[東京 6日 ロイター] - 今週の東京株式市場は、2万9000円台での値戻しの展開が想定されている。菅義偉首相は3日、自民党の総裁選挙に立候補しないことを表明。首相退陣で海外投資家の日本株回帰が期待されており、本格的な上昇トレンドへの転換点となるかが注目されている。米国株式市場では過熱感が懸念されるが、日本株は出遅れ感の修正に拍車がかかるとみられている。
日経平均の予想レンジは2万8900円─2万9900円。
3日の東京株式市場で、日経平均は前営業日比584円60銭高の2万9128円11銭と大幅に5日続伸し、約2カ月ぶりに2万9000円台の大台を回復した。週間では1486円97銭(5.38%)上昇。テクニカル的には200日移動平均線(2万8321円59銭=3日)・75日移動移動平均線(2万8311円68銭=同)などの主要移動平均線を全て突破しており、下落相場から上昇相場への転換を示唆する格好となった。
市場では「首相交代によって閉塞感が漂う政局の不安解消が期待されている」(アイザワ証券の市場情報部長、坂瀬勝義氏)などの声が聞かれる。菅首相の退陣を好意的に捉える見方があるほか、総選挙期間中は日経平均が上昇するというアノマリーも先立って意識されているという。「短期間の急上昇ではあるが、地合いはいい。自律調整をこなしながらも、徐々に下値を固めていくとみている」(国内証券)という。
一方、3日発表された8月の米雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比23万5000人増となり、市場予想(ロイター通信調べ)の72万8000人増を大幅に下回った。景気回復のペースを巡り不安が広がる一方、目先のテーパリング(量的緩和の縮小)観測は後退するなど、まちまちの心理になり、同日の米国株式市場はナスダック総合指数が最高値更新、ダウ工業株30種とS&P総合500種指数は小幅安となった。
市場では「雇用統計の内容は悪いが、テーパリングの早期着手を巡る懸念が後退し、いいとこ取りな解釈となりそうだ」(三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト、市川雅浩氏)との声が聞かれる。雇用統計通過後で日本の政治に関心が集まる中、期待で今週も好地合いが継続するとみる市場関係者は少なくない。
主なスケジュールでは、国内で4─6月期の実質GDPの2次速報の公表、メジャーSQ値の算出日を控えている。6日の米国株式市場はレーバーデーに伴い休場となる。
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