進に向けた効果的な対策を打ち出せるかは不透明だ。

サクソ・バンク(コペンハーゲン)のチーフエコノミスト、スティーン・ヤコブセン氏は「(今回の選挙結果は)欧州の政治混乱を印象づけた。ギリシャでもフランスでも、政治家と有権者のギャップが拡大している」と指摘。「欧州の有権者が『まだ改革の準備はできていない』というメッセージを送り始めたのは明らかで、これは懸念すべきことだ」と述べた。

ギリシャでは2大政党が過半数の確保で苦戦しており、長期的なユーロ離脱リスクや危機波及リスクを懸念する声が出ている。

フランスの新大統領に就任するオランド氏は、閣僚経験がなく、メルケル首相と会談したこともない。ギリシャの総選挙を受けて、就任初日から厳しいかじ取りを迫られそうだ。

週明けの金融市場では、ギリシャをめぐる不安に加え、フランスで17年ぶりに社会党の大統領が誕生したことを受けて、危機モードが再燃する恐れもある。

オランド氏は速やかに組閣を終え、危機対策でドイツと協力して迅速な決断を下せることを市場に示す必要がある。

CMCマーケッツのファブリス・クステ氏は「オランド氏は、本当に余裕がないだろう」と述べた。

<スペインがカギに>

おそらく今後数日で最大の注目点は、金融市場でスペインなどユーロ圏大国への懸念が再燃するかどうかだろう。

スペインとイタリアは「大きすぎてつぶせない」国とされており、金融支援が必要になれば、財源面の問題も浮上する。

シンクタンク、欧州改革センターのチャールズ・グラント氏は「経済規模からみて、スペインは多くの点で引き続きギリシャよりも大きな問題だ」と述べた。

大統領選で勝利したオランド氏は、経済成長重視の政策を掲げており、就任直後にドイツを訪問し、メルケル首相がまとめた「財政協定」を補完する「成長協定」について議論を開始する見通し。

具体的には、欧州投資銀行(EIB)の財源強化、欧州連合(EU)構造基金の弾力的な活用、高速道路・橋梁・エネルギー輸送などインフラ整備向けの「プロジェクトボンド」発行といった対策が予想されている。

独仏両国がこうした対策で合意すれば、6月のEU首脳会議で両国の提案がそのまま通る可能性がある。

ただエコノミストは、こうした対策について、債務危機で痛手を受けた南欧諸国では大きな効果を期待できないと指摘。オランド氏についても、財政健全化の手を緩めることはできず、独仏関係を維持するため、ユーロ圏共同債、大規模な財政出動、財政目標の達成先送りといったドイツがタブー視する対策を打ち出すことはできないとの見方を示している。

コンサルティング会社ユーラシアは「ドイツは政治・経済面で引き続き欧州で主導権を握るだろう。オランド氏はある時点でそうした現実を受け入れる必要がある」と分析。「今後最も可能性の高いシナリオは、様々な対策やイニシアティブが発表され、そのどれもが中・短期的な経済促進効果を期待できない、というものだ」と述べた。

<離脱リスク>

経済成長重視の対策が効果を発揮しない場合、社会不安が高まり、政治で対応できなくなるリスクも浮上する。

ギリシャでは、2大政党の新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が議席を大幅に減らし、合計得票率が40%を大幅に下回る見通しとなっている。極左・極右政党が支持を伸ばしており、2大政党で過半数を確保できない見通しとなっている。

ギリシャでは、少なくとも今後数週間、政局の不透明感が強まる公算が大きい。次回実行分の金融支援を受けるには、2013年と2014年の新規歳出カット(110億ユーロ以上)を来月議会で承認する必要がある。

ベレンベルグ銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「選挙前の段階では、40%の確率でギリシャ向け支援が止まり、年内にユーロ離脱を迫られると予想していた。出口調査の結果を見る限り、このリスクは低下していない」と述べた。

ただ、離脱国が出ればユーロの汚点となることに加え、離脱の手続きを定めた法制度も存在しないため、実際には離脱のハードルは高い。ギリシャが離脱した場合は、他の加盟国の離脱をめぐる観測も浮上するとみられる。

このため、有権者の反発はあるものの、短期的にはギリシャがユーロを離脱する可能性は低いとの見方が多い。

欧州改革センターのグラント氏は「ギリシャが長期的にユーロ圏にとどまることは非常に難しいと考えている。対策の効果が出ていない唯一の国だ。ただ、ユーロ離脱を望んだとしても、実現には非常に長い時間がかかるだろう」と述べた。(Noah Barkin 記者;翻訳 深滝壱哉;編集 宮崎亜巳)

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