[東京 5日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、強含みが想定されている。決算発表シーズンがピークを迎えるほか、米7月CPI(消費者物価指数)の発表を10日に控えており、旧盆休み前で商いが細るなか、全般は模様眺めムードが強くなりそうだ。ただ、ここまでに発表された企業決算の内容が概ね好調なことから、これが株価を下支えするとみられる。目先は5日の米雇用統計後の米株の動きが要注目だ。
日経平均の予想レンジは、2万7700円─2万8400円。
注目の米雇用統計に関しては、発表される数値が強過ぎず、弱過ぎず、想定内に収まれば、株価の下振れリスクが小さくなるという。市場では「強ければ金融引き締めが再び懸念される一方、弱ければ景気後退が気にされる。ほどほどの数値が、材料としていいとこ取りとなり、株価が上振れしやすい」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏)との声が聞かれ、オプション・ストラテジーのショート・ストラドルのポジション取りをしているような状況だ。
雇用統計の発表後も「決算発表のピーク、米CPIの発表控えで、見送られる可能性が高い」(東洋証券・ストラテジストの大塚竜太氏)とされ、動きに乏しい相場展開を想定する関係者が多い。ただ、経験則からは薄商いの時ほど、何かをきっかけに想定外の動きをするため「ダブルトップを形成する6月9日高値近辺の2万8300円を上抜けば、踏み上げによる大幅高の可能性もある」(雨宮総研・代表の雨宮京子氏)という。
直近の強い相場について、環境面の好転を指摘する声も出ている。大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は「原油先物がウクライナ侵攻以前の水準まで下げたことは大きい。地政学リスクでは、中国が予定通り台湾周辺での軍事演習を終了させればリスクオンに傾斜する可能性もある」と指摘していた。
また「欧米で下方修正が相次ぐ企業決算が、日本では概ね好調であることが確認されたことは大きい」(野村証券・ストラテジストの澤田麻希氏)との声が聞かれる。決算内容で株価に明暗が分かれる事例は多いが、相場全体に模様眺めムードが強くなった場合でも、好決算銘柄が相場全体を下支えする可能性がある。
タイムテーブルでは、10日の米CPIへの関心が高い。国内の決算発表では、8日の東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、10日のホンダなどが注目されそうだ。
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