[東京 13日 ロイター] - きょうの東京株式市場で日経平均株価は反発する見通し。シリア情勢を巡る懸念が後退したことを受け、前日の米国株は上昇。為替もドル高・円安に振れた。これらを支えに主力株は買いが先行する見通し。前日に通期業績予想を発表した安川電機(6506.T)株が堅調に推移すれば、景気敏感セクターの地合い好転に寄与するとみられている。
日経平均の予想レンジは2万1700円─2万1900円。
前日の米国市場でダウ.DJIとナスダック総合.IXICは1%を超す上昇となった。トランプ米大統領は12日、ツイッターでシリアに対する軍事攻撃の可能性について、「すぐかもしれないし、全くすぐではないかもしれない」と投稿。地政学上の懸念が後退したほか、米企業決算への期待も加わり、株高につながった。
またトランプ大統領は同日、環太平洋連携協定(TPP)への復帰を検討するよう、通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と国家経済会議(NEC)のカドロー委員長に指示したと、共和党議員が明らかにした。さらに米ホワイトハウスは日本時間13日早朝、トランプ米大統領がシリア情勢を巡り国家安全保障チームと協議を行ったものの、「最終決定には至っていない」と発表している。
シカゴの日経平均先物6月限(円建て)清算値は2万1810円。大阪取引所の夜間終値は2万1840円まで強含んでいる。米国の保護主義姿勢が緩和するとの思惑や、地政学リスク後退との受け止めを背景に、序盤の東京市場で日経平均は反発して始まる公算が大きい。
きょうは4月限日経平均先物ミニ・オプションの特別清算指数(SQ)算出日となる。前日には指数寄与度の高いファーストリテイリング(9983.T)が2018年8月期業績予想の上方修正を発表。寄り付き直後は需給的な波乱が警戒される局面だが、上方向に振れたとしても、日経平均は3月以降、2万2000円近辺で上昇が一服する動きを繰り返しており、高値圏では戻り売り圧力が強まると予想されている。
トランプ大統領によるTPP復帰検討の指示については、「言葉尻だけみれば日本株にはプラス材料」(国内証券)との声が出ている。これに加えて、安川電機が前日に発表した19年2月期連結業績予想は、営業利益が前期比14.7%増となり、過去最高を更新する見通し。同時に自社株買いも発表している。同社株が好反応をみせれば、ハイテク企業の今期業績に対する市場の過度な警戒感が和らぎそうだ。
市場では「個別銘柄の反応が心理面に及ぼす影響は大きくなりそうだが、決算のサンプル数が増えるのはこれから。週末を控えていることもあり、(市場推計による)SQ値が決まった後は、為替相場をにらみながら動くイメージ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資ストラテジストの三浦誠一氏)との声が出ていた。
きょうは国内では主な経済指標の発表などは予定されていない。海外では中国3月貿易統計、ユーロ圏2月貿易収支、米4月ミシガン大消費者信頼感指数速報値などが公表される予定。ウェルズ・ファーゴやシティグループ、JPモルガン・チェースの決算発表も控えている。
前営業日終値 年初来高値 年初来安値
日経平均.N225 21660.28 24129.34 20347.49
-26.82 2018年1月23日 2018年3月26日
シカゴ日経平均先物6月限 21810(円建て)
*内容を追加しました。
長田善行