[サンフランシスコ 7日 ロイター] 米アップル(AAPL.O)は、韓国・サムスン電子(005930.KS)とのスマートフォン(多機能携帯電話)特許をめぐる訴訟で、アップルにとって不利な内容の米控訴裁判所の判断を覆そうとしているが、その試みが成功するかどうか厳しい情勢だ。
アップルは、サムスンのスマートフォン「ギャラクシー・ネクサス」の販売差し止めを求めているが、連邦巡回控訴裁パネルは昨年10月、アップルの請求を却下。アップルは大法廷による再審理を申し立てた。
米連邦巡回控訴裁パネルの判断は、携帯電話の機能に関する些細な特許を理由に製品の販売を差し止めることについて、ハードルを上げることとなった。法的前例はサムスンにとって有利だ。サムスンは、アップルとの特許訴訟が続く間は、製品販売を継続することができるからだ。
アップルは、連邦巡回控訴裁大法廷がパネル判断を覆すことを期待している。ただ専門家は、焦点となっている問題はそれほど議論が分かれるものではないため、大法廷による審理には持ち込めないとみている。
さらに、パネルの判断は全会一致だった。連邦巡回控訴裁は、判断が全会一致でなかった場合に、大法廷による再審理を認めることが多い。
サムスンは、「ギャラクシー・ネクサス」の販売について連邦巡回控訴裁の大法廷による再審理を行うことに反対する法的文書を準備しており、今週中にも提出される見通し。アップルが米連邦巡回控訴裁の大法廷による再審理を勝ち取るには、判事9人のうち5人の賛成が必要だ。
アップルとサムスン電子の担当者はともに、コメントを控えている。
<大法廷による再審理は可能性低い>
米連邦巡回控訴裁判所のパネルは10月、アップルが特許でカバーされている検索機能と「アイフォーン」販売との間の「因果関係」を示す証拠を十分に提示できていないと指摘。販売差し止めが正当化できるほどの損害をサムスンから被ったとは証明できない、との判断を下した。
米カリフォルニア州サンノゼ連邦地裁のルーシー・コー判事は昨年12月、サムスンの複数の携帯電話について恒久的販売差し止めを求めたアップルの請求を破棄した際に、このパネルの判断に言及していた。
サムスン製品が幅広く販売差し止めとなれば、サムスンは壊滅的な影響を受けかねない。アップルは、2010年半ばから2012年3月に販売されたサムスン製品2270万台(米国での売上高81億6000万ドル相当)が、アップルの特許を侵害している製品と主張している。
アップルは、連邦巡回控訴裁判所の大法廷による再審理に持ち込むことができなかった場合は、米最高裁判所に訴えを起こすことも可能だ。
ただ最高裁判所は近年、販売差し止めの是非をめぐる判断で原告に厳しい態度をとる傾向にあり、再審理を認める可能性は低いとみられる。
ペンシルベニア大学ロースクールのR.ポーク・ワーグナー教授は「アップルが今、再審理を勝ち取ることができなければ、これから先に勝ち取る見込みはごく小さいと言わざるを得ない」との見方を示した。