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第45回衆院選:市場関係者はこうみる

 [東京/ロンドン 31日 ロイター] 第45回衆院選は、民主党が300議席を超す議席を獲得して圧勝し、同党中心の連立政権を樹立することになった。国内外の市場関係者のコメントは以下の通り。

 8月31日、第45回衆院選は民主党が300議席を超す議席を獲得して圧勝し、同党中心の連立政権を樹立することに(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

●民主党がこれまでの主張を貫徹できれば円高圧力も

 <東海東京証券 チーフエコノミスト 斎藤満氏>

 人々の期待レベルと、実際に政権与党になってからの行動はおのずと差異が生じるだろう。 

 民主党が、小沢代表代行のこれまでの主張を貫徹するとすれば、米国の圧力を主因に膨張してきた日本の財政赤字は削減方向に舵取りされ、これに伴って日本からの対米資本投資も細るだろう。 また、米国への資金還流を考慮した上で継続してきた超低金利政策も早々に解除することになるだろう。これらは為替市場では円高圧力の醸成を意味しており、民主党と言えば円高のイメージが付きまとうのも無理はない。

 しかし、これまでの主張は、あくまで野党の立場から発せられたもので、政権与党となればある程度の調整が必要だ。実際、民主党幹部は政権与党を意識し始めてから、既にスタンスを微調整してきた。

 実際にどの程度調整されるかは、米国との戦略外交を司るポストや財務省トップにどういう人物が就くかに左右されるだろう。鍵となる官僚を使える政治家やブレーンを重要ポストに配置することができれば、米国と対等な関係を構築する素地ができるであろうし、当初の主張や目標を大幅に路線変更せずに遂行できるだろう。この場合は、やはり円高のインプリケーションがある。

 いずれにせよ組閣人事が見えるまでは、為替市場で手掛かりになりにくい。

●クレジットはタイト化、参院選で新政権の評価

 <大和住銀投信投資顧問・シニア債券ストラテジスト 奥原健夫氏>

 総選挙で民主党が圧勝し、政権交代がほぼ確実な情勢となった。衆参両院における「ねじれ現象」が解消し、政治がようやく動き出す可能性が高まった。週明けの東京市場は株買いで素直に反応するのではないか。クレジット市場では、リスクを選好する動きが予想されるため、スプレッドにタイト化圧力がかかるとみている。発行体・投資家とも手控えていたため、流動性が出てくることはプラスだ。

 一方、国債市場はほぼ横ばいの動きか。株高は売り要因だが、低迷する足元の景気実態に加えて、超低金利政策を継続する日銀政策が相場を下支えする。

 民主党中心の政権が発足した場合、政策決定プロセスが官僚主導から政治主導に移行。政策のターゲットもこれまでの企業中心から、少子化対策や高速道路無料化に象徴されるように国民・消費者中心に移るだろう。

 マーケットは今後、こうした政策の実現性を見極めていくことになる。しかし、民主党は今回の総選挙で新人議員を多く抱えることになる。今後の政策運営・国会運営に不安も残る。政策を実行に移すことができない状況になれば、いわゆる悪い金利上昇を巻き起こすリスクを伴う。

 民主党は来夏に予定されている参議院選挙で政権党として、真の評価が決まるとみている。 

●民意を受けた新政権を好感、金利動向には要注意

 <SMBCフレンド証券投資情報部部長 中西文行氏>

 株式市場は民意を受けた新政権の誕生をひとまず好感することになりそうだ。民主党が単独過半数をとったことで、衆参のねじれが解消し、法案は通りやすくなる。日本株のリード役である欧米機関投資家が日本の内需関連株を改めて見直すきっかけにもなるだろう。ただ、民主党は様々な主義を持った人で構成されており、内部分裂が生じる要素を抱えている。本当に政権が安定するのは来年の参院選で過半数を確保してからだろう。

 日本株は世界の景気敏感株という位置づけで買われている。もともと、政治が株式市場に与える影響は小さい。民主党政権を好感したとしても、そのインパクトは過度に期待できない。むしろ、債券の反応が気がかりであり、国債増発懸念で長期金利が上昇するようであれば、株式市場はネガティブな反応を示すこともあり得る。

●円債は短期的には株価の動きに反応

 <三菱UFJ証券 シニア債券ストラテジスト 長谷川浩美氏>

 選挙結果自体は予想の範囲内。短期的には円債は、株価の動きを見て反応せざるを得ない。民主党圧勝で政権が安定して景気が良くなるとの期待で株価が上昇すれば、円債は売られるだろうが、株価があまり動かないのであれば、債券市場も選挙結果だけではそれほど動かないだろう。

