September 11, 2012 / 4:22 AM / 7 years ago

焦点:BRIC株ファンド、運用成績振るわず投資家は資金引き揚げ

[ロンドン 10日 ロイター] BRIC諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)の企業を対象とする株式ファンドはこの数年、運用成績が振るわず、投資家の資金引き揚げが進んでいる。株式のバリュエーションは過去最低水準となり、今後も注目度の高い投資戦略となり得るのかが問われている。

9月10日、BRIC諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)の企業を対象とする株式ファンドはこの数年、運用成績が振るわず、投資家の資金引き揚げが進んでいる。リオデジャネイロで8月撮影(2012年 ロイター/Sergio Moraes)

BRICという言葉はゴールドマン・サックスのジム・オニール氏が2001年に作り出した。新興国大手4カ国をひとくくりに表す気の利いた言い回しで、うち2カ国は9─12%の猛烈なペースで成長していた。

以来、この4カ国の成長はオニール氏の予想すら上回り、国内総生産(GDP)の合計は4倍に拡大し、英国の5倍相当の規模となった。オニール氏の予想では、BRICが世界経済に占める比率は現在の20%から2020年には3分の1程度に上昇するという。

ところがBRICは株式投資の点では見返りが乏しい。

トムソン・ロイターのまとめによると、MSCI・BRIC指数のリターンは過去10年間では450%と素晴らしく、新興国市場の320%、先進国市場の98%を上回る。しかしその大半は初期の好成績によるものだ。リターンは2001─07年には500%超を記録して新興国市場を圧倒的にアウトパフォームしたものの、その後悪化し、過去5年間では8.6%のマイナスとなった。一方、新興国市場のこの5年間は5%のプラスだ。

4カ国の経済成長の波に乗ろうと2001年以降にあまたのBRIC株ファンドが生まれたが、大きな打撃を被った。

リッパーのデータによると、BRIC株ファンドの運用資産は07年のピークから120億ユーロへとほぼ半減。ファンド調査会社EPFR・グローバルによると、投資家は資金の引き揚げに転じ、昨年は差し引き54億ドルの資金が流出。今年も年初来で11億ドルが流出した。

一方で、もっと幅広い新興国市場を対象とするファンドには引き続き資金が流入しており、年初来で180億ドルが流入した。リッパーによると、こうした市場向けの株式ファンドの運用資産は06年から2倍に増えて2140億ユーロとなった。

このようなデータを踏まえ、BRIC株ファンドは全く異なる4つの市場を勝手にひとまとめにしていると批判する向きが勢いを強めている。

F&Cインベストメンツのファンドマネジャーのジェフ・チョードリー氏は「BRICを1つのものとは考えていない。好みの企業を見付けてその株を保有するというのが当社の戦略だ」と説明。「BRIC投資熱は既に終わった。株ファンドの閉鎖が増えている」と話した。

BRIC諸国の状況悪化が伝わり、悲観の度合いは高まっている。インドは改革が進まず成長率が3年ぶりの水準に低下。中国の高成長は鈍化し、ブラジル経済も低迷。ロシアは依然として原油価格頼みだ。

MSCI・BRIC指数.MIBC00000PUSは年初来の上昇率が1%弱にとどまったが、MSCI新興国指数.MSCIEFは6%上昇している。

<どこで間違ったのか>

肝に銘じておくべきことは、BRIC株ファンドの売りである経済成長、人口動態、消費などは決して株式投資の利益を保証するものではないという点だ。

クレディ・スイスとロンドン・ビジネス・スクールの共同研究が良く引用されるが、成長と株式市場のパフォーマンスの関連性は「統計的には弱く、逆相関である場合も多い」のだ。

MSCI・BRIC指数の40%を占める中国は、過去20年間にGDPが2桁の伸びを達成したが、株式投資の成績は10%のマイナスだった。

BRIC諸国は市場の流動性の高さや、知名度の高い大企業を抱えているという面での魅力も低下した。かつては投資分散化の点で優位な立場にあったが、BRIC指数と先進国市場の相関係数は10年前の0.4から今では0.9となった。ロシアのガスプロムやブラジルのペトロブラスなど大手企業は、国営企業だったり、政府の介入を受けやすい立場にある。こうしたことも株価の重しになった。

<最悪の事態を織り込む>

ではBRICに投資戦略としての将来性はあるのだろうか。

今でもBRICという考え方を支持する向きは多い。HSBC・グローバル・アセット・マネジメントの株式ヘッド、ビル・マルドナド氏は新興国市場を代表する、流動性が高くて便利な指数だと指摘し、FT100種指数になぞらえた。

同氏は他の強気派と同様に、BRIC株は株価収益率(PER)でみて記録的に割安な水準にあり、このことがBRIC諸国回復のきっかけになると考えている。

BRIC株指数の構成銘柄の予想利益に基づくPERは8.2倍。より広範な新興国市場に比べて15%割安で、先進国市場に比べれば大幅に割安だ。ブラジルとロシアは株価が長期的な平均を30─50%下回っている。

マルドナド氏は「投資家が懸念しているのは4カ国のマクロ経済であって、個々の企業ではない。世界の他の国よりも割安で利益の上がっている銘柄や市場があるならば、そこに投資したい」と話した。

ゴールドマン・サックスもBRIC株をオーバーウエートにするよう顧客に勧めており、中国を筆頭に4カ国は質の高い、安定した成長に向かい、最終的に株式投資のリターンも上がるとみている。

ただゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・ストラテジストのキャサリン・コッチ氏は、BRIC株ファンドを、成長急な新興国の第2陣「ネクストイレブン」のファンドと組み合わせるよう推奨している。

(Sujata Rao、Scott Barber記者)

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