[東京 18日 ロイター] - 来週の外為市場では、米金利高を支えとするドルの堅調展開が続きそうだ。一方で、金利上昇が株価の下げにつながったり、新興国市場の動揺を引き起こしたりすれば、リスク回避的に円が買われる可能性もある。
イタリアの連立協議や北朝鮮、イラン情勢といった政治問題も、懸念が表面化すれば市場に小さくない影響を及ぼす可能性がある。
予想レンジはドルが109.00━112.00円、ユーロが1.1700―1.2000ドル。
来週も最大の注目点は米金利の行方。7年ぶり高水準をつけた10年債利回りと歩調を合わせる形で、主要通貨に対するドルの値動きを示すドル指数は年初来高値を奪回。対円でも111円台と4カ月ぶり高値をつけた。テクニカル的に上抜けた米金利は一段高の公算ありとの見方が多く、しばらくドルの支えとなりそうだ。
米金利に直接影響しそうな手がかりは入札。22日に2年債330億ドル、23日に5年債360億ドル、24日に7年債300億ドルが予定されている。今週の入札では3年債の最高落札利回りが11年ぶり、10年債が同4年ぶり、30年債が同1年ぶり高水準だった。入札の不調ぶりが目立てば、金利上昇が逆に市場の不安心理を強めるかもしれない。
米国の金利高が、株式市場や新興国市場にどう響くかも焦点のひとつ。特に新興国では、トルコやアルゼンチンなど経常赤字国が、それぞれの懸念材料も重なり資本流出に見舞われている。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に揺れるメキシコ、本命不在の大統領選を10月に控えるブラジルなど、その他の国も不安材料には事欠かないだけに、警戒ムードの広がりには要警戒だ。
数多くの政治・地政学リスクにも注意が必要だ。21日にポンペオ米国務長官が包括的なイラン政策を発表する予定で、23日から25日の間には北朝鮮が核実験場を廃棄する方針。2度目の直接交渉を行った米中貿易問題は依然隔たりが大きいもようで、つばぜり合いが続く見通し。イタリアでは大衆迎合主義(ポピュリズム)政党の「五つ星運動」と極右政党の「同盟」による連立協議が、同国の金利上昇や株安につながっている。
ただ、最近の市場ではリスク回避時にドルと円がともに買われることが多く「結果として値動きが他通貨ペアより悪くなり、変動率の低いドル/円を手がける参加者は減少ぎみ」(邦銀)という。短期筋はユーロ/円などのクロス円に活路を見出そうとしている。
為替マーケットチーム
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