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16年度相場は波乱の幕開け、業績懸念強めた日銀短観

[東京 1日 ロイター] - 厳しい2016年度相場のスタートとなった。円高は限定的だったが、日本株は大幅安。売りの背景は日本企業の業績懸念だ。この日発表された3月日銀短観で示された業績予想や想定為替レートが先行きの不安を強めている。政策催促相場になったとしても、持続的な業績拡大期待が高まらないようであれば株価の反発力は弱くなりそうだ。

 4月1日、厳しい2016年度相場のスタートとなった。円高は限定的だったが、日本株は大幅安。売りの背景は日本企業の業績懸念だ。写真は都内で昨年7月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

<海外勢が警戒する業績下振れ>

ネガティブ・サプライズの業績予想といえるかもしれない。3月日銀短観で示された2016年度の経常利益は全規模・全産業で前年比2.2%減となった。

新年度の収益計画は、3月の日銀短観で初めて明らかになるが、1997年以降、経常利益予想が前年比マイナスで出たのは09年と14年の2回しかない。「その後下方修正されるにしても、最初はわずかでも増益の計画を出してくるはず」(国内証券エコノミスト)との期待は裏切られた。

14年度の経常利益の結果は5.9%増と増益で着地したが、今年度は業績下方修正の可能性を秘めている。3月短観で示された大企業・製造業の想定為替レートは1ドル117.46円と足元の水準から約5円の円安。1円の円高で0.5%の減益要因とすれば、2.5%の下押し要因になる。

「昨年度までと真逆だ。海外投資家は、景気や業績に下げ止まり感がある米国企業などに業績上振れを期待している一方、円安の追い風が消えた日本企業には業績下振れリスクを警戒している」(JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏)という。

1日の値下がり率2位(東証1部)はパナソニック6752.Tの12%。同社は31日に、17年3月期が減収・減益になるとの見通しを発表、19年3月期の売上高10兆円目標も撤回した。市場の業績懸念を示した株価の動きといえる。

<日経1万5000円割れ予想も>

年初からの日本株安の要因としては、中国景気減速や原油安など海外の材料も指摘されているが、突き詰めれば日本企業の業績悪化に集約される。

足元の日経平均の予想一株利益は約1123円。前年度ピークの1275円程度からは、約150円下がったことになる。PER(株価収益率)15倍なら2250円分だ。日経平均は前年度1年間で2448円下がったが、業績悪化でほぼ説明がつく。

15年度の業績予想に関しては保守的な予想が多いとみられており、4月後半からの3月期決算企業の業績発表時点では、上方修正される可能性が大きい。しかし、今年度は円高や世界景気の減速など逆風が吹いており、減益決算の可能性が高まっている。

ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は15年度の1株利益の着地を1200円とみる。しかし、今年度は中立シナリオで1120円(7%減)、悲観シナリオで1038円(13%減)と予想。「悲観シナリオではPERは13─14倍に低下、日経平均は1万3500円─1万4500円がフェアバリュー」という。

<政策効果には冷めた見方>

足元の株安は政策催促相場ともいえるが、市場では「今後、景気対策が打ち出されたとしても、短期的にはともかく、中長期的な業績拡大期待は高まらない」(外資系投信)と冷めた見方も多い。

日銀がマイナス金利政策の導入を決定してから2カ月。市場の一部では、4月の追加緩和期待も高まってきているが、今回の3月短観にみる「政策効果」はまちまちだ。

金融機関の貸出態度DIが上昇し、借入金水準判断DIが低下するなどマイナス金利のポジティブ効果がみられている項目もある。しかし、利回り低下による運用難に苦しんでいる銀行業のDIはプラス16と前回比8ポイント低下。先行きはプラス8とさらに低下する見通しだ。

日銀短観の業況判断DIには金融機関は含まれないが、もし含めれば、全体の景況感はさらに悪化する。マイナス金利政策がなければ、全体の景況感はもっと悪化していたということも可能だが、日本経済をトータルにみて、マイナス金利政策の景気押し上げ効果は現時点ではそれほど大きくない。

販売価格DIから仕入れ価格DIを引いた「マージン」は先行き低下。輸入品などのコストが上昇する一方、消費環境は厳しく、業績改善期待は高まりにくい。財政政策で消費を押し上げても短期的効果しかないことは、バブル崩壊後の日本経済が示している。

アベノミクスを支えてきた企業業績に暗雲が漂い始めている。

(伊賀大記 編集:石田仁志)

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