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インタビュー:抗インフル薬は10年秋発売を計画=塩野義

 [東京 17日 ロイター] 塩野義製薬4507.Tの手代木功社長は17日、ロイターとのインタビューで、開発中のインフルエンザウイルス薬「ペラミビル」について、今年11月初頭に厚生労働省に承認申請を行い、2010年9―10月に発売を見込んでいると述べた。

 ただ、今冬に新型インフルエンザが大流行する懸念もあり、緊急避難的に今冬に承認される可能性は「ゼロとは言えない」とし、準備を整える考えを示した。 

 <今冬供給なら30―50万人分の供給が上限>  

 本来、2010年2―3月に承認申請予定だったが「5月以降、新型インフルエンザが出てきて(治療薬の)選択肢を広げるためにも、なるべく早い申請が必要と判断した。その前に申請予定の薬があったが後ろにずらし、人員を倍にして取り組んだ」と述べ、最優先に取り組んでいる現状を説明。申請後は1年―1年半で承認されるのが通常だが「当局とも話をしながら進めているが、2010年秋口の9―10月には発売準備を整え、それまでに承認してもらえるようにしたい」とした。小児用についても追加の臨床試験を行っており「オンタイムで情報を当局に報告している」という。

 ただ、米国では、重症、緊急の患者を対象に緊急使用許可(EUA)を検討している。「確定ではないが、感染状況や広がりを見ながら、EUAを前向きに検討しているようだ」と指摘。日本では、治験と承認の中間に位置するようなEUAという措置がなく、治験で使うか承認して使うかという選択になるという。仮に、米国で使用できるとなった場合の日本での対応は「当局と話をしながら考える」とした。

 日本で承認までの期間が短縮され、今冬に間に合うように認可される可能性について、手代木社長は「タミフルとリレンザを中心にハンドリングできれば、そこまでの状況にはならず、確率的にはほとんど考えなくてよいと思っている。ただ、緊急避難的に、限定された患者向けに、という可能性はゼロではない。ベストの準備だけはしておきたい」と語った。仮に、緊急避難的に今冬に承認された場合は「30―50万人分の供給がやっと」とし、来年秋口に考えている300―400万人分の供給に対し、約10分の1の規模にとどまるという。 

 <売上高は50―100億円を期待>  

 売上高については、現在、インフルエンザ治療薬として使われている「タミフル」や「リレンザ」と並んで使われるなど、通常の状態ならば「平均して50―100億円期待できる」とした。

 「ペラミビル」は、米バイオクリスト・ファーマシューティカルズ社から導入、国内での独占的開発・販売権を塩野義が取得している。「タミフル」「リレンザ」に次ぐ、第3のインフルエンザ治療薬として期待されている。飲み薬の「タミフル」、吸入薬の「リレンザ」と異なり、「ペラミビル」は点滴注射薬であるため、重症患者や高齢者でも使いやすい点が特徴。1回の投与でタミフルの1日2回5日間投与と同等の効果が得られている。 

 <海外は米国を強化> 

 同社は、2010年3月期を最終年度とする第2次中期経営計画の中で、「中国市場への展開」を掲げていた。ただ、手代木社長は「現時点では米国市場でのプライオリティを高くしている」とし、昨年買収した米サイエル社を中心に米国を強化する方針を示した。アジアや欧州、その他の地域については「パートナーを見つけて、販売のほとんどの部分をお願いするのが現実的だ」と語った。

 サイエル社は、予定していたビクトリー社の買収を断念したが「継続して、次の対象がないか検討している」と述べた。

 (ロイターニュース 清水 律子記者 西谷 優美子記者)

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