 ただ、債券相場は下がったとしても底堅いとみている。時期的に9月の国債大量償還があるので押し目買いのニーズが強い。また、前週末発表された経済指標も非常に弱く、マクロの経済環境をみても、決して金利が上昇するような環境にはない。

 円債市場にもう少し影響が出てくるのは、10月に臨時国会が召集されてから。臨時国会の冒頭で所信表明演説があり、そこで中長期的な財政再建について民主党がどういった考えを持っているのか明らかになる。もっとも、民主党政権になったからといって財政リスク懸念プレミアムが拡大するかというと、そうではないと思う。今の日本の財政状況は、政権が交代したことではさほど変わらないだろう。

 むしろ今はマクロ経済の方が、より債券市場に影響をあたえる。週明けには鉱工業生産の結果が出るが、予想を下振れれば長期金利が再び1.3%割れを試す可能性もあるとみている。

●中期的に円高圧力

 <ソシエテジェネラル銀行外国為替本部長 斎藤裕司氏>

 総選挙では民主党が大勝したが、事前予想とおり。直後の市場への影響は限定的だろう。ただ、民主党の政策に対する財源の不安が根強く、具体的な政策がみえてくるにつれ中期的には長期金利の上昇を通じて円高圧力がかかるとみている。海外勢も新政権の対米政策をにらんで様子見になっている。今後はどういう連立を組んでいくのかや財務大臣など組閣の顔ぶれを確認していきたい。

●株にはプラス、債券にはマイナス

 <パリインターナショナル(ロンドン)のアジア株部長、ペラム・スミザーズ氏> 

 圧勝なら金融市場からプラス材料とみなされるだろう。株にとってはプラス、債券にとってはマイナスだ。民主党はさらなる景気刺激的な政策をとる意向を明確にしている。そのため、民主党圧勝は大規模な財政政策につながるとの見方が強い。

 民主党は官僚主義からの脱却を実現する可能性が高い。財務省は財政支出を伴う政策を拒否したり縮小したりすることが難しくなるだろう。

●百家争鳴でまとまりなければ円債買いの可能性

 <みずほインベスターズ証券 シニアマーケットエコノミスト 落合昂二氏> 

 民主党の圧勝で政権交代が実現することになった。民主党政権の誕生について、円債マーケットはある程度織り込んでいるため、反応は限定的と思われるが、株がどのように動くかで円債の方向感が出てくる局面が想定できる。民主党はただちに政権移行作業に入ると思われるが、多少だが組閣でつまづくリスクがあることも考えておく必要がある。百家争鳴の状態でまとまりがつかなく、政策運営がスムーズに運ばないことがうかがえた場合に、円債買いとなる可能性が出てくるとみている。

 財政に関して、民主党は「無駄遣いをなくす」と言っているが、どの部分をどう削るのか、明確になっていない。歳出を削ると言っても限界があるため、赤字国債の発行を避けることはなかなか難しい。赤字国債の発行に関して、円債マーケットは覚悟しており、想定以上に額が膨らむかどうかがポイントになってくる。現状は政策に支えられた景気の下げ止まりのため、政策の効果が薄れてくると、自然落下する弱さがあり、追加の経済対策をやらざるを得ない状況になる可能性もある。民主党政権でも財政の健全化は難しく、長期金利の上昇要因になることが想定できる。

●民主の政策のあいまいさ注視、株価上昇は限定的

 <日興コーディアル証券シニアストラテジスト 河田 剛氏>

 週明け東京株式市場は、とりあえず変化への期待感から上昇するとみている。「民主党政権」がいよいよ現実になったものの、これまでの政策論戦で財源問題などあいまいだった部分もあり、期待通りの結果になったからといっても好感されるのは限定的だろう。民主党圧勝はある程度は織り込まれていたので、今後は組閣などに市場の関心が移る。

 鳩山由紀夫代表は国債発行を増やさない意向を示しているが、それで景気対策などを実現できるのか。また、その一方、経済情勢は良くない状況がまだ続くので、財政面での舵取りをどのように考えるのかにも注視する必要がある。さらには日米関係など外交政策などについても同様で、これまであいまいだった政策がクローズアップされてくるだろう。

 2大政党制時代に移ったことによって、政権交代が頻繁に起こるようになると、政策が進まなくなる可能性がある。リーマンショック以降、公的部門の役割が大きくなってきているので、今後は政治リスクが大きな手がかりになる可能性が出てきた。

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