May 7, 2013 / 5:23 AM / 5 years ago

アングル:世界的な金融緩和で投資家がリターン確保に奔走

[ロンドン 3日 ロイター] 中銀による金融緩和で生み出された巨額の資金が世界をかけめぐる中、金融市場はインフレ高進の懸念は根拠がないかのような様相を呈している。

この1カ月で目を引いたのは、米国債からアップルの社債、イタリアやスロベニアなどの債務に苦しむユーロ圏の国債、果てはルワンダのような異色のアフリカ諸国の国債に至るまで債券を買いあさる投資家の動きだった。

今や米国やドイツの10年物国債の利回りは1%台、年初から世界的な高格付け企業が発行した社債の利率は平均で4%という低水準。6─7%という利回りが示すスロベニアやルワンダの今後10年間のリスクは問題ないかのようにみられている。

ルネッサンスキャピタルのチーフエコノミスト、チャールズ・ロバートソン氏によると、債券を追い求める投資家のスピードは「すさまじく」、「世界的な債券バブル」の兆候もみられる。

一方で投資家は、欧米で配当利回りが平均2─4%といった西側優良企業の株式を買う手を止めてはおらず、石油やコモディティーなど見入りの少ないインフレへッジ資産は敬遠されている。

こうした状況をバークレイズのエコノミスト、マイケル・ギャビン氏は1930年代のデータまでさかのぼって説明している。過去の例からみて、低成長と低インフレが同時に展開すると、株式と債券の両方が恩恵を受けるというのだ。

「原理としては、リセッションを受けてインフレと生産トレンドが弱くなり、金融緩和策の余地が拡大し、これが株価を押し上げる。現在の環境と何ら変わらない」という。

<影を潜めるインフレ>

日米欧の中央銀行が債券買い入れや低金利融資で世界に大量の資金を供給しても、長らく市場でささやかれていたインフレ台頭の懸念は後退しているようだ。

最近の世界の消費者物価指数(CPI)をみてもこの傾向は明らか。欧州中央銀行(ECB)は2日の理事会で利下げを決定したが、ユーロ圏の4月のCPI伸び率は1.2%と3年ぶり低水準で、ECBが目標とする2%をやや下回る水準を大きく下回っている。

中国ですら3月のCPI上昇率は2.1%、米国も連邦準備理事会(FRB)が長期的ゴールとする2%を下回っており、こうした傾向は世界的に一致している。

さらに重要なことは、インフレ期待が消えつつあること。

期待インフレ率の目安とされ、固定利付国債の利回りから物価連動国債の利回りを差し引いて算出されるブレークイーブン・インフレ率は急低下している。

5年物米国債のブレークイーブン・インフレ率はわずか6週間で0.5%ポイント以上低下し、過去8カ月で初めて2%を下回った。

これを踏まえると、失業率重視のFRBが4月30日─5月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、緩和策縮小を急がない姿勢と債券買い入れ拡大の可能性を示したこともうなずける。

<懸念は消えず>

ではインフレ懸念は本当に消えたのかというと、必ずしもそうではない。

投資信託会社フィデリティは顧客向けリポートで、状況を長期的なサイクルでとらえ、ポートフォリオを異なった段階に徐々に変える必要性を強調している。

同社は、現時点で好ましい投資対象は債券と株式の両方としながらも、今後の状況の変化に目を向けるべきと主張。クレジット市場の回復や、世界的な人口増加を背景とした食糧需要の高まりにより、たとえ数四半期あるいは数年後になろうとも中銀による資金供給がインフレ台頭につながる可能性を指摘している。

また英リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメントは、インフレの背景にある構造的要因を指摘。長期にわたる貿易のグローバル化の停滞あるいは後退の影響で、西側諸国の物価が上昇する可能性を明らかにした。

一方でこれと反対の見方もある。

悲観的なことで知られるソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルバート・エドワーズ氏は、投資家は的外れでデフレこそが脅威であると力説。日本が1990年代に行ったような量的緩和は失敗と主張している。

「過去15年間、投資家のほとんどは西側諸国でおこった出来事を熟考することを拒み、1990年代の日本のような対策を講じてきた。しかし最新の米国とユーロ圏のインフレデータは、われわれが日本式のデフレからさほど遠くなく、短期のリセッション状態にあることを示している」という。

(Mike Dolan記者;翻訳 中田千代子 ;編集 佐々木美和)

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