for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

最初の300日重要、政治主導で内需主導型経済を実現=岡田民主党幹事長

 [東京 10日 ロイター] 民主党の岡田克也幹事長は10日、トムソン・ロイター主催の「ニュースメーカー」で講演し、政権交代を実現した場合、具体的な成果を出さなければ、来年夏の参院選で国民からの支持を失うとし「最初の300日は非常に重要」と強調した。具体的な政策について、政治主導による予算の見直し・組み替えで財源を新規政策に振り向けるとともに、民主党の成長戦略として子ども手当などで個人所得を増やし、内需主導型経済を実現すると主張した。

 8月10日、民主党の岡田克也幹事長、政権交代を実現した場合、具体的な成果を出さなければ、来年夏の参院選で国民からの支持を失うとし「最初の300日は非常に重要」と強調(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 <総選挙へ「これからが大事」、政権交代に意欲>

岡田幹事長は、30日投開票の総選挙が間近に迫っている現在の心境について「これからが本当に大事な日々になる」と指摘した。

 自民党との政権をかけた選挙と位置づけられているが「民主主義国家の日本で、あらためて政権交代がテーマになるのはおかしい感じがする」と、これまでの自民党の長期政権に疑問を呈しながら「明らかに現在の日本の政治は破たんしている。4年間で総理大臣が4人替わるだけでもうまくいっていないことは明らかだ。国民は自民党に政治は担えないと感じている」と政権交代への意気込みを語った。

 政権交代実現後の政策運営に関し、来夏の参院選に言及。「具体的に変わったと実感してもらえるだけの成果を挙げないと、参院選で国民に支持してもらえない。マニフェストをしっかりやり、合わせて政と官の関係を新しい仕組みで動かし始める。最初の300日は非常に重要」との認識を示した。

 <政治主導で予算組み替え、輸出主導型成長を転換>

 先に公表した総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)について「民主党に関係する者の魂のこもった政策だ」と強調し、基本方針として「政権交代で政治主導に変えることを明らかにしている」と説明。

 具体例として「政治主導で徹底的な見直し、組み替えを行う」とし、「予算をゼロ・ベースで見直し、必要ないものはやめる。その財源を新しいところに使う。こうした予算の組み替えは政権交代をしないとできない」と主張した。

 民主党の公約からは成長戦略が読み取れないとの指摘があることに対して「従来の日本の成長戦略は輸出主導型」とした上で、これまでの成長は「改革の成果ではなく、輸出主導型企業が頑張った結果だ。その背景は円安であり、金利安」と指摘した。

 このためリーマンショック後に先進国で最も大きな影響を受けたのは日本だったとし「輸出主導型の成長モデルを大きく変えなければ、日本の将来はないと考えている」と述べた。

 内需主導型の成長実現には、個人消費が重要と強調。個人消費の活性化には、年金・医療・介護などへの重点投資や改革で中長期的な安定を確保すること、子ども手当やガソリン税の暫定税率廃止など直接的に所得を増やすこと――の2点が必要とし「そういうことを通じて個人の所得を増やし、個人消費を増やす中で、内需主導型の経済を実現していく」と、民主党の成長戦略を説明した。

 子育て支援については「このまま行けば日本の人口はどんどん減り続ける。子供を生み、育てやすい社会は、政治がしっかり実現しなければならない大きなテーマであることは間違いない」とし、「出生率を上げることで、中長期的な成長を確保することが重要」と成長維持には人口減少に歯止めをかけることが重要との認識を示した。

 一方、法人税減税に関しては「中小企業以外のところで考えているわけではない」と明言した。

 <GDPプラスでも景気回復は「楽観過ぎ」、新たな景気対策「否定しない」>

 17日に発表される4─6月期の実質国内総生産(GDP)1次速報は、輸出の回復や景気対策などを背景に5四半期ぶりのプラス成長が見込まれている。

 岡田幹事長は、GDPについて「景気回復と考えるのは楽観的過ぎる。前期があまりにも落ち過ぎた。それがやや戻したに過ぎない。自動車を中心に在庫調整が急速に行われ、それが一巡したに過ぎない」と慎重な見方を示した。

 その上で「持続的に成長していけるかは今後の問題」とし、「内需がどうなるか。同時に、アジアの国々の成長がどうなるかと言うことに当面は依存せざるを得ない。前年同期比でみると、それほど良い数字ではないと思う」と語った。

 民主党が政権を獲得した場合、先進国でも最悪の状況といわれる財政の再建に取り組むことも不可欠となる。

 岡田幹事長は「国の債務削減は、大きな政治課題」と指摘。ただ、経済活動が落ち込んでいる中では、債務削減で説得力のあるプランはできないとし「早くノーマルな状態に戻し、一定の税収を確保した上で、あらためてプライマリーバランスの黒字化や債務残高のGDP比を減らすという数値をつくる。今直ちに何か作っても、結果として意味のないことになる」と述べた。

 数値目標を打ち出す時期については「できれば来年度予算をつくる時までに、経済がある程度安定すれば、新たな目標を作りたいと思うが、そこまでに安定した状況に戻るかは不確定な要素がある」と語った。

 経済が再び落ち込んだ場合の対応については「新たな景気対策を否定はしない。状況によっては、必要性が出ることもある」と追加の経済対策の可能性に言及。その際には「来年度から行う政策を前倒しでやる選択肢もあり得る」とし、財源については「14兆円の補正予算には、まだスタートしていないものもあるし、無駄なものもある。そういうものを凍結し、その予算を将来的に使っていくこともある」と述べた。

 <日米関係は鳩山・オバマの信頼が基本、日本の成長がアジアのなかに>

 岡田幹事長は日米関係について、沖縄における基地の問題や日米地位協定の問題、インド洋の自衛隊派遣、アフガニスタンの問題なさまざまなテーマについて、オバマ米大統領と鳩山代表が人間関係を構築し、信頼関係をベースに取り組んでいくことが重要との考えを示した。

 マニフェストで言及している「緊密で対等な日米同盟関係」について、「日本防衛の義務を米国が負い、日本は米国防衛の義務を負っていないというだけをとらえれば片務的だが、その代償として日本は世界戦略の中で極めて重要な普天間や嘉手納、横須賀や、多くの基地を提供している。これは日本を守るためだけにあるわけではなく、米国の世界戦略の中で重要な位置を占めている。日本はそれだけの役割を果たしている」と強調した。

 また、核戦略を例に挙げ「日本には日本の核戦略、核軍縮、核不拡散に対する日本の基本的な考え方があって、米国の言う通りにしていれば間違いないというのでは主権国家として情けない」と述べ、「経済分野では対等だが、安全保障分野では十分にできていないので、それを転換していく」と語った。

 アジア外交については、経済での分野をはじめ日本はアジアとの相互依存関係が深まっており、将来の日本の成長はアジアの成長の中にあるとの考え方から、ともに平和で豊かなアジアをつくりたいとした。

 北朝鮮問題に関しては、北朝鮮の核保有を既成事実化してはならず、圧力をかけるとの考えを強調。その目的について「北朝鮮を対話のテーブルにつかせ、核、ミサイル、拉致の問題を解決する」と述べた。さらに、圧力をかけることで「今の体制が転換することを望んでいるのではなく、圧力をかけることで話し合いが始まることを期待している」と語った。

 (ロイターニュース 伊藤純夫 清水律子 吉池威)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up