[東京 11日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、神経質な展開が予想される。米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀の金融政策決定会合など重要イベントを控え、警戒ムードが一段と強まるとみられている。市場の関心はFOMC後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言に向かっており、早期の緩和縮小(テーパリング)を巡る姿勢が注目される。
日経平均の予想レンジは2万8500円―2万9500円。
この1週間の日経平均は値動きが小さく、11日の終値は前週末比7円21銭高に終わった。様子見ムードが強まり、上値に対して慎重な動きとなった。10日発表された米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.0%上昇し、約13年ぶりの大幅な伸びとなったものの、前月比では鈍化したことでインフレの高進は一時的との見方が広がった。米10年債利回りは1.4%台前半まで低下した。
しかし、市場では早期テーパリングを警戒する声が根強い。「8月の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)から9月に向けてテーパリングが示唆されるという見方が優勢となるなか、FOMCでのパウエル議長の発言が注目されている」(松井証券のシニアマーケットアナリスト、窪田朋一郎氏)という。タカ派的なニュアンスが少しでも出れば、サプライズとなる。 国内では新型コロナウイルスの感染状況やワクチン接種の進捗が材料になるとみられている。東京や大阪など10都道府県を対象に出されている緊急事態宣言は20日に期限を迎える。来週中にも解除の可否が判断される見通しで、「仮に再々延長となると、株価の上値を抑える要因になりかねない」(運用会社)と警戒する声も少なくない。直近ではワクチン接種加速を受けて景気敏感株が底堅い動きをみせているだけに、コロナ関連のニュースには敏感に反応しそうだ。
このほか、国内で5月貿易統計、中国で5月鉱工業生産、5月小売売上高などが公表される。新興株ではEnjinと全研本社がマザーズ市場に新規上場する。 (株式マーケットチーム)
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