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焦点:米国で中国富裕層狙った投資相次ぐ、カジノやマンション開発

[シンガポール/香港 7日 ロイター] マレーシアのカジノ運営企業ゲンティンGENT.KLは、今週購入した米ラスベガスの土地(87エーカー)に赤や金色の仏塔を配置したり、パンダを展示したりすることを想定している。中国の富裕層を対象とした新しいカジノだ。

3月7日、マレーシアのカジノ運営企業ゲンティンは、今週購入した米ラスベガスの土地(87エーカー)に赤や金色の仏塔を配置したり、パンダを展示したりすることを想定している。同市で昨年8月撮影(2013年 ロイター/Charles Platiau)

飛行機で1時間半の距離にあるサンフランシスコでは、中国最大の不動産デベロッパー、万科企業000002.SZが、同じく中国の富裕層を引き付けるとみられる高層マンション2棟を開発するため合弁企業を設立した。同社にとって初の米進出だ。

2つの案件を合わせた開発総額は約10億ドル。ゲンティンが2016年にオープンする予定のリゾートを含めれば、少なくとも30億ドルに膨れ上がる見通しだ。

トムソン・ロイターのデータによると、アジア太平洋地域の企業からの米国向け投資額は2012年に1020億ドル。これに比べれば今回の開発総額は微々たるものだが、戦略転換を示すシグナルを含んでいる。

過去1年、アジア企業による巨額買収の多くは資源獲得を狙ったものだったが、これらの企業は今回、海外にいる中国人消費者の需要に応えようと米国に投資しているためだ。

中国政府は個人が海外に年間約5万ドル以上を持ち出すのを禁じているが、相当な額が不法に海外に流出しているとみられている。

その流出額は推計によってまちまちだが、調査グループのグローバル・フィナンシャル・インテグリティーによると、2011年だけで最大4720億ドルに達した可能性もある。

そうしたマネーは香港やシンガポール、シドニー、ロンドン、サンフランシスコなどに流れ、そこでは多くの中国人が不動産価格を押し上げている。

だが、ゲンティンや万科企業の案件が公になるまで、アジアの大企業が米国にキャッシュを流しているとの証拠はほとんどなかった。

中国の海外投資事情に詳しい米シンクタンクのヘリテージ財団エコノミスト、デレク・シザーズ氏は「中国のマネーは米国の住宅や銀行に流れ込んでいる。賢い人であれば、中国人が滞在したり、買い物したりする場所を建て始めるだろう」と話す。

<成功は不透明>

シザーズ氏は、ゲンティンや万科企業の案件について、中国の米国投資における金融危機以降の別の一面を反映しているとも指摘する。

まず、中国の個人投資家が2009年終盤に米不動産市場に投資を始め、2─3年後に中国の不動産デベロッパーが進出し始めたが、大部分は成功しなかった。

ゲンティンや万科企業の動きは、アジア企業が中国以外にいる中国人の需要を取り込むことを探っている兆候といえる。米国でこうした事情を認識していた企業はほとんどないだろう。

ゲンティンは中国人に人気のシンガポールなどにカジノを所有しているが、世界最大のカジノ都市であるマカオには所有していない。

シンガポールと比べ、ラスベガスでの利ザヤは薄く、競争は激しい。ゲンティンの成功は不透明だ。

ゲンティンのラスベガス進出は他のライバルにとっては目障りだ。

格付け会社フィッチは、ゲンティンの進出は米カジノ運営企業の「リスク」になると警告。ゲンティンのプロジェクトが街のホテル部屋数を3500室増やすとして、競争激化につながると指摘している。

<中国国内は不動産規制強化>

万科企業の米進出は、中国政府が国内の不動産規制を強化していることもあって、時宜にかなっているといえる。

クレディ・スイス(香港)の不動産担当アナリスト、ジンソン・ドゥー氏は「(万科企業は)中国本土の中国人が行きたいところならどこでも進出するだろう」と指摘。「万科企業がターゲットとする顧客は海外にいる中国人ではなく、海外への移民、もしくは国外に家を持ちたい本土中国人だ」と解説する。

ただ、万科企業の郁亮・総裁は、海外で中国人コミュニティーをつくる考えはないと指摘。「われわれが求めているのは海外のリゾースや市場であり、中国人の移民ではない。われわれは調和という概念に重きを置いている」と話す。

その他のアジア企業がゲンティンや万科企業の事例から学べることがあるかもしれない。

米調査・戦略助言会社Galaviz and Coのマネジングディレクター、ジョナサン・ガラビズ氏は、シンガポールのキャピタランドCATL.SIや香港の新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)0016.HKを引き合いに、「これらの企業や他のアジア企業は、既に過熱している可能性のある中国本土やその他のアジア地域に投資していることも認識する必要がある。米国に資産を保有し、資産の多様化を図ることは理にかなった行動といえるだろう」と述べた。

(執筆 Emily Kaiser and Farah Master;取材協力 Yimou Lee in HONG KONG, Samuel Shen in SHANGHAI, Anshuman Daga in SINGAPORE and Al-Zaquan Amer Hamzah in KUALA LUMPUR;翻訳 川上健一;編集 田中志保)

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