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焦点:「不動の日銀」で円安独歩、対ドルは20年ぶり水準更新

[東京 7日 ロイター] - 為替市場で円安が主要通貨に対して進んでいる。対ドルJPY=>で20年2カ月ぶりに133円台を付けたほか、ユーロや豪ドルでも円売りが止まらない。海外中銀がインフレ対応で金融引き締めに進む一方で、日銀が金融緩和姿勢を崩さないためだ。1ドル135円が視界に入ってきたとの見方も出ている。

為替市場で円安が主要通貨に対して進んでいる。資料写真、2016年1月撮影(2022年 ロイター/Jason Lee)

<「円が狙い撃ち」>

日銀の黒田東彦総裁は7日の国会で、「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言した6日の講演の釈明に追われたが、金融政策に関しては現在の金融緩和を粘り強く続けるという方針にブレはなかった。

足元の円安は、他国と日銀の金融政策の姿勢の違いが大きく影響している。原油などエネルギー価格が上昇し、インフレ懸念が市場のテーマに再浮上。積極的な利上げ観測が強まる海外中銀に対し、黒田総裁は円安についても日本経済に全体としてプラスとの考えを示し続けている。

6月、7月に続き、9月も50ベーシスポイント(bp)の大幅利上げを行うとの見方が強まっている米連邦準備理事会(FRB)だけでなく、欧州中央銀行(ECB)も7月に利上げを開始するとの観測が強く、ユーロは一時142円に乗せるなど約7年半ぶりの高水準で推移している。

オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は7日、市場予想を上回る50bpの利上げに踏み切った。今後の追加利上げを示唆したことから、豪ドルは一時95.98円と、こちらも約7年ぶりの水準まで上昇している。

対ドルだけでなくクロス円を中心した円売り圧力が強まる中、「完全に取り残された円が狙い撃ちされている」と、上田東短フォレックスの営業企画室室長、阪井勇蔵氏は指摘する。

<米長期金利はまだピーク以下>

ドル/円をけん引するのは米金利の上昇だ。米10年債利回りは3%を上回って推移しており、「米景気後退懸念が和らいでいることや株価の下落が一服していることから、米金利の動向に合わせてドルが買われやすい」(みずほ証券のチーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏)という。

ただ、米10年債利回りは3週間半ぶりの水準を付けたものの、5月9日の3.203%には届いていない。10年債でみた日米金利差もピーク水準にはまだ距離がある。今月からFRBはQT(量的引き締め)も始めるため予断を許さないが、米金利上昇の勢いは5月ほどではない。

「3─5月の米金利上昇はボラティリティーの上昇が主因だった。足元でボラは低下し、当時より落ち着きをみせているほか、期待インフレ率も低下傾向にある。ピーク金利は更新しない可能性が大きい」と、野村証券のチーフ金利ストラテジスト、中島武信氏はみる。

足元では市場のテーマが景気からインフレに移っているが、利上げが継続すれば、将来の景気減速の可能性は高まる。米積極利上げが想定される中で、米10年金利がピークの手前でとどまっているのは、こうした懸念を織り込んでいる可能性が大きい。米金利の上値が重くなれば、ドル/円の勢いも削がれる。

一方、三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏は、積極的な米金融引き締めへの警戒感から世界的に株価が下落しても消去法的にドルが選択されると指摘。目先は135円を目指す展開になると予想している。

(坂口茉莉子 編集:伊賀大記)

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