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円は強弱感対立、欧州の楽観と米中の悲観=今週の外為市場

[東京 1日 ロイター] - 今週の外為市場では円の売買が交錯しそうだ。欧州復興基金への期待感は楽観論の支えとなってユーロ高や円安に作用しそうだが、米中対立への懸念は悲観論の広がりとともに、逃避的なドル買いや円買いを招きかねない。

予想レンジはドルが106━109円、ユーロが1.08―1.12ドル。

主要通貨間で先週、上昇が目立ったのはユーロやノルウェークローネなどの北欧通貨。欧州委員会が新型コロナウイルス支援策として7500億ユーロの復興基金案を公表したことが手掛かりだ。

事前の独仏提案は5000億ユーロ。それを超える規模が打ち出されたことは、市場で「大きなサプライズ」(外銀)となり、債券市場でもスペインやポルトガルの10年国債が買われ、両国の利回り水準は再び米国債を下回った。

もっとも、いつも足並みの乱れが目立つユーロ圏で、今回の案がすんなり成立するとの見方は少数。融資と補助金の内訳、利用条件や使途など論点は多く、6月の首脳会議ではまとまらず「夏頃まで持ち越されるのでは」(証券)との声が早くもあがる。

同時に、4日に行われる欧州中央銀行(ECB)理事会も注目度が増している。政策変更はないとの予想が多数派だったが、直前になってパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の柔軟化観測が急浮上してきたためだ。

きっかけは理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁の発言。PEPPの運営について、加盟国の経済規模や出資比率に応じた買取割当(キャピタルキー)にこだわれば、余計な制約を生み、政策の有効性を損なうと主張した。

キャピタルキーの柔軟化が実現すれば、イタリアやスペインなどの周辺国には追い風。ここ数日のユーロ高や周辺国金利低下の背景には、そうした要因もある。

一方、経済活動の再開とともに激化し始めた米中対立は悲観の種だ。中国が全国人民代表大会(全人代)で「香港国家安全法」を採択したことを受け、英米豪加の4カ国は、同法が1984年の香港返還協定に違反している、とする共同声明を発表した。

さらに米国では、中国でウイグル族などイスラム教の少数民族弾圧に関与した人物に制裁を科すよう、トランプ政権に求める法案を上下院が可決。大統領の署名を経て成立する見通し。

トランプ大統領は、注目された29日の記者会見で、中国が香港の高度な自治に関する約束を破ったとし、「香港に対する優遇策を撤廃する措置を取る」としたうえで、香港の自治の阻害に関与していると見なす人物に対し制裁措置を導入すると表明した。

他方、トランプ氏が米中通商合意を維持する姿勢を示したことで、金融証券市場には一定の安心感が広がった。

為替マーケットチーム

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