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雇用情勢に変化の兆し、サービス業が新たな受け皿の見方も

[東京 2日 ロイター] 輸出・生産の持ち直しを背景に、悪化傾向が続いてきた雇用情勢に変化が起きるのではないかとの見方が浮上している。8月の完全失業率は7カ月ぶりに改善し、有効求人倍率も前月比横ばいとなった。

 10月2日、輸出・生産の持ち直しを背景に、悪化傾向が続いてきた雇用情勢に変化が起きるのではないかとの見方が浮上。写真は都内のオフィスビル。9月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 エコノミストの間では、今回の好転は一時的なもので、来年にかけて失業率は6%台に悪化するとの見方がある一方で、サービス業が雇用の受け皿になるとの声も出ており、新たな展開を見せる可能性も出てきた。

 7カ月ぶりに改善した8月完全失業率(季節調整値)は、前月の5.8%から5.5%に改善し、有効求人倍率は0.42倍と前月に並び過去最悪だったものの、横ばいは昨年5月以来だった。

 景気回復期に求人が出始めると、就業をあきらめていた人々が職探しを始めるため、失業率は悪化しやすい。しかし、今回の局面では就業者が7カ月ぶりに増加に転じ、失業者数は前月比14万人減と7カ月ぶりに減少。「非自発的な離職」による失業者も減少するなど、昨秋のリーマンショック以降に加速した雇用調整に歯止めがかかってきた。

 ドイツ証券・シニアエコノミストの安達誠司氏は、「雇用は加速度的に悪くなる状況ではなく、次第に一進一退の形となる」と分析する。 

 1日に発表された日銀短観9月調査でも、雇用人員判断DI(過剰─不足)は全規模・全産業で20と7四半期ぶりに過剰感が縮小。UBS証券・シニアエコノミストの会田卓司氏は、このDIが改善すると循環的な景気回復が持続する確率が高まる傾向があることに着目し「失業率の上昇圧力はまだ残り、来月は反動で若干上昇するだろうが、悪化ペースは緩和してくる可能性が出てきた」とみている。

 先行きの鉱工業生産の増産ペースは需要下振れで鈍化する可能性もあり、今後の製造業の雇用環境は磐石ではないものの、サービス業が雇用の受け皿として機能することも考えられる。医療・福祉や宿泊・飲食といったサービス業の雇用はこのところ増加しており「製造業からサービス業への雇用シフトが予想よりも順調に進行している可能性がある」と会田氏は分析している。

 鳩山政権が掲げる子育て支援や介護・医療などの諸政策が実現されれば、サービス業の雇用創出も期待できるとの見方も出ている。

 もっとも、求人自体は存在するものの、賃金や労働時間、年齢、職業能力の条件が合致しない「雇用のミスマッチ」が今後一段と問題になるとの指摘もある。シティグループ証券・エコノミストの劔崎仁氏は、そうした問題を背景に「失業率は2010年半ばに6.3%まで悪化する」との見通しを示している。 

 政府の雇用調整助成金制度についても「雇用悪化をかなり食い止めている。年末から年始にかけて失業率は6%台まで悪化する」(大和総研・経済調査部の橋本政彦氏)との指摘もある。

 景気持ち直しを受けて、ようやく出てきた雇用の下げ止まり感の行方には、サービス業の求人状況や政策運営も大きな影響を及ぼしそうだ。 

 (ロイター日本語ニュース 寺脇 麻理記者;編集 田巻 一彦)

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