[東京 4日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、米雇用統計が弱いようならいったん下落するリスクがありそうだ。欧州中央銀行(ECB)の緩和策への失望を受けたユーロ買い戻しが続いた場合や、リスク回避ムードが台頭して株価が崩れるような事態も、ドルの下押しにつながりやすいとして警戒されている。
予想レンジはドル/円が121.00―124.00、ユーロ/ドルが1.0700―1.1050ドル。
週前半は米雇用統計の消化が軸になる。雇用者数の動向では「多少下振れたとしても、今月の米利上げ開始見通しにさしたる影響はなさそうだ」(外銀)。市場予想は20万人増程度となっている。ただ「翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、ドルのロングポジションをいったん調整したい向きの口実になり得る」(国内金融機関)と、下押しへの警戒感も聞かれる。
足元ではECBの緩和策が失望感で受け止められ、日銀の追加緩和期待も盛り上がっておらず「米国との金融政策の格差に対する思惑が強まりにくいため、ドル/円は上昇する場合でも緩やかになりそうだ」(外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏)との指摘が出ている。
週末11日には米小売売上高、ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が控えており、先行きの利上げペースの見極めが進みそうだ。
一方、米株価は足元でやや調整気味とはいえ、夏場の調整局面からは高値にある。年末を控えたタイミングでもあり、調整が深まるようならドル/円の上値を押さえかねないと警戒される。
中国景気の減速懸念は足元で和らいできてはいるが、引き続きリスクセンチメントの見極めで重視される。中国指標の発表では、8日に貿易収支、9日に消費者物価指数、12日に小売売上高と鉱工業生産などが予定されている。
日本サイドでは、足元で日銀の追加緩和への思惑は高まっていない。指標としては、8日に7─9月実質国内総生産(GDP)2次速報、9日に機械受注などが発表される予定。7日に黒田東彦日銀総裁の講演がある。
ユーロは12月ECBを機に大幅なショートカバーが生じた後も、引き続き上昇リスクがくすぶる。反発が強まるようならドルの頭は押さえられやすい。ユーロ圏では8日の7―9月実質GDP改定値のほか、7日に独鉱工業生産、9日に独貿易収支の発表がある。
為替マーケットチーム
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