July 25, 2012 / 6:42 AM / 7 years ago

現実味高まるECBのマイナス金利、デンマーク中銀が先例に

[フランクフルト 24日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は貸し出しを渋る銀行に融資拡大を迫るため、世界の主要中銀として初めて預金金利をマイナスに設定するかもしれない。

7月24日、欧州中央銀行(ECB)は貸し出しを渋る銀行に融資拡大を迫るため、世界の主要中銀として初めて預金金利をマイナスに設定するかもしれない。フランクフルトのECB本部で昨年4月撮影(2012年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

市中銀行がECBに預け入れる金利がマイナスになれば、ECBは銀行から預金の「手数料」を徴収する形になり、銀行に対してECBに預金している資金を貸し出しに回すよう促す効果が期待される。

ECBはすでに、そうした政策に向けた歩みを進めている。7月には主要政策金利としているリファイナンス金利を過去最低の0.75%とするとともに、翌日物の預金金利をゼロ%に引き下げた。

ECBのクーレ理事やオランダ中銀のクノット総裁は、それ以降も必要があればさらなる利下げを行う可能性をほのめかし、預金金利をマイナスに引き下げる「実験」もためらわない考えを示している。そうした動きを受け、エコノミストの間では、ECBが早ければ9月にも再利下げを行うと予想する声も出ている。

マイナス金利は大半の中央銀行にとってほとんど未経験の領域で、ECBは7月にマイナスの預金金利に踏み切ったデンマークの動向を注目している。

デンマーク中銀は今月、ECBによる利下げに歩調を合わせる形で金融緩和を実施。主要政策金利である貸出金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ0.20%としたほか、譲渡性預金(CD)金利を0.05%からマイナス0.20%に引き下げた。

だが、極端にリスク回避ムードが強まっている現在の市場環境において、マイナス金利に踏み切っても中銀の思惑通りに効果を発揮するかどうか、疑問視する向きも多い。

シティグループのユーロ圏担当エコノミスト、ユルゲン・ミヘルス氏は「たとえマイナス金利になっても、銀行が再びユーロ圏周辺諸国への貸し出しを増やすとは思えない」と語っている。

なぜなら、銀行が貸し出しを渋っているのは取引相手に対する信頼感を失っていることが大きな原因で、「罰則」金利を払うことになっても融資拡大のインセンティブが生じるとは考えにくいためだ。

ユーロ圏のある中央銀行当局者は、銀行に融資拡大を促すためには、金利のマイナス幅が少なくとも0.5%必要だと考えている。

ECBのマネーマーケット専門家グループがリスク管理に関して最近実施した調査によると、預金金利がゼロ%あるいはマイナスになってもECBの翌日物ファシリティーに預け入れる方針を変えないと回答した銀行は、全体の75%に達した。

むしろ、マイナス金利になれば、市場における取引や銀行の収益性に悪影響を及ぼす恐れがあるとの懸念が示された。

JPモルガンの試算によると、ECBが超過準備に対する金利をマイナス0.25%にした場合、ECBの預金ファシリティーを多用しているドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクをはじめとするユーロ圏の銀行は、年間20億ユーロに上る金利の支払いを迫られることになる。

<デンマークがモデルに>

最近の歴史では、スウェーデン中銀が2009年に初めてマイナス金利の導入に踏み切った。

7月のデンマーク中銀によるマイナス金利はそれに続く動きで、デンマーク中銀は当座預金として受け入れる預金の上限を全体で697億クローネ(94億ドル)に設定している。つまり、市中銀行による中銀への預金がそれを上回れば、預金が自動的にマイナス金利のファシリティーに移されることになる。

ECBがマイナス金利を採用しようとすれば、そうしたシステムも必要となる。

ダンスケ銀行のユーロ圏担当エコノミスト、アンダース・ルムホルツ氏は「ECBはまず、いくつかのテクニカルな問題を解決しなくてはならない。例えば、当座預金口座に上限を設けるかどうかといった問題だ」と指摘する。

ECBは現在、必要な準備預金に対しては金利を付与しているが、超過分については金利を支払っていない。

ECBが7月に預金金利をゼロ%に引き下げた際は、銀行はECBの預金ファシリティーから当座預金口座に資金を移すといった行動で応じた。

RBSのエコノミストは、ECBが超過準備の管理方法変更を通じ、マイナス金利に向けた地ならしを行うと予想する。例えば、8月の理事会で、超過準備に対してゼロ%あるいは預金金利の低い方を適用する方法が採用される可能性があるとみている。

ユーロ圏では、債務危機の深刻化を背景にデンマークのクローネやデンマーク国債などユーロ圏以外の資産に資金が集中。金利を支払ってでもそうした「安全資産」に資金を逃避させる動きが続いているため、ECBが預金金利をマイナスに引き下げた場合、そうした傾向に一段と弾みが付きかねない。

市場関係者は、そうなればデンマーク中銀は金利のマイナス幅を拡大する可能性があるほか、ユーロ圏の翌日物金利も初めてマイナス圏に突入する可能性があるとみている。

それは、インターバンク市場で資金を貸し出す側が借り手に金利を支払うことを意味するもので、シティグループのミヘルス氏は「われわれは再び新たな経験をすることになる」と述べている。

(Eva Kuehnen記者;翻訳 長谷部正敬)

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