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短期商品の利回り低下、ファンドが運用難に直面

 7月31日、日銀の強力な金融緩和措置で短期商品の利回りが低下し、ファンドマネジャーが運用難に直面。写真は東京証券取引所。昨年10月撮影(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 [東京 31日 ロイター] 日銀の強力な金融緩和措置がマネー・リザーブ・ファンド(MRF)やマネー・マネージメント・ファンド(MMF)など短期金融商品の利回りを押し下げ、運用難に直面するファンドマネジャーが頭を痛めている。同ファンドが運用対象とするコマーシャル・ペーパー(CP)や普通社債(SB)が日銀オペによって吸い上げられ、実態以上に利回りが低下しているとして、ファンドマネジャーの間では、「出口論」への期待が聞かれる。

 日銀が行う異例の措置は、民業圧迫につながりかねない──。短期金融商品の運用を手掛ける国内運用機関のファンドマネジャーはこう指摘する。運用会社の看板商品であるMRFやMMFの運用利回りがゼロ%に近づけば、預かり資産から得られる信託報酬が削られ運用会社の収益圧迫に直結するからだ。

 短期金融商品利回り(7月24日─7月30日の平均分配率、年換算)は、MMFが0.10─0.35%程度、MRFが0.10─0.15%程度で、年初の水準から半分以下の利回りに落ち込んでいる商品も少なくない。「日銀が金融危機対応で打ち出した異例の措置で、投資対象のCPや社債が市場から吸い上げられた結果、運用に窮しているところも出ている。これが運用利回りの低下につながっている面もある」と別の国内運用機関の関係者は説明する。

 7月31日から3カ月物の電力CP発行金利が0.14%台と、29日入札の3カ月物の国庫短期証券(T─BILL)の落札金利(最高0.1564%)を下回るなど、短期金融市場では官民逆転現象が常態化、金利形成に歪みが生じている。先出のファンドマネージャーは「日銀が運用会社の収益のために金融政策運営を行っているわけではないことは承知している。しかし、こうした短期金利の歪みが短期商品の運用を厳しくさせているのも事実」と話す。

 日銀は15日の金融政策決定会合で、9月30日に期限を迎えるCP・社債買い入れ、企業金融支援特別オペレーションなどの時限措置を12月31日まで延長することを決めた。また、野田忠男審議委員は30日の講演で、「金融環境の改善の動きがどう展開するかを見極めながら、各種時限措置の1つ1つについて日本銀行の臨時措置によるサポートが必要な状況かどうか、年末までにあらためて判断する」と語った。市場では野田委員の発言について「マーケットに醸成されるモラルハザードの調整を目的にしたものだろう。年末に時限措置が再延長されることは既定路線」(国内運用機関)との見方も多い。短期金利のゆがみは長期化しそうな様相だ。

 深刻さを増す短期商品の運用。市場では「異例の措置について、テクニカル的に微調整するのも一つの選択肢。そのためには日銀と市場の対話が重要になってくる」(国内証券の短期担当者)との指摘も出ている。

 セントラル短資・執行役員総合企画部長の金武審祐氏は「7月日銀会合の時にも、企業金融支援特別オペの適格担保からCPを外すなど何らかの見直しがあってもいいと思っていた市場参加者は少なくなかった。日銀としてはCPレートが歪んだ状態にあるということは十分承知しているのだろうが、現時点では、セイフティ・ネットを外すことによるコストの方が大きいと考えているのではないか」との見方を示す。

 そのうえで「オペの見直しの方法はいくつかあると思うが、細かく小出しにしても、マーケットが過敏に反応して利上げまでも織り込んでしまうのではないか、という懸念がある。出口政策でもっとも重要な点はタイミングという野田委員のコメントに、日銀の心理が表れている」と話した。

 (ロイター日本語ニュース 星裕康記者 田中志保記者、取材協力:岩崎成子 編集 橋本浩)

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