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日本以外はドル安歓迎か、リスク許容度上昇で商品や株押し上げ

 [東京 7日 ロイター] 投資家のリスク選好姿勢が強まり、ドル安が進行している。米低金利政策の長期化をにらんだ投資家が、ドルから高金利国の通貨や株式、金などに資金をシフトさせているためだ。

 10月7日、投資家のリスク選好姿勢が強まり、ドル(写真)安が進行している。昨年1月撮影(2009年 ロイター/Beawiharta)

 長期的にドル安は米国のファイナンス懸念などを想起させるが、短期的には米国にとってもデフレ阻止効果などメリットをもたらす。円高が重しとなり出遅れている日本株を除けば、現時点では概してマネーの好循環を生み出している。

 <ディスインフレに悩む米国、ドル安は好材料の声> 

 9月24─25日に米ピッツバーグで開催された20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で早期の「出口戦略」が否定され、米低金利が長期化すると読んだ投資家は、ドルからリスク資産への投資を拡大させている。

 6日の商品市場では、金が1オンス=1040ドルを突破し、史上最高値を更新。米原油先物は70ドルを突破してきているほか、ばら積み船運賃の国際指標であるバルチック海運指数なども3週間ぶりの高水準となっている。

 また、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は6日、G20の中で金融危機発生後初めての利上げに踏み切ったが、マーケットは米国の超金融緩和政策が「出口」に近づいたとは解釈せず、世界経済に回復の兆しが見られるとポジティブに受け止め、米株は続伸した。

 前週まではさえない米マクロ指標を嫌気して株価は調整していたが、潤沢な流動性を背景に地合いに変化が起きている。

 JPモルガン・アセット・マネジメント・エコノミストの榊原可人氏は「投資家のリスク許容度の回復に伴いドルから高金利通貨などへのシフトが起きている。金融混乱で極端に低下したリスク許容度の回復は歓迎されるし、ドル安はディスインフレに悩む米国にとってもプラスだ。継続的なドル下落は米国のファイナンス問題を浮上させるが、インフレ率が上昇するような将来の問題であり、現時点でのドル安は米国にとってプラス面が大きいだろう」と述べている。

 <トリシェECB総裁の会見でドル売り圧力を測る外為市場>

 外為市場では「ドルの先安観は変わっていない」(邦銀)という。JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長の佐々木融氏は、オーストラリアが12月にも0.25%の利上げを実施し、豪ドルは来年半ばまでに0.93ドルまで上昇すると予想している。

 前日の豪利上げをきっかけにあらためてドル売りが意識される中で、8日の欧州中銀(ECB)理事会やトリシェ総裁の会見に注目する声も出ている。「ドル売り圧力の強さを測るイベントになりそうだ。タカ派的な発言が出ればドル売りを加速するだろうし、ハト派的な発言であってもユーロの下値が堅ければあらためてドル売りが強まる」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木氏)という。

 <ドル円相場との相関強まる円債市場>

 円債市場では、ドル/円との相関が急速に強まっているとの指摘が出ている。バークレイズキャピタル証券の試算によると、円債金利とドル円の相関係数を20日間程度の短期で見ると、一時反落していたが、このところ急速に上昇。50日間や100日間といった長い期間で見ても、過去数カ月間は10年債金利とドル円の相関係数は高いという。

 同証券・チーフストラテジストの森田長太郎氏は「グローバルに見れば、最近の株価上昇・長期金利低下の動きを流動性相場というキーワードで説明することが可能で、この流れが日本株と円債金利の長期的な相関の低下にも影響しているとみられるが、日本市場のグローバル市場との相違点としては、円独歩高という状況の中で為替によるデフレ圧力が強まっていることがある」と指摘。「今後、円の反落が起きた場合には、一時的とはいえ円金利の上昇要因となる。ドル円がどのレンジに定着するかによって、円債金利のレンジも影響を免れないだろう」と話す。

 <投機的円高の修正あれば、日本株の出直り加速も>

 一方、ドル安で割を食っているのが日本株だ。対ドルで90円を割り込む円高が輸出企業の業績圧迫懸念を強めている。米ダウが今週に入り2.6%上昇しているのに対し日経平均は7日前場までで1.1%の上昇にとどまっている。「金融株には買い戻しが入っているが、海外勢はリバランス中心。ニューマネーは乏しい。円高による業績懸念で国内勢は動けないようだ」(準大手証券トレーダー)という。中長期的には自国通貨高のメリットを享受すると期待されるが、短期的には円高が相場の心理的な重しとなる構図は変わっていない。

 東海東京証券・エクイティ部部長の倉持宏朗氏は「海外から中長期運用資金が入って底上げの動きとなっている。投資判断の引き上げによる個別株の物色もみられる。ただ、これから始まる7―9月期企業決算について楽観的な見方が広がっている米国と違い、国内企業は円高による業績下振れ懸念が拭えない」と述べる。

 ただ、円自体が上昇する理由は乏しいとの見方も聞かれる。三菱UFJ投信・戦略運用部副部長の宮崎高志氏は「対ドルでは円高が進んでいるが、実効レートではそれほどでもない。米国と同様、日本も低金利を当面続けざるを得ないとみられているためだ。現在の円高はスペック筋の動きが背景にある。投機的なポジションが巻き戻されれば、円安に転じ、日本株の出遅れ感も修正される可能性があろう」と指摘している。

 (ロイター日本語ニュース マーケットチーム)

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