[東京 23日 ロイター] - 「みんながんばれ」「WELCOME」「目ざせ金メダル」──。東京五輪では小学生たちが育てたアサガオの鉢が各会場に並べられている。バレーボール会場の有明アリーナでも関係者出入口や通路沿いに置かれ、添えられた手書きのメッセージを見るたびに心がほっこりする。
新型コロナウイルス禍の中で開催される大会にただでさえ「もやもや感」があるのに、開幕直前になって式典関係者の辞任・解任が相次ぎ、「こけちゃいました」「もうなんも言えねえ」と五輪選手らのかつての名言(や迷言)を別の意味にして、あきれるしかない状態だ。
とはいえ、実際に競技が始まってみると、やはり画面を見ながら力が入る。3大会ぶりに五輪競技に復帰したソフトボールでは、エース上野由岐子のベテランらしい粘りや最年少20歳の左腕、後藤希友の快投にわくわくする。
また、男子サッカーの日本対南アフリカ戦では、選手らにコロナ陽性者が出た南ア代表が奮闘する姿を見て皆を応援したい気持ちになった。
コロナ禍での五輪に割り切れない思いでいる人は多いだろう。私もその1人だ。それでも大会が開かれるなら、そこに関わる報道関係者として私も心してかかる必要がある。
「コロナに気をつけて」「コロナに負けるな」──。小学生たちが鉢植えに込めた気持ちは選手たちだけでなく私たちにも向けられたものと解釈して、自戒の念を強めた。
(橋本俊樹)
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