June 20, 2012 / 2:32 AM / 7 years ago

G20閉幕、声明は欧州の統合スキーム言及も独の支援拡大姿勢見えず

[ロスカボス/東京 19日 ロイター] メキシコのロスカボスで開催されていた20カ国・地域(G20)首脳会議は19日、ユーロ圏メンバーが安定確保や市場機能改善、国家と銀行の悪循環を打破するために必要なあらゆる政策措置を講じる、などとする声明を採択して閉幕した。

6月19日、メキシコのロスカボスで開催されていたG20首脳会議は、ユーロ圏メンバーが安定確保や市場機能改善、国家と銀行の悪循環を打破するために必要なあらゆる政策措置を講じる、などとする声明を採択して閉幕した(2012年 ロイター/Jason Reed)

欧州からは銀行監督や財政統合に向けた提案も示され、各国も期待感と支援を表明した。しかし肝心のドイツからはこうした提案への前向きの支援拡大の意向は示されぬままだった。金融市場では、欧州危機解消に向けたスキームの具体的な道筋が見えていないとして、明確な心理好転には至っていない。

<銀行同盟・財政同盟に向けて前進>

G20では当初、財政危機終息に向けて欧州諸国に対して「もっと努力を」との声も強かったが、結局、批判ばかりでは建設的ではないとの声が挙がり、全体的には欧州の決意表明と、それに対する期待と支持のトーンが強くなった。

声明は「ユーロ圏のG20メンバーは、市場の緊張再燃を踏まえ、ユーロ圏の統合性や安定、金融市場機能の改善、国家と銀行の悪循環を打破するために必要なあらゆる政策措置を講じていく」と表明。さらに踏み込んで、銀行の監督、破綻処理、資本増強、預金保険を含め、より統合された金融制度に向けた具体的措置を検討する計画に支持を表明した。ギリシャについては、同国が改革と持続可能性を維持できるよう、ユーロ圏が次期政権と協力することを期待する、としている。

欧州首脳からは、危機解決に向けた自助努力への決意が表明され、オランド仏大統領は「欧州は財政統合に向けた歩み寄りは可能と確信している」と発言した。欧州委員会のバローゾ委員長は、より踏みこんで、欧州は各国政府が経営難に陥った銀行の資本再編を行えるよう、政府に融資するのではなく銀行に直接支援を提供する方法を見つけ出す必要があるとの見解を示した。

さらに、イタリアからは、欧州救済基金を利用して債務危機国の国債買い入れが提案され、オランド仏大統領も「検討の価値がある」と前向きに受け止めた。

こうした発言を受けて、欧州以外の首脳からも「大胆かつ決定的な措置を理解している」(オバマ米大統領)と好意的な反応が相次いだ。オバマ大統領は、欧州自らが取り組みを表明した「財政協定と銀行同盟講想を歓迎する」との姿勢を示した。

<ドイツは引き続き支援拡大への資金拠出に消極的>

一方で、肝心のドイツからはこうした提案に前向きの発言はなかった。メルケル首相は、ギリシャ支援の条件緩和にも否定的発言をし、イタリアの国債買い入れ提案にも「討議はなかった」とすげなかった。複数の当局筋も、首脳会議ではさまざまな構想が出されたが早期実施につながりそうなものはないとの指摘しているほか、ある当局筋は「合意に至ったものはない。きょう、ないし早期に実行に結びつくような話はなかった」と語っている。

財政緊縮派が勝利したギリシャについても、メルケル首相は支援に関する条件緩和に応じない姿勢を示している。

とはいえ、欧州の問題国が財政緊縮を続けながら経済再建を図るのは容易ではない。日本の同行筋によると、ほとんどの首脳や国際機関からは雇用確保の重要性が指摘され、成長を目指しつつ財政健全化を合わせてやることは二律背反ではなく、両者は補完しあうものとの意見が出されたという。

このためG20声明文では、各国が一斉に財政緊縮に走れば世界景気の一層の悪化を招きかねないことを懸念し、「財政再建のペースが回復を支えるために適切であることを確保」することにも言及。「財政的余力のある国は、経済条件の悪化の際には裁量的財政措置を準備」するなど、中国などの新興国への景気対策に期待感を示している。

また、いわゆる「財政の崖」に直面する米国については「急激な財政収縮を避けることによって財政健全化のペースを図る」とした。

<日本は円高警戒感表明、危機終息へ具体的道筋が必要>

欧州危機の解消がそう簡単ではないとみられるなか、日本としては、欧州危機の余波で円高が一方的に進行してきたことに繰り返し強い警戒感を表明した。

野田佳彦首相は「欧州諸国の改革、市場安定化の努力にも関わらず、欧州債務問題の高まりが世界中の金融市場を不安定にしている」と指摘。「日本経済のファンダメンタルズは総じて堅調であるにも関わらず、欧州危機の波及を受けて一時株価がバブル崩壊後の最安値を更新、投機筋主導で急速に円高が進んでいる」と危機感を示した。

しかし「欧州が検討している改革は、ユーロ圏の債務危機をただちに解決することにはつながらない」(オバマ大統領)というように、欧州債務問題の終息にはまだ長い時間がかかりそうだ。野田首相に同行した安住淳財務相は「時間をかけてしっかりと金融スキームを作って、それぞれの銀行の健全化と国家財政の安定化を図っていく必要がある」との認識を示している。

こうした情勢を受けて、東京の金融市場では、G20での議論について欧州の決意表明やそれに対する支援表明に一定の評価はしながらも、具体的な方策の検討と危機解消に向けた道筋はまだ見えないとして、それほど大きな反応は出ていない。この先も、ユーロ圏財務相会合などが控えており、危機終息に向けたスキームが具体化するまでは金融市場の心理好転が明確化はまだ難しく、「リスクオフの解消が鈍い状況が続きそうだ」(みずほ証券・チーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏)といった声が出ている。

(ロイターニュース 現地取材 梶本哲史;まとめ 中川泉;編集 田中志保)

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