[東京 9日 ロイター] - 来週の外為市場で、ドル/円は調整含みの展開が予想される。最大の注目イベントである米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げがほぼ織り込まれており、関心は来年の利上げペースに集まっている。ドルは週前半まで堅調地合いとなりそうだが、利上げペースの予想が想定通りとなれば、いったん材料出尽くしで調整が強まる可能性もあるという。
予想レンジはドル/円が112.50─115.50円、ユーロ/ドルが1.0450─1.0750ドル。
イタリアの憲法改正をめぐる国民投票は大方の予想通りに否決され、金融市場も大きく混乱しなかった。今週は日米株価が予想以上に上昇、リスク選好のドル買い/円売りが優勢となり、114円半ばまで値を上げてきた。
来週もこの流れが続けば、12月1日につけた直近の戻り高値114.83円を突破する可能性がある。ただ、心理的節目の115円ちょうど付近では短期筋の利益確定やオプションの防戦売りなどが予想され、一気に攻略は難しいとの見方もある。
13─14日のFOMCは、特にFOMCメンバーの金利予測の分布を示す「ドットチャート」が注目されている。「トランプ政権が発動しておらず、メンバーもそこまでタカ派に寄せないだろう」(外為アナリスト)として、来年2回の利上げが示唆された9月の会合から大きな変更はないとみられている。
3回以上に利上げのペースアップが示唆されればドル買い継続となり、115円乗せが視野に入ってくるものの、想定通り2回だった場合は材料出尽くしでいったんドル売り/円買いが優勢になりそうだという。
<ユーロは上値重い展開か>
ユーロ/ドルは上値が重そうだ。8日の欧州中央銀行(ECB)理事会では来年4月から購入規模を月額600億ユーロに減らす一方、買い入れを来年末まで延長すると表明した。
ユーロ/ドルはECB理事会終了直後に1.0875ドルまで急伸して約1カ月ぶりの高値をつけたが、その後、ニュースが消化されるとともにドラギ総裁のハト派的な姿勢も確認され、1.05ドル台まで下げている。
市場では「最初の受け止めはテーパリングということで急騰したが、基本的には緩和継続なのでユーロを買う話にはならない。むしろ先々の欧州政治リスクを考えると手放す理由の方が多そうだ」(大手邦銀)との指摘があった。
為替マーケットチーム
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