Reuters logo
都議選で都民ファースト圧勝、自民敗北:識者はこうみる
2017年7月3日 / 00:42 / 5ヶ月前

都議選で都民ファースト圧勝、自民敗北:識者はこうみる

[東京 3日 ロイター] - 2日投開票の東京都議会議員選挙では、小池百合子知事が率いる「都民ファーストの会」が告示前の6議席から55議席へと大幅に躍進。推薦した候補や公明党などと合わせ、小池知事の支持勢力が議会の過半数を占めることになった。

 6月2日、小池百合子東京都知事(写真右)は、都議選で自らが代表を務める都民ファーストの会が、第1党に躍進し圧勝したことを受け、テレビのインタビューで「望外の結果に驚いている」とし「責任の重さを痛感している」と述べた。写真は都内で6月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

自民党は告示前の57議席から23議席と半数以下に落ち込む歴史的な敗北を喫した。

市場関係者の見方は以下のとおり。

<JPモルガン証券・チーフストラテジストの阪上亮太氏>

都議選の影響はあるとしたらネガティブだが、基本的には限定的だ。なぜなら今回の結果が国政に直結するわけではないし、もともと日本固有の要因に海外投資家の目は向いていなかった。日本株市場はあくまでも外部環境の影響の方を強く受ける。海外の景気動向や政策動向の方が余程重要だ。

ただ、日本の政治の安定性は安心感だった。都議選の結果を受けて今後安倍政権の求心力が下がると日本株が売られる局面もあり得る。支持率が30%台に軒並み低迷するような形になり、かつ内閣改造をしても支持率が回復しないとなると、ゆくゆくは政権交代もあり得るという見方が出てくる可能性がある。

その一方で支持率が下がってくれば景気浮揚させなくてはならないということで、安倍首相が経済政策に再び矛先を向ければプラス。どちらもあり得るのが現状で、今後の政権の出方次第といったところだ。

今の相場は、2013年─2014年のようなアベノミクスそのものへの期待で上がっているというわけではなく、海外景気の好調さを受けての堅調な業績に根ざした株高だ。政権交代という局面までいかないと株価が大きく売られるということはない。

<いちよしアセットマネジメント 上席執行役員 秋野充成氏>

国政に影響する結果となったが、その度合いがまだ見極められず、市場も様子をみている。見極めには相当の時間が必要だろう。都民ファーストの会がすぐに国政に乗り込むわけではなく、今の体制も維持される。今のところ安倍内閣の退陣まではいかないとみているが、解散ができなくなれば求心力はさらに低下する。

手が打てるとすれば内閣改造。そして改憲を棚に上げて経済対策一本槍となることなど、様々なことが考えられる。だが、経済対策でやれるとしたら「ヘリコプターマネー」ぐらいしかない。実現には強力なイニシアティブがいるため、政権基盤が強くなければ難しい。

今後は支持率がどのぐらい低下するかがポイントだ。自民党内で「安倍おろし」の動きが出る可能性もある。その場合は日本株にはネガティブだ。安倍おろしの結果、新たなトップが誕生した場合、おそらく「アベノミクス」の路線とは異なる政策をとることが予想される。日銀の政策が転換する可能性もないことはない。政策の方向性に対する不透明感を市場は嫌う。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

東京都議選では自民党が惨敗したが、為替相場は冷静に受け止めた印象だ。市場は良くも悪くも熱しやすく冷めやすい性質がある。

国政選挙ではなく地方選挙だったことも、冷静な受け止めの背景にはあるだろう。負けた相手は地域政党だし、最大野党の民進党も振るわなかった。

内閣改造などの思惑も出ている。ただ、解散・総選挙となると首相もすぐには決められそうにない。衆議院選挙のタイミングが遠のいたとすれば、市場ではいったん終わったイベントとなる。

もちろん、サプライズのある結果だっただけに、国政選挙や、内閣の政治基盤への影響は今後も注視していかないといけない。ただ、初期反応が限定的だったことから、市場ではいったん、次のテーマに目線が移っていくだろう。

ドル/円を突き動かす要因はやはり米国経済だ。月初にはISM指数やADP全米雇用報告、米雇用統計といった重要指標の発表ラッシュが控えている。この結果の方が、トレンドに与える影響としては、はるかに大きいだろう。

<SBI証券・チーフ債券ストラテジスト 道家映二氏>

東京都議選は、小池都知事が率いる「都民ファーストの会」の圧勝で終わった。一方、議席を大幅に失った自民党では「ポスト安倍」の動きが加速するかもしれない。安倍首相の衆院解散戦略はさらに難しくなっただろう。安倍首相の続投に黄信号がともったともいえる。報道等によると、安倍首相は今月中旬から8月にも内閣改造と自民党役員人事に踏み切る意向のようだ。人事で求心力を維持することで政権基盤の立て直しを優先するだろう。

衆院解散時期が来年以降に先送りとなれば、安倍首相は政治的に追い込まれかねない。来春には日銀正副総裁の任期が切れる。日銀人事にも何らかの影響が出てくるだろう。

都議選の結果は、株価にネガティブな要因で、為替に円高圧力が掛かりやすくなるだろう。円債にとって、アベノミクス相場のアンワインドということであればスティープ化の要因だが、状況次第では追加緩和につながりかねないため、大きく売られることはないだろう。

<マーケット ストラテジィ インスティチュート代表 亀井幸一郎氏>

都議選惨敗を受けて、自民党は最近の支持率の低下を真剣に受け止めるようになるだろう。衆院解散はすぐにはないと思うが、内閣改造はすぐにもあり得るとみている。

為替市場では米長期金利の上昇を受けて、足元では円が最弱通貨になっているが、個人的には、円高方向のポテンシャルが高まっているとみている。

都議選の結果を受け、アベノミクスの運営が困難になる可能性もあり、政治的な不安定はリスク要因として、市場に認識され、円高のモメンタムに結びつきやすい。

さらに、日本と欧州連合(EU)では経済連携協定(EPA)交渉が行われているが、週末にドイツで開かれるG20でも、保護主義反対を掲げる日欧間の団結が強まりそうだ。

米国は焦燥感に駆られ、結果的に、日米間の2国間交渉の進捗が促される可能性があるとみている。2国間交渉の進捗は円高圧力を醸成しやすい。

<東京大学大学院 総合文化研究科 内山融教授>

都民ファーストの会の議席は、かなりいくだろうと予想していたが、自民党が過去最低というのは思ったより悪かった。

加計学園問題、稲田朋美防衛相の発言など、アクシデントが続き、それらが固まって出てきたので逆風はかなり強かった。都議選の場合、無党派層が多いので、その投票行動が影響した。

投票率が前回を上回ったが、今回は小池劇場型のスタイルが有権者の関心を喚起すると同時に自民党のスキャンダルが、都議選とリンクされて報道されたため、有権者の都政に対する関心を高めた。

今回の結果が国政に与える影響については、すぐに安倍晋三首相の退陣要求とまではいかないかと思うが、今までのように安倍政権が安泰かというと不安定要因は出てくる。

安倍首相と距離を置く石破茂氏を筆頭にアベノミクスを批判する勉強会などの動きが、都議選を受けてどうなるか。

ここまで負けると、自民党内で安倍首相に対する反発が強まってくるだろう。党内の動きに注目する必要がある。

*内容を追加しました。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below