[東京 21日 ロイター] - 今週の外為市場では、米長期金利の動向と対欧州通貨でのドル高がポイントとなりそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て、快進撃を続けてきたユーロや英ポンドの潮目が変わった可能性があり、欧州通貨に対してドルが一段高となれば、ドル/円も111円台への道が開けそうだ。
予想レンジはドルが109.00━111.50円、ユーロが1.1750―1.2000ドル。
上田東短フォレックスの営業推進室長、阪井勇蔵氏は「市場は金融政策の正常化に一歩踏み出した米連邦準備理事会(FRB)と、現状維持の欧州中央銀行(ECB)の政策格差を意識し始めたため、ユーロを買いづらくなっている」と指摘。ユーロの先物ロングが依然高水準にあることに鑑みて、ロングの手じまいに伴う下げ余地はまだありそうだと同氏はみている。
ユーロはFOMC直前の高値1.2134ドルから1.1847ドルまで急落した。
IMM通貨先物の非商業(投機)部門の取り組みによると、ユーロロングは8日時点で10万7213枚と、3月以来の高水準となる10万枚台に乗せている。 「対欧州通貨でドル高が進めばドル/円も111円への道が開けるが、波乱要因はクロス円だろう」と阪井氏はみている。不安定な株価や商品相場を背景にクロス円でリスク回避の円買いが広がれば、ドル/円の足を引っ張りかねない。FOMCを挟んでユーロ/円は133円半ばから130円半ばまで急落し4カ月ぶり安値を付けた。
FXcoin取締役の上田眞理人氏は「米国が他の国に先んじて景気回復軌道に乗ったのは間違いない。実体経済の強さを反映して物価が上昇し、米長期金利も徐々に上昇して、ドルは買われる」と予想する。
日本の機関投資家も為替リスクをある程度取りつつ、米債への投資を再開すると同氏は予想し、ユーロ安やクロス円の下落によって、これまで欧州で運用されてきた資金が米国に戻る可能性が高いとの見方を示す。
英中銀(BOE)は24日に金融政策委員会を開催する。ロイター調査によると、今回は政策金利を0.10%に据え置く確率が高いが、2023年までには0.50%までの引き上げが見込まれている。
英ポンド/円はFOMCを挟んで155円前半から153円前半まで急落した。
25日には、FRBが物価指標として注目する5月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。4月は同指数が前年同月比で3.1%上昇し、1992年7月以来の大幅な伸びを記録した。今回も市場の関心は高い。
為替マーケットチーム
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