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アングル:不振の欧州自動車市場、日本勢が踏みとどまる理由
2012年9月28日 / 09:17 / 5年前

アングル:不振の欧州自動車市場、日本勢が踏みとどまる理由

[パリ 27日 ロイター] 円高が逆風となる中、日本の自動車メーカーは販売が低迷する欧州で、攻勢をかけてくる韓国の競合に立ち向かう取り組みを慎重に進めながら、踏みとどまっている。日本メーカーは厳しさを認めつつも、この市場にこだわる価値があると判断しているためだ。

9月27日、円高が逆風となる中、日本の自動車メーカーは販売が低迷する欧州で、攻勢をかけてくる韓国の競合に立ち向かう取り組みを慎重に進めながら、踏みとどまっている。写真はパリで撮影(2012年 ロイター/Christian Hartmann)

1─8月の西欧での自動車販売台数は日本の全社が前年同期比で減少した。トヨタ自動車(7203.T)は0.9%減にとどまったが、三菱自動車工業(7211.T)では34.5%の大幅減となった。

これは、積極的な販売戦略でそれぞれ9.3%、25.1%の伸びを確保した韓国の現代自動車(005380.KS)と起亜自動車(000270.KS)とは対照的。韓国メーカーは通貨ウォン安や欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)にも支えられている。

現代自の西欧での1─8月の市場シェアは3.2%と、2007年の1.8%から上昇。起亜は1.5%から2.4%に上昇した。

トヨタモーター・ヨーロッパ(TME)のエグゼクティブ・バイスプレジデント、カール・シュリクト氏はパリ自動車ショーの報道関係者への公開を翌日に控えた26日に記者団に対し、「日本企業にとって上手くやることが厳しい地域。もし日本から自動車を持ち込めば、輸出の段階でもちろん非常に難しい」と述べた。

<こだわる理由>

日本の自動車メーカーがなぜ欧州市場にこだわるのか。

実際、そうでない企業もある。トヨタ傘下のダイハツ工業7262.Tは、欧州の厳しい環境基準や円高に対応するために必要となってくるコストの高さを理由に、2013年1月から欧州で新車販売を取り止める。

しかし、多くの自動車メーカーにとっては、欧州の規制面での厳しい要求こそがこだわる理由の一つだ。三菱自の取締役副社長、春成敬氏は今週に入ってロイターに対し、「欧州は自動車の世界的な標準が決まる場所。もしここで戦わなければ、どこへ行っても無理だ」と述べた。多くの日本メーカーは排ガスや技術に関する欧州の厳しい基準を歓迎する。世界の他地域での競争力を付けることができると期待しているためだ。

メーカー幹部は欧州連合(EU)の排ガス規制であるユーロ5やユーロ6に言及する。

欧州市場は緊縮策や高失業率、将来的に消費が控えられるとの懸念を背景に苦戦する可能性がある。だが、世界全体から見ると販売台数でまだ大きなパイを占めている。

欧州自動車工業会(ACEA)がウェブサイト上で発表したデータによると、EU27カ国の新車登録台数が世界全体に占める割合は2011年に19%。台数は1510万台となっている。

CLSAアジア・パシフィック・マーケッツ(東京)のシニアアナリスト、クリストファー・リヒター氏は、欧州が厳しい時でも、日本の自動車メーカーは欧州でのシェアが限られているため、幸運だと思えると指摘した。「ドイツや米国の自動車メーカーから比べると、この地域に対する彼らのエクスポージャーは極めて低い。経済や自動車市場の状況から考えると、それほど悪くないことだ」としている。

<一歩ずつ>

大半の日本メーカーが長年にわたって事業を展開してきたものの、独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)や仏プジョー・シトロエン(PEUP.PA)、仏ルノー(RENA.PA)、米フォード・モーター(F.N)といったブランドがひしめく競争の激しい市場で、シェアを大幅に拡大できずにいる。

ルノーと連合を組む日産自動車(7201.T)は例外で、同社は日本の主要メーカーとしては過去5年で唯一、西欧でのシェアを拡大させた。2007年のシェアは2.0%だったが、2012年には3.4%に高まった。同社はルノーから欧州で人気の高いディーゼルエンジンや手動式変速装置の供給を受けている。

日産はまた、欧州で販売される製品の約80%を現地で生産する。これは約67%のトヨタや60%のホンダより高い水準。

日本企業は円が対ドルで約77円と、5年前の120円から円高が進んだことで苦戦している。円高の進行は輸出にとって痛手となる上、2011年の東日本大震災やタイの洪水によりサプライチェーンも混乱した。

ホンダ(7267.T)の西欧でのシェアは5年前の1.9%から今年に1.0%に低下。欧州事業で不振が続いており、早期回復についても楽観視していない。

トヨタは金融サービス事業が奏功し、欧州事業が2年前に黒字復帰したが、シェアは2007年の5.8%から4.2%へと後退した。

マツダ(7261.T)の山内孝社長は27日に記者団に対し、欧州での自動車販売台数を現在の18万5000台から、数年以内で30万台に増加させる考えを明らかにした。

欧州事業を支える戦略の1つは、輸入に対する依存を減らすことだ。トヨタは新型「オーリス」を英国で、「カローラ」をトルコで組み立てるため、3億5000万ドルを投じる。

シュリクト氏は「欧州で資金を失うのは極めて簡単なことだ。慎重にならなければいけない。事業を一歩ずつ進めていきたい」とし、「誰も欧州で変わったことをする必要があると言っていない」と述べた。

日産は英国のサンダーランド工場で、クロスオーバーSUV(スポーツ多目的車)「キャシュカイ」(日本名:デュアリス)や、小型車「ノート」、電気自動車「リーフ」などの生産に9億ポンド(14億5000万ドル)を投じる計画。

一方、三菱自はオランダの工場を、雇用確保を条件に1ユーロで現地のバスメーカーに売却することで合意。長年にわたって不振が続いた事業を手放す。

同社はSUV「アウトランダー」や小型車「ミラージュ」を近く欧州で販売する。

春成氏は「現在は守勢に回っている。だが新製品の市場投入で攻勢をかけられる」とし、「悲観的になるべきではない」と述べた。

(久保田洋子記者;翻訳 青山敦子;編集 関佐喜子)

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