January 15, 2013 / 4:52 AM / 6 years ago

焦点:「アベノミクス」による円安、韓国経済に恩恵も

[ソウル 15日 ロイター] 日本の安倍政権が掲げる「アベノミクス」を拠り所とする円安は、現代自動車(005380.KS)など韓国の大手輸出企業にとっては脅威だが、韓国次期政権は積極的な対応策は望んでいない。ウォン高は実際のところ韓国経済の強化につながる可能性があるからだ。

1月15日、「アベノミクス」を拠り所とする円安は、韓国の大手輸出企業にとっては脅威だが、ウォン高は実際のところ韓国経済の強化につながる可能性もある。写真は安倍首相。11日、都内で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

ウォン高を受けて大手輸出企業株は下落している。しかし韓国の経常収支が過去最高の黒字を記録しているという理由だけでなく、ウォン高は輸出依存型経済からの脱却を後押しする可能性があるため、政府高官らはウォン高容認の姿勢を示し始めた。

来月下旬に就任する朴槿恵・次期大統領は、韓国の輸出主導型経済モデルは時代遅れだと言明。輸出企業はもはや十分な雇用を提供していないため、内需型産業の強化に焦点を絞ると述べている。

有権者の考え方も変化したようだ。KBSテレビが今月報じた世論調査によると、国民は低インフレと経済の安定を最重要の経済課題と考えている。5年前の前回大統領選後に実施された同様の調査では、経済成長の推進が首位に挙げられていた。

多くの有権者は現在、ウォン安は現代自動車やサムスン電子(005930.KS)など主要輸出企業に対する実質的な補助金であると同時に、庶民の購買力を奪っていると見ている。

HSBC(香港)のアジア経済担当共同ヘッド、フレデリック・ニューマン氏は「通貨の段階的な上昇には多くの恩恵がある。1つは家計の購買力強化。加えて製造業部門に生産性向上を促す効果もある」と述べた。

<輸出企業に打撃>

アベノミクスで特に強い打撃を受けるのは、世界中で日本車と競合する韓国の自動車メーカーだ。

円が対ドルで約2年半ぶりの円安水準に下がっていると同時に、ウォンは先週、対ドルで2011年8月以来の高値を付けた。

原理上、トヨタ自動車(7203.T)は現在、利益を失わずに米顧客向けに10%以上の値引きを提供できるのに対し、現代自動車はドル建て価格を5%以上引き上げる必要がある。

現代自動車グループのある幹部は「ウォン高はわれわれの収益に影響しやすい要因だ。われわれはウォン高で苦悩している」と述べた。

韓国自動車調査研究所(KARI)が12月発表した報告書によると、円が対ウォンで1%下落すると韓国の自動車輸出は年間1.2%縮小する。

韓国は戦後、通貨安を利用して製造業輸出を拡大してきた。トムソン・ロイター・データストリームによると、ウォンの実質レートは2000年代初頭までの30年間で円に対して約80%下落した。

<雇用拡大に結び付くサービス業>

朴次期首相は内需部門および中小企業型産業の拡大を目指すと表明。財閥企業に対してはレイオフを考え直すよう呼びかけている。

朴氏は大統領選勝利後「財閥企業は利益最大化を経営の目的に据え続けるのではなく、より大きな社会との共存追求を視野に入れるべきだ」と述べた。

朴氏の政策の詳細が発表されるのは来月だが、これまでの発言に照らすと中小企業による金融市場および規制上の支援措置へのアクセスが容易になりそうだ。

朴氏の与党セヌリ党の執行部メンバーは12月初め、ロイターに対し、輸出企業支援型の為替政策から脱するべきだとの考えを示した。

セヌリ党のLee Hye-hoon氏は「為替レートの変化には常に勝者と敗者がいる。輸出企業と一部大手企業を支えるために(ドル/ウォン)レートを高水準に維持する政策には反対だ。一般国民の生活費が上昇するからだ」と述べた。

その上、製造業は以前ほど国内で雇用を生み出さなくなっている。機械化に加え、コストの低い海外に工場が移転した結果だ。

中央銀行のデータによると、非農業部門就業者に占める製造業部門の割合は2004年の20%強から着実に下がり、2011年には18%となった。この間、国内総生産(GDP)に占める製造業部門の割合は拡大している。

<ウォン正常化はスピードが問題>

韓国のサービス産業は雇用において重要な役割を果たしているが、労働生産性では製造業に大きく後れを取っている。政府は輸出に重点を置き、昨年1─9月のGDPに占める輸出比率は57%と、2007年の43%から拡大した。

野村インターナショナル(香港)のエコノミスト、Young Sun Kwon氏は「ウォンは依然、幅広い通貨に対して過小評価されており、最近の動きは正常化だ」と言う。

しかし政策当局者らはウォンの急激過ぎる上昇、あるいは為替レートのボラティリティ上昇について、輸出入企業に打撃を及ぼすだけでなく、韓国の金融安定も損なうと懸念している。

為替政策に携わる高官は「われわれにとって最大の懸念材料は、ウォン高が自己実現し、投機的な取引の結果として短期の対外負債が増大しかねないことだ」と述べた。

(Choonsik Yoo記者)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below