[東京 4日 ロイター] - 来週の外為市場では、日銀の金融緩和予想の後退や、リスク回避に由来する円への資金流入が広がれば、ドル/円の上値が重くなりそうだ。また、海外ファンド勢は欧州中央銀行(ECB)理事会に向け、ユーロの売り攻めを再開する可能性もあるとみられる。
予想レンジはドル/円が111.50―114.50円、ユーロ/ドルが1.0750―1.1100ドル。
市場では、ECBが3月10日の理事会で中銀預金金利をさらに10ベーシスポイント(bp)引き下げマイナス0.4%にするとの見方が多いが、金融機関の収益圧迫につながるマイナス金利拡大を見送るとの予想もでている。また、月額600億ユーロの資産買入れ枠の拡大や預金金利に複数の階層を設ける案なども市場で取り沙汰されている。
ユーロ/ドルでは「ECBが政策発動余地を喧伝しているので、ファンド中心にユーロ売りの流れが続くとみられる。ただ、先のG20会議でも、金融政策だけで経済成長は達成できないとの認識が共有されており、追加緩和があっても、経常黒字のユーロ圏の通貨が、中長期的に大きく下振れするとも思えない」(国内運用機関)という。
他方、原油価格の反発が続き、リスクオン地合いが広がれば、ドル/円の下値は堅くなると見られているが、114円後半にはテクニカルな抵抗線が集まり、115円越えは難しそうだ。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物は3日に一時1バレル=35.32ドルまで上昇し約2カ月ぶりの高値を付けた。原油先物は先月11日に26.05ドルまで下落し、2003年5月以来の安値を付けている。
ただし、足もとの原油価格反発が腰折れしたり、英国が欧州連合(EU)を離脱する可能性が高まれば、再び逃避先通貨としての円への資金フローが予想される。
野村証券チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は、年初来の円高傾向について、「グローバルなマネーが、英国のEU離脱の可能性などを嫌気して、欧州通貨から円や金に流入していると考えられる」という。
特に、アジアの時間帯にドル/円の上値が重いのは、アジアの中銀系マネーがユーロ建て資産の一部を取り崩して、円などにシフトさせていることが背景にあるとみている、と同氏は言う。
金現物は3日、1オンス=1267.06ドルまで上昇し約1年ぶり高値をつけた。
今日発表の米雇用統計では、2月の非農業部門雇用者数(NFP)が前月比で18万人―20万人増えると予想されている。1月は15.1万人増だった。
為替マーケットチーム
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