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株安・債券安・円安のトリプル安:識者はこうみる

[東京 26日 ロイター] - 26日の東京市場では、株安・債券安・円安のトリプル安となっている。市場関係者の見方は以下の通り。

 2月26日、東京市場では、株安・債券安・円安のトリプル安となっている。2013年撮影(2021年 ロイター/Shohei Miyano)

●金融相場の終局、今後はインフレに警戒

<ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部 シニアエコノミスト 渡辺浩志氏>

昨日の米株安の最大の要因は米長期金利の急騰だ。これまでは景気回復期待を反映した期待インフレ率の上昇が中心だったが、ここ2週間ほどは実質金利が大きく上昇している。実質金利の上昇は民間の投資活動を鈍化させ、景気悪化のリスクとなる。PER(株価収益率)を低下させるような要因にもなりやすく、株式市場の腰折れにもつながる「悪い金利上昇」の面がみえてきている。

金融相場の終局で調整が行われている可能性も高い。金利上昇の背景としては米バイデン政権の財政出動や景気回復期待があり、今後は企業業績、EPS(1株あたり純利益)の回復が主導する「業績相場」に変わっていく。その端境期で急に金利が上昇し、金融相場が終わりを迎えそうなのに米連邦準備理事会(FRB)は静観の構えを見せ、マーケットにショックが起きているような状況ではないか。

金利以外の大きなリスクは、インフレだ。景気回復による物価上昇は「良いインフレ」だが、原油やコモディティー価格の上昇をみるとコストプッシュでインフレが進んでいるのが現状。インフレが進むとFRBも金融緩和引き締めに向かわざるを得なくなる。それによって、FRBにも制御不能な金利急騰が起きれば、懸念材料となるだう。

●日銀ETF購入見送りで株式市場は売り方心理優勢に

<東海東京調査センター シニアストラテジスト 中村貴司氏>

米国の金利上昇、株式市場の動向次第というのはあるものの、日本株固有の要因で言えば、このところ下げ局面で見送っている日銀のETF買いが入るか否かも、目先の底入れの条件になりそうだ。

日銀がETF購入を見送って以降、売り方を心理的に優位に立たせたのは事実で、前場から売り仕掛けをしやすくなっている。仮にきょうの後場に日銀が購入した場合、売り方の優位性が後退し、日経平均が自律反発した後の下振れ幅は小さくなるだろう。たとえ金額が小さくても、買い姿勢を示すだけで、クラッシュした際には大量買いが入ると想定できるようになるからだ。反対に、日銀が買わないうちは地合いが軟化した局面での下げが大きくなるとみられる。

一方、物色面では値がさグロース株の崩れが指数の下落を先導しているが、一方でバリュー株に底堅い銘柄も目立ち、その結果、きょうは日経平均に比べてTOPIXの下落率は小さい。金融商品全体がリスクオフとなる中で、原油価格が比較的底堅く推移していることを踏まえると、経済正常化の流れを買う動きに変化はないとみていいだろう。さらに、3月に入ると配当権利取りも意識されるようになるため、底が入った後は、グロース株がもたつく一方で、バリュー株が相場を支えるようになるのではないか。

●長期金利0.2%つける状況なら日銀出動へ

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアマーケットエコノミスト 六車治美氏>

きょう午前10時10分には日銀臨時オペなどは入らなかった。金利が朝方の急上昇からはやや落ち着いてきており、日銀としては、前場のこのタイミングでは出動しなくても金利が一方向に上がることはなさそうだと判断したのだろう。

ただ、きょうは週末でもあり、この後またポジション調整の売りが出てくる可能性はまだあり、(10年金利が)0.2%をつけに行くような状況になれば、そこで何らかのアクションに出る可能性は残っている。

また、きょうは黒田日銀総裁が国会に呼ばれているとのことであり、そこでの質問次第ではあるものの、総裁が何らかの金利上昇をけん制するような発言をする可能性もある。

目先の米金利動向については、不安定な市場動向が続く可能性があると考える。一方で、国内長期金利は、今後の日銀のアクションや米金利動向にもよるが、0.2%を付けないという強い理由はなく、もう0.2%は視野に入っている。その場合、日銀がその水準で(臨時オペなどの)アクションをとることによって動きを制御することは可能であり、0.2%が目先の上限だと言えよう。

きょう夕方発表の「オペ紙」(3月の長国買い入れオペの月間予定)については、現時点でも特段の変更があるとは予想していない。

●調整局面へ、3月はリスク抑える傾向

<T&Dアセットマネジメント ストラテジスト兼ファンドマネージャー 浪岡宏氏>

米長期金利の上昇についてはさまざまな見方があるが、今回は実質金利の上昇がポイントだ。期待インフレ率の上昇だけでは株価に大きな影響を与えないが、今回は実質金利も上がってきている。

市場ではこのところ「テーパーなきタントラム」がささやかれている。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はハト派姿勢を貫いているものの、市場は疑心暗鬼になりつつある。ポジションを見ても、プット・コールレシオは傾きつつあるほか、ボラティリティー指数(VIX)先物のショートも積み上がってきている。これまで蓄積されてきた市場の不均等を是正する形で、株はこの先調整入りしてもおかしくないだろう。

来週は月初ということもあり、2月米ISM製造業景気指数をはじめとする経済指標が発表される。このところ株価は景気回復期待で上昇し続けてきたこともあり、仮に経済指標の内容が良くても、株は「事実で売られる」可能性がある。また、ファンドマネージャーは年度末に評価を控えているため、2─3月はリスクを抑え、利益確定売りをする傾向がある。当面は乱高下を警戒すべきだろう。

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