[東京 6日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、トランプ大統領の米中貿易摩擦をめぐる不規則発言で不安定化する米国株や米長期金利を背景に下値余地が意識される。また、不支持率高止まりの窮地を乗り切るべく安倍首相がのぞむ4月半ばの日米首脳会談では、2国間の日米自由貿易協定(FTA)を呑まされるリスクが意識され、円高圧力につながりそうだ。
予想レンジはドルが105.50━108.00円、ユーロが1.2100―1.2450ドル。
「米中貿易摩擦をめぐるトランプ氏の不規則発言で、腰の据わったドル買いが入りにくい。こうした発言がなければ、週後半にはテーマが米インフレと金融政策や、4月半ばに控える日米首脳会談に切り替わっていくだろう」とトウキョウフォレックス上田ハーローの阪井勇蔵氏は予想する。
トランプ大統領は5日、1000億ドルの対中追加関税の検討をUSTRに指示した。これを受け、米S&P500種Eミニ先物は1.1%下落、リスク回避の動きが広がり円が買い進まれた。
「米国は中国に対して交渉テーブルに着くように圧力をかけているが、中国側の出方待ちという状況で、為替市場ではリスクオンになりにくい」と大和証券、チーフ為替アナリストの亀岡裕次氏は言う。
安倍晋三首相は4月17日から20日に訪米し、日米首脳会談を行う。対北朝鮮政策における日米韓の協調体制を再確認し、米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう求めるが「温度差」が露呈する可能性もあり、会談の成果には不透明感が漂う。
「不支持率が50%に高止まる安倍首相は、外交面で点数を稼ぎ、窮地を乗り切るつもりだろうが、米国は日本の足元を見ている。米国は防衛費の追加や2国間FTAをねじ込んでくる可能性がある」(国内エコノミスト)との声が聞かれた。
元財務官の篠原尚之・東京大学教授は、ロイターの取材に対し「日本としては『貿易は多国間の枠組みでやるべき』と言い続けるのだろうが、米国は乗らないだろう。いずれは米国のFTA交渉の要求を受け入れざるを得ないのではないか」との見通しを示した。
きょうは3月の米雇用統計が予定され、3月の平均時給は前年同月比で2.7%上昇が見込まれている。非農業部門雇用者数は前月比18.5万人増と縮小する予想だ。
為替マーケットチーム