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コラム

コラム:経済政策はロムニー氏よりオバマ大統領がまとも=サマーズ氏

ローレンス・H・サマーズ

10月29日、サマーズ元米財務長官は、政治家の間では見解が分かれているが、多くの専門家は経済政策の目的について同じ考えを持っていると指摘する。米ワシントンで2010年6月撮影(2012年 ロイター/Molly Riley)

[ニューヨーク 29日 ロイター] 政治家の間では見解が分かれているが、多くの専門家は経済政策の目的について同じ考えを持っている。オバマ大統領が再選を果たそうが、ロムニー氏が政権を勝ち取ろうが、次期大統領が経済分野で成功を収めるには、以下の3点を実現する必要がある。

*失業率の実質的な低下につながる経済成長ペースの回復。

*米国の資産に対するソブリン債務の比率を押し下げる措置を通じた、安定的な基盤に基づく国家財政の構築。

*長期に渡って中間層の着実な所得拡大を支える経済基盤の再構築、および職を求めるすべての人々に対する職の提供。

こうした問題に対し、オバマ、ロムニー両候補はどのようなスタンスを取っているのか検証してみよう。

オバマ大統領は需要不足が経済成長を阻害する主な障害だと認識しており、大統領に就任して以来、民間および公的セクターによる需要喚起に努めてきた。国際通貨基金(IMF)が最近発表したリポートも、そうした政策の重要性を確認している。つまり、短期金利がゼロ%に近い水準にある場合、財政政策は特に重要な役割を果たす可能性がある。

オバマ大統領はまた、連邦準備理事会(FRB)の独立性を尊重してきた。FRBはそれに応え、事実上のゼロ金利政策をとっても需要がなかなか上向かない状況を踏まえ、創造的な対応を講じてきた。

輸出業者に対する政府支援策の拡大など一連の措置が奏功し、輸出が過去5年間に倍近くに拡大するなど、順調に成長している分野もある。オバマ大統領は、現在の低金利を生かして公的セクターの投資を促し、公的セクターの雇用を守り、輸出拡大を持続させる決意を明確に示している。

それとは対照的に、共和党のロムニー候補は、景気低迷が続いている場面でも政府支出の大幅な削減を主張しており、議会はこれまでの歴史で最も厳しい裁量支出の削減に踏み込んだ。

ロムニー氏は一方、政府による武器購入や高級品を購入する富裕層に対する減税が雇用創出につながると主張しているが、学校や高速道路の修復への支出には冷淡だ。

金融政策に関しては自ら関与したい考えを示しており、現在よりも信用供給を削減すべきだとしている。

そればかりか、自分が大統領に就任すれば、経済チームを編成する前の就任初日に中国を為替操作国に認定すると表明している。それは貿易戦争に発展するリスクを冒す行為だ。

オバマ大統領は、財政赤字に関するシンプソン・ボウルズ委員会の報告書について、すべてではないにしても、基本的に尊重する考えを示している。

米企業の最高経営責任者(CEO)で構成するグループが先週発表した赤字削減策に関する提言と同様、オバマ大統領は、持続可能な財政を達成するには支出抑制(特に給付金の抑制)と収入増のどちらも必要だと主張している。

大統領が提出した予算案は、議会予算局(CBO)が全面的に精査した結果、この10年間は国内総生産(GDP)に対する債務の比率が低下基調をたどっていく見通しが確認された。大統領は債務抑制をさらに確実なものとするため、現在の予算案以外にも対策を講じる姿勢を示している。

それに対し、ロムニー候補は、外部の専門家が評価する上で必要となる詳細な予算について、部分的なアプローチすら提示していない。その一方で、ブッシュ政権のゲーツ国防長官が主張した金額をさらに1兆ドル上回る軍事支出が必要だと指摘。さらに、広範に渡る20%の減税を提唱している。外部専門家の試算によれば、それは次の10年間に5兆ドル近いコストをもたらす要因となる。

それに要する財源については何も提示されておらず、ロムニー候補は「税の抜け穴をふさぐ」と言っているだけで、その具体策も明らかにしていない。

連邦政府は過去において、民主、共和両党のリーダーシップの下で、ルイス・クラーク探検から大陸横断鉄道や全国に渡る高速道路網の建設、インターネットを生み出すきっかけとなった研究や開発など、将来の繁栄につながる数多くの基盤を築き上げてきた。

オバマ大統領は、不透明な時代には一部の投資が他の投資よりも大きな成果を生み可能性があると認識し、そうした伝統を引き継いでいる。

過去数年の公的投資には、一般に考えられているよりも多くの小さい問題があったが、だいたいは成果を上げた。学生の成果を測る手法は多数の州で導入され、医療機関での診療記録はコンピューター化された。国内で生産される化石燃料や再生可能エネルギーは、エネルギー・ニーズを満たす上で役割がますます高まっている。

金融機関の自己資本基準は引き上げられ、学生ローンの貸し出しは合理化されたものの、預金者を保護する体制は整った。これらの措置は、2期目のオバマ政権によってさらに推進されなくてはならない。

ロムニー候補は、金利が2%を下回り、実効税率が数十年来の低水準にあるにもかかわらず、あらゆるリソースを使って減税すれば、企業が投資を再開すると期待している。仮にそうした政策が繁栄の基盤を築くとすれば、米国は歴史的に経験してきた姿とは全く異なるものになる。

(ローレンス・H・サマーズ氏はハーバード大学教授。元米財務長官)

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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