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焦点:ミャンマー、北朝鮮の支援で「核クラブ」入りの真偽は

 [シンガポール 11日 ロイター] 国際社会での孤立を深める北朝鮮が、境遇の似たミャンマーの「核クラブ」入りを支援している可能性を指摘した報道が相次ぐ。今年5月の核実験以降、北朝鮮発の「核拡散」の脅威が高まっている。

 8月11日、国際社会での孤立を深める北朝鮮が似た境遇のミャンマーの「核クラブ」入りを支援している可能性を指摘した報道が相次ぐ。写真はミャンマー軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長。3月撮影(2009年 ロイター/Aung Hla Tun)

 クリントン米国務長官は、先月タイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で「ミャンマーへの核技術移転の可能性を懸念している」と発言し、核拡散問題にスポットライトを当てた。

 インド当局は今月5日、アンダマン諸島沖に無許可で停泊していた北朝鮮船「MV Mu San」を6時間に及ぶ追跡劇の末に拿捕(だほ)し、放射性物質の積載が無いか検査した。国連安全保障理事会(安保理)の決議に基づき北朝鮮船舶の貨物検査を行った初のケースとなった。インドの元駐米大使、ナレシュ・チャンドラ氏は「ミャンマーが北朝鮮の支援で原子炉を建設しているとの報道が出る中、正当な理由無くインド領海に入った船舶は検査対象となり、当然インドが(検査を)実施する」と語る。

 アジア地域の核保有国であるインドと中国の間に位置するミャンマーが核を持った場合、域内、とりわけ南東アジアでの核拡散リスクは重大なものとなる。

 <極秘の核施設>

 今月1日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは、ミャンマーが北朝鮮の協力を得て秘密裏に原子炉とプルトニウム抽出施設を建設中で、2014年までに原子爆弾の開発を目指していると報じた。「極秘施設」はミャンマー北部の山中の地下にあるという。

 記事によると、ミャンマーからの亡命者がオーストラリア国立大のデズモンド・ボール教授に、ミャンマーは北朝鮮とイランに対しイエローケーキ(ウラン鉱粗製物)を提供したと証言。また、北朝鮮は極秘の核施設を隠すことができるトンネルの建設を支援したとも明かしている。しかし一部のアナリストは、トンネルは米国の攻撃を懸念するミャンマー軍事政権が空爆時のシェルターとして建設した可能性を指摘する。

 元駐ミャンマー大使でもあるオーストラリア国立大のトレバー・ウィルソン教授も、亡命者の証言は信用しかねるとして、ヘラルド紙の報道に懐疑的だ。教授は、ミャンマーが自国埋蔵のウラン資源を「イエローケーキまたは類する物質」に精製練していることを示す証拠は無いと主張。その上で、ミャンマーがウラン鉱石を通常兵器やミサイルの部品や技術と交換している可能性があると見解を示した。

 <北朝鮮式マーケティング戦略か>

 危機的状況の北朝鮮経済にとって、武器の輸出は現在の主な収入源となっている。同国が5月に強行した核実験は、買い手の関心を引くための「マーケティング戦略」だったのかもしれない。

 クリントン米国務長官のタイでの発言の少し前には、米国の駆逐艦がミャンマーへ小型武器を運んでいる疑いのある北朝鮮の貨物船「カンナム1号」を追跡し、結局同船は進路を変更し北朝鮮に引き返すという出来事があった。また、イランはミサイル開発の際に北朝鮮の技術を使用しており、専門家は北朝鮮がイランの核開発を支援する可能性を懸念している。

 かたや一部のアナリストは、ミャンマー軍事政権の本当の狙いは核抑止力による脅威だけではないかとの見方を示している。だがウィルソン教授は、こうした見方に対しても否定的だ。

 北朝鮮は北東アジア地域で実際に米国の核の脅威に直面している一方、ミャンマーは違うからだ。「ミャンマー軍が国防のため核兵器を持とうと考えるわけがない。そんなことをすれば、ミャンマーはターゲットになってしまう。ミャンマーが抱える問題はいずれも核とは関係がなく、核の保有はそうした問題の解決には一切つながらない」と語っている。

(ロイターニュース 原文:Bill Tarrant、翻訳:植竹 知子)

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