Reuters logo
円高・株安懸念が再燃、米政権の不透明感で:識者はこうみる
2017年5月18日 / 02:38 / 6ヶ月前

円高・株安懸念が再燃、米政権の不透明感で:識者はこうみる

[東京 18日 ロイター] - 東京株式市場で18日、日経平均の下げ幅は一時300円を超え、1万9500円の節目を割り込んだ。前日のニューヨーク市場では、トランプ米大統領による司法妨害の疑惑や弾劾の憶測が広がる中、米ダウは372ドル安と急落。ドル/円は一時110円台まで急速に円高が進行。

 5月18日、日経平均は下げ幅が300円を超え、1万9500円の節目を割り込んだ。前日の米ダウは372ドル安と急落。トランプ米大統領による司法妨害の疑惑や弾劾の憶測が広がる中、ドル/円は一時110円台まで急速に円高が進行した。写真は都内で2015年8月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

再燃する円高・株安懸念について、市場関係者のコメントは以下の通り。

●米大統領リスクで円ショートの投げ、やや過剰反応か

<あおぞら銀行 市場商品部部長 諸我晃氏>

前日の海外時間は、米株の大幅安を受けて円全面高となった。トランプ米大統領を巡るリスク警戒で米株が崩れ、リスク回避ムードが強まった。

仏大統領選を無難に通過したことで、先週まではリスク回避の円買いが巻き戻される円ショートの地合いだった。米大統領のリスクは、市場が油断していたところに唐突に浮上してきただけに、円ショートの投げが一気に出たのだろう。

ただ、前日の動きは、やや過剰反応にも見える。ここまでの円高は、ひとまず円ショートの手仕舞いが軸だろう。先行き、米大統領のリスクに関連した続報などで、例えば米長期金利がテクニカル的なめどを下抜けるようでもなければ、新たに円ロングを構築する動きは強まらないのではないか。

米10年債利回りでは2.13%付近を通る200日移動平均線を割り込むなら、ドル/円も年初来安値108.13円方向に下落し得る。

●日米株は5%前後の調整も、コミ―氏議会証言など注視

<みずほ証券 投資情報部部長 倉持靖彦氏>

トランプ米大統領がロシアやフリン前大統領補佐官への捜査を止めるように指示していたと、FBI(連邦捜査局)のコミ―前長官がメモを残していたと伝わっている。事実なら司法妨害の罪に問われることとなる大きな話であり、市場もショック的な反応を見せている。米国株は直近までナスダック指数を中心に堅調だったこともあり、その反動も加わった。

5月24日にはコミ―氏の議会証言が予定されているとされている。そこでどのような証言がされるのか、という点がポイントとなる。さらに25日にはモンタナ州の補欠選も控えている。共和党地盤の州だが、そこで共和党が負けるようなことがあれば、中間選挙への危機感が高まることとなる。大統領の弾劾は今の時点では共和党は後ろ向きとみられているが、世論の動向次第では弾劾やむなしといった方向に進む可能性がある。

その間、市場も右往左往することが見込まれる。米国株は高値から5%前後の調整が考えられる。もっとも、モニカ・ルインスキー問題があった局面は、事前に米国株が調整している。ウォーターゲート事件の時の米国株安は、オイルショックも重なった。今回、米国株は高値圏にあるなど過去の局面との比較は難しいが、米国景気自体はしっかりしている。日経平均も米国株と同程度の調整が考えられる。米国株以上にボラティリティーが高まる局面もあるだろう。

ただ仮にトランプ大統領が罷免された場合、ペンス副大統領が大統領を代行することになることが考えられる。ライアン下院議長を含め、キャリアのある政治家らによる共和党の党勢立て直しが進み、大型減税などの政策の実現に向けた動きが一気に進むことも想定できる。

●ドル下げやすい、米大統領巡るヘッドライン注意  

<バークレイズ証券 シニア為替・債券ストラテジスト 門田真一郎氏>

トランプ大統領の言動について、民主党議員が弾劾に言及したり、共和党内部でも批判的な発言が見られたりするようになってきた。トランプ政権の持続可能性や政策執行能力に対する疑問の高まりが「トランプトレード」の巻き戻しにつながっている。

弾劾は、米下院で過半数の同意をとり、上院で開く弾劾裁判で3分の2以上の賛成票を得る必要があるので、現実的にはハードルが高い。ただ、米議会が米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官に公聴会出席を要請しており、引き続き、この問題に関するヘッドラインに振られやすい相場が続きそうだ。

ドル/円は、フランス大統領選の無難通過で買われた部分はあったが、そもそも米国の経済指標で予想下振れが増えたことや、グローバルで購買担当者景気指数(PMI)が低下傾向になるなど、ファンダメンタルズ的には下方向に加速しやすい環境だった。このトランプ氏を巡る問題がさらにこじれた場合、状況次第で年初来安値108.13円近辺への下落も否定できない。

●トランプ疑惑で日経平均1万9000円まで調整も

<大和住銀投信投資顧問 経済調査部部長 門司総一郎氏>

コミー前連邦捜査局(FBI)長官の解任や機密情報漏洩疑惑、フリン前大統領補佐官を巡る捜査妨害の可能性など、トランプ米大統領を巡る一連の悪材料はひとまず、昨日の米株ときょうの日本株の急落で織り込まれた。ただ、政権内部から情報が漏れているということで、追加的にトランプ氏にとってマイナスとなるニュースが出てくる可能性は無視できない。その場合、日経平均は1万9000円まで調整するだろう。

弾劾裁判を行うかどうかは、議員がトランプ氏の支持率を見ながら決める。支持率は2、3日前までは40%台を維持していたが、これが30%台前半になったら弾劾裁判の可能性が現実味を帯びてくる。今40%を切っている世論調査も出始めている。

仮に罷免され退陣に追い込まれた場合、ペンス副大統領が代行することになろう。ペンス氏の地元はトヨタ(7203.T)、SUBARU(7270.T)など日本企業が多数進出しているインディアナ州。同氏の地元経済は日本企業に依存しており、日本との関係の重要性は理解していると考えられる。市場はかえって、ペンス氏の代行を歓迎するだろう。

日経平均はこれ以上の悪材料が出てこなければ、1万9500円を少し割れたきょうの水準で踏みとどまる。元々、国内企業業績は良いし、今回の悪材料がなければGDPを好感して2万円台を回復していたと想定される。ただ、決算発表とGDPを消化し、日本市場は材料出尽くし状態。2万円に向かって再び前進するには少し時間がかかる。5月中の大台乗せは難しいかもしれない。

*情報を追加しました。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below