[東京 10日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は続伸した。米中間の貿易摩擦が警戒される中、中国の習近平国家主席が自動車など一部製品の輸入関税を引き下げる方針を表明したことが伝わり、買い戻しの動きが強まった。一方、シリア情勢やフェイスブック(FB.O)CEOの議会証言への警戒感がくすぶり、上値余地は限られた。
朝方の日経平均は売りが先行。円高進行が嫌気されたほか、米政治問題やシリアでの化学兵器使用疑惑による地政学リスクの高まりなどが意識された。その後、米株先物の上昇や円高一服をにらんでプラスに転じた。
前引け前に中国の習近平国家主席による輸入関税引き下げ発言が伝わると、自動車株などに買いが入り、上げ幅は一時200円を超えた。後場は、シリア情勢のほか、フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の議会証言への警戒感から上値は重く、伸び悩んだ。
中国の国家主席の発言を踏まえて、市場では「米中貿易摩擦の事態改善に向けた動きと受け止められる。この数日、上値を抑えられてきた2万1750円付近も上抜けており、相場のムードが変わってくるのではないか」(SBI証券の投資情報部長、鈴木英之氏)との声が出ていた。
TOPIXは前日比0.35%高で取引を終了。東証1部の売買代金は2兆7034億円だった。セクター別では鉄鋼、機械、石油・石炭などが高かった一方、医薬品、サービス業、食料品などは軟調だった。
個別では、リソー教育(4714.T)が大幅続伸した。2019年2月期の純増益予想や年間の増配予想を9日発表したことが好感された。新規事業である長時間英才託児事業などの収益力強化を図るとしている。
一方、小野薬品工業(4528.T)が大幅下落。製薬大手メルク(MRK.N)のがん治療薬「キイトルーダ」が後期臨床試験で主要目標を達成したと伝わり、競合品を手掛ける小野薬品にとってネガティブと受け止められた。
東証1部の騰落数は、値上がり1129銘柄に対し、値下がりが873銘柄、変わらずが80銘柄だった。
日経平均.N225
終値 21794.32 +116.06
寄り付き 21599.67
安値/高値 21542.37─21933.99
TOPIX.TOPX
終値 1731.94 +6.06
寄り付き 1720.97
安値/高値 1717.77─1742.40
東証出来高(万株) 146866
東証売買代金(億円) 27034.74