January 28, 2013 / 4:52 AM / 7 years ago

焦点:米ボーイング、787問題長期化なら想定以上に深刻な影響も

[シアトル 25日 ロイター] 米ボーイング(BA.N)787型機はバッテリートラブルの調査がなかなかはかどらず、運航停止が数カ月に及ぶ可能性もあることから、今回の問題がボーイングの経営に与える影響は当初の見込みよりも大きくなるとの懸念が高まっている。

1月25日、米ボーイング787型機はバッテリートラブルの調査がなかなかはかどらず、運航停止が数カ月に及ぶ可能性もあることから、同社の経営に与える影響は当初の見込みよりも大きくなるとの懸念が高まっている。写真は英ファンボローで昨年7月撮影(2013年 ロイター/Luke MacGregor)

日本航空(9201.T)と全日空(9202.T)の運航する787型機は日本と米国で相次いで出火や発煙などのトラブルを起こしたが、米市場関係者は問題は迅速に解決し、関連コストは数億ドル以下に収まると踏んでいた。

しかし米運輸安全委員会(NTSB)は24日、今月7日にボストンで発生した日航機のトラブルの調査はまだ「初期段階」と発表。日本で発生した全日空機のバッテリートラブルも、日本の当局の調査は問題解決からは程遠い。

BB&Tキャピタル・マーケッツの航空アナリスト、カーター・リーク氏は「調査が初期段階にあるというのは、事態がすぐに収束すると考えていた人々に対する明確なメッセージだ」と指摘。「問題が最終的に6カ月あるいは9カ月と長引けば、すべてが変わる。今の楽観論もそうだし、コスト試算も数字がもっと大きくなり始める。解決まで半年かかってしまえば、注文がキャンセルされることも考えないといけない」と話す。

投資家はまだパニックには陥っていないようだ。16日に2件目のトラブルが発生して787型機が世界中で運航停止となってから、ボーイングの株価は2.5%程度しか下がっていない。

航空防衛コンサルタント会社G2ソルーションズのマネジングパートナー、マイケル・マールゾー氏は「米金融市場の動きは、ボーイングが787型機の問題を解決できるという信頼感の証だ」と述べた。

ボーイングは787型機以外にも4機種の航空機を生産しており、売上高の40%は防衛部門を占める。

しかしボーイングは787型機の生産を続けているのに納入できない状態にあり、経営が厳しくなって投資家の信頼も試練にさらされる可能性はある。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリスト、ラッセル・ソロモン氏は「調査がだらだらと続き、単なるバッテリーの過熱では済まなくなるというのが大きな懸念の1つだ。3カ月とか6カ月も続くと想定され始めれば、影響が大きくなり、ボーイングは生産ペースを落とさざるを得なくなるかもしれない」との見方を示した。

<コストの中身>

787型機は既に運航中の50機の改修費用に加えて、生産過程にあったり納入待ちの機体約50機についても改修費用が掛かる。さらに787型機を計画通り運航できなくなった航空会社への補償や、納入遅れに伴う違約金支払いも発生するが、これについては今後の販売分の値下げで行われる公算が大きい。

トラブルが設計上の重大な欠陥が原因の可能性もあるだけに、問題解決に要するコストははっきりしない。

アナリストによると、ボーイングの現在の787型機の生産ペースは月5機だが、機体を納入できなければ最大で1カ月当たり3億ドルのキャッシュが不足する。

運航停止が長引くほどボーイングの打撃は大きくなる。航空会社が注文を再考し始め、極端な場合には一部の注文を取り消す可能性があるからだ。バッテリーの改修で787型機の重量が増し、売り物の燃費が悪化すればなおさらだ。

ボーイングが30日発表する昨年第4・四半期決算は減益となる見通しだが、同社の広報担当者はトラブルが業績に及ぼす影響については、まだ発生から日が浅いので把握できないとしている。

バーンスタイン・リサーチのアナリスト、ダグラス・ハーンド氏は最悪のケースでも問題解決のコストは3億5000万ドル、1株当たり0.30ドル程度以下と見込んでいる。またジェフリーズのハワード・ルーベル氏は、コストは2億5000─6億2500万ドルとなる見込みだが、一部は部品供給業者が負担するとみている。

調査会社ティール・グループのアナリスト、リチャード・アブラフィア氏は「比較的容易に事態が決着し、1週間以内に運航停止が解けるという期待もまだ残っている。しかしボーイングがバッテリーの設計見直しを迫られ、さらにそれに半年間を要するという強いリスクが存在し、そのリスクは高まってきている」と述べた。

<生産遅れの懸念>

より重要なのはボーイングの生産ペースへの影響だ。同社は現在の月5機のペースを今年末までには同10機に引き上げる計画。航空機は新型機向け投資の大部分が生産の初期段階で発生するため、生産ペースの引き上げはボーイングの収益計画にとって重要だ。開発投資の収支がトントンになるには1100機を生産する必要があり、生産ペースを計画通り引き上げても約10年かかる。

ムーディーズのソロモン氏によると、生産ペースが上がらなければ運転資金は最大で毎月10億ドル以上も増える。ボーイングは昨年第3・四半期末時点で60億ドルのキャッシュを保有しており、運転資金の増大に対処可能だと思われるが、問題が長引けば懸念は強まるという。

787型機の生産ペースが落ちたり、生産が完全に停止すれば、既に3年遅れになっている787型機の計画にとって大打撃となる。

BB&Tのリーク氏は「市場が今心配しているのは生産ペースが変わるのかどうかだけだ。私はそうならないと考えており、ボーイングはそうした事態に耐えられないだろう。生産ペースをいったん落とし、再び上げるのはコストが掛かり過ぎる」と話した。

ジェフリーズのルーベル氏も生産ペース低下の可能性は低いとしつつ、最悪のケースではボーイングが注文を失って787型機の生産に掛かる費用を補うことができなくなり、50億ドルの償却を行う可能性があるとしている。

(Bill Rigby記者)

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