August 24, 2015 / 8:38 AM / 4 years ago

パニック的な世界同時株安、日本株の「優位性」吹き飛ばす

[東京 24日 ロイター] - 世界的な株安連鎖が止まらない。中国株が大幅続落となり、パニック的な投げ売りがアジア市場で拡大、日本株にも波及している。日本株は企業業績などの面で相対的な優位性があるとされていたが、リスクオフの円高が一段と進行し外需が大きく減速すれば、影響は免れない。

 8月24日、世界的な株安連鎖が止まらない。中国株が大幅続落となり、パニック的な投げ売りがアジア市場で拡大、日本株にも波及している。都内で撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

当面は中国の政策対応などを見守る展開となりそうだ。

<「抱き合わせ」の日本株売り>

日経平均.N225は過去4営業日で約2000円下げたが、それでも昨年末からは6.2%高の水準にある。前週末時点で比べても、米ダウ.DJIはマイナス8.4%、ドイツDAX指数は3.2%高とかろうじてプラスだが、日経平均は11.3%高だった。

パニック的な株の投げ売りが世界的に広がる中、パフォーマンスが良い株を残すという選択肢もあるが、「市場がリスクオフ状態に転じれば、どの株もいったん売るのがセオリー。ポートフォリオのバランスをとるためだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

週明け24日の日経平均は895円安(4.61%)となり、韓国株(2.47%)などを大きく上回り、台湾株(4.84%)や香港株(5.17%)に匹敵する下落率となった。「利益が依然として乗っている日本株を抱き合わせで売る動きが、グローバルマクロ系などのヘッジファンドから出た」(外資系証券トレーダー)という。

「海外投資家は中国株の売買に制限があるため、日本株を代替商品として売買することもある」(外資系アセットマネジメント)という。上海総合指数.SSECは24日の市場で一時9%安まで下落。「代替商品」としての売りも日本株に波及した可能性があるとみられている。

<長期投資家には期待感も>

長期資金を運用する投資家の日本株に対する評価が大きく崩れたわけではないようだ。実際、日経平均は朝の売りが一巡した後、1万9000円を一時回復する場面があった。市場では「国内、海外の長期資金が押し目買いを入れた」(大手証券トレーダー)との声が出ている。

「1ドル120円をキープできれば、今期2ケタの増益は十分期待できる。ROEが改善していることも株高材料。ROEが2割上昇すれば、単純計算で株価も2割上昇する。数年後には日経平均で2万3000円─2万5000円が視界に入る」とニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は強気だ。

日本株の相対的な株高は、市場の期待感の裏返しでもある。4─6月期の日本上場企業の業績は23.7%営業増益(みずほ証券リサーチ&コンサルティング調べ、東証1部、金融除く)と好調だった。一方、米S&P500企業はトムソン・ロイター調べで1.2%の増益と、相対的な日本企業の業績好調ぶりが目立つ。

エコノミストからは、「世界経済のドライバーは依然として米国であり、仮に中国経済が少々減速した場合でも、日本経済に与える悪影響は限定的」(大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏)との指摘も聞かれる。パニック的な売りが一巡すれば、日本株の「優位性」が再び脚光を浴びる可能性もある。

<中国次第の展開は続く>

ただ、「日本株は中国次第の展開が続く」(メリルリンチ日本証券チーフ日本株ストラテジストの阿部健児氏)との見方も多い。中国の実体経済からの影響だけでなく、リスクオフの円高が1ドル120円を超えて一段と進めば、期待値の高い市場の増益シナリオに影を落とすためだ。

市場は株安を通じて、小手先の株価対策ではなく、金融緩和やいわゆる「真水」をともなった財政政策を中国政府に「催促」している。リーマン・ショック後の4兆元の財政出動が、過剰設備など現在の中国が抱える問題の間接的要因になっているとの見方もあるが、市場のパニック売りを止めるには「サプライズ」が必要かもしれない。

いわゆる金融相場(流動性相場)は、市場のセンチメントが相場展開を大きく左右する。金融緩和と緩やかな景気回復を背景としているだけに、「緩やか」な景気回復が「弱い」景気回復と読み換えられてしまえば、市場心理は今回のように、たやすくリスクオフに傾いてしまう。

ファンダメンタルズ的に日本株が相対的な優位性を保っているとしても、大部分が政策に依存していることにも注意が必要だろう。国内年金が株を買い増し、中央銀行も株(ETF)を購入しているという需給面に加え、企業業績が好調なのも円安効果が大きい。日本株の「優位性」が寄って立つ地盤は盤石とは言えず、日本の経済や企業が自律的な成長軌道に乗るまでは、ボラタイルな相場が続きそうだ。

(伊賀大記 編集:石田仁志)

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