September 5, 2012 / 6:22 AM / 8 years ago

焦点:中国経済、2009年のような復活劇はありうるか

[北京 4日 ロイター] 月初に発表された8月の中国の購買担当者景気指数(PMI)では、中国製造業の一段の縮小が示唆された。中国の製造業がこのような苦境に陥ったのは、直近では2009年3月だったが、中国経済はその後、世界的な金融危機からの復活を遂げた。

しかし今回は、中国経済が近いうちに回復するのか、アナリストも今一つ確信が持てないでいる。実際、PMIでは新規受注の減少が目立つ。PMI以外にも、中国経済の成長が一段と鈍化していることを示唆する証拠には事欠かず、景気回復の予想時期はさらに後ずれしている。

GKドラゴノミクスのマネジングディレクター、アーサー・クローバー氏は「極めて悪いサイクルに入っているのは明らか。状況がひどくなるとは思わないが、抜け出すには長い時間がかかる」と指摘。「今はサイクルの底にはりついているような状況だ」との見方を示している。

中国国家統計局が1日に発表した8月のPMIは49.2で、昨年11月以来初めて50を割り込んだ。HSBCが3日に発表した8月の中国PMI改定値は47.6で、2009年3月以来の低水準だった。

同指数は50を上回ると景況改善、50を下回ると景況悪化を示す。

中国経済が09年前半のような苦境にあることを示す指標はまだまだある。7月の鉱工業生産の伸び率は2009年以来の低水準。輸出の伸びはわずか1%にとどまり、減少した1月を除いて、今年最低だった。

また、第2・四半期の中国の国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比7.6%。国内の不動産市場の抑制策や、債務危機に苦しむ欧州からの需要鈍化を背景に、2009年第1・四半期以来の低成長となった。

景気低迷は株価にも表れており、上海総合指数.SSECは、今年の高値から約18%下落、2009年3月以来の低水準に落ち込んでいる。

<新規受注の減少が悩み>

2009年3月から中国経済が回復し始めたのは、中国政府が打ち出した4兆元(約6300億ドル)という大規模な景気刺激策のお陰だ。

確かに、現在の経済状況はその当時と比べると、はるかにましかもしれない。ただし、景気対策の副産物とも言えるインフレ率上昇や不動産価格高を背景に、経済は予想よりも深刻な低迷に陥りつつあるようだ。

中国は価格鎮静化に向け不動産市場の抑制策を実施。欧州債務危機で需要が世界的に落ち込む中、中国の成長は一段と押し下げられている。

製造業にとって特に悩ましいのはユーロ圏などからの新規受注がさえないこと。HSBCのPMIでは、新規受注と新規輸出受注が2009年3月以来の大幅な減少を記録。生産は再びマイナス圏に落ち込んだ。

完成品在庫は過去最高で、受注残は09年1月以来の低水準だった。

国家統計局のPMIでも、新規受注は4カ月連続で減少した。輸出受注も減少したが、指数自体は46.6となり、前月から横ばいだった。

政府系シンクタンク、国家情報センターのチーフエコノミストである祝宝良氏は「循環的要因と構造的要因が、現在の低迷の背景にある」と指摘。「在庫調整の動きが製造業の打撃となっている」とし、金融をさらに緩和したとしても、効果はあまり望めないとの見方を示している。

<相違点は「雇用」>

それでは、大規模な景気対策が打ち出された当時と、政府が刺激策にあまり積極的ではない現在との相違点は何か。その答えは「雇用」だ。

大規模な人員削減が行われた08─09年冬と比べ、現在の雇用情勢はそう悪くない。指導部交代を控えるなか、社会不安の懸念は小さい。

国家情報センターの祝宝良氏は「雇用情勢を見るべきだ。今はまだ、大きな問題はない。大規模なレイオフも行われていない」と指摘した。

中国が大規模な景気刺激策を打ち出した当時は、輸出が壊滅的な打撃を受け、数カ月で少なくとも2000万人の出稼ぎ労働者が失業した。

それだけに、雇用に圧力がかかり始めれば政策変更の可能性もある。

国家統計局のPMIでは、8月の雇用指数は49.1に低下、3カ月連続でマイナスを示唆した。また、HSBCの雇用指数は47.6で、2009年3月以来の低水準となり、6カ月連続で50を割り込んだ。

<当局は景気支援に慎重>

中国当局は実際、大がかりな景気対策には慎重で、不動産価格やインフレ高騰を恐れ「穏健な」政策スタンスを通じた支援にとどめている。

これまでのところ、こうした政策は成長率の鈍化を食い止められておらず、アナリストは相次いで、成長率の見通し引き下げに動いている。

一連の経済指標を受けバークレイズは、通年の成長率見通し7.9%には下振れリスクがあるとの見方を示した。みずほ証券は、第3・四半期の中国のGDP伸び率見通しを7.4%に引き下げたうえで、第4・四半期は7.2%へと一段と鈍化する可能性があるとの認識を示した。

アナリストの多くは、中国人民銀行が引き続き、利下げや預金準備率引き下げを通じて政策を一段と緩和する、と予想している。ただし、08─09年のような大胆な措置に出ることはないとの見方が大勢だ。

IHSグローバルは、政府は大規模な景気刺激策を実施して過熱状態に戻ることを恐れている、としたほか「近いうちに、指導部の交代がある。経済のみに関心が向いているわけではない」との見方を示した。

(Lucy Hornby記者;翻訳 吉川彩;編集 佐々木美和)

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