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信用買い残が相場の圧迫材料に、銀行株の需給悪化目つ

 水野 文也記者

 10月7日、株式相場全般が下げ一服となる中で、膨らんだ信用買い残が株価を抑える材料になると懸念されている。写真は都内の株価ボード。7月撮影(2009年 ロイター)

 [東京 7日 ロイター] 株式相場全般が下げ一服となる中で、膨らんだ信用買い残が株価を抑える材料になると懸念されている。今週半ばから本格化する米国企業の決算発表が好調な場合、株価は反転に向くとの期待が生じているが、これまでの下げ過程で信用取引を利用して買った個人のヤレヤレ売りが戻り相場を鈍らせるとみる関係者が少なくない。

 とりわけ、需給悪化が目立つ銀行株が先行きの相場に圧迫感を与えそうだ。

 7日の東京株式市場は続伸。企業決算が想定よりも好調との楽観的な見方から米国株式市場がしっかりとなったことを受け、為替相場が円高に振れているのにもかかわらず、上値を追う展開となった。

 7日にはアルコアAA.Nの決算が発表されるが「7月はアルコアの決算あたりから米株は戻り始め、9日続落した日経平均は、その後9連騰と急速に切り返した」(みずほ証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏)との連想が働いている。また、市場の注目度が高い米半導体大手インテルINTC.Oについて「来週の決算発表前に先取りする動きが出ている。パッケージをインテル向けに供給しているイビデン4062.Tなどが買い人気になった」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)との指摘もあった。

 ところが、こうした環境面で楽観論が台頭しながらも、上値について慎重にみる市場参加者が少なくない。信用買い残の増加によって需給面に荷もたれ感が生じているためだ。

 東京証券取引所がまとめた10月2日申し込み現在の3市場信用取引現在高(概算)によると、金額ベースで売りが8212億4500万円(前週比786億7300万円減)買いが1兆6344億8400万円(前週比107億9200万円増)で、信用倍率は1.99倍と前週の1.80倍、2週前の1.69倍から取り組みが悪化している。

 信用買い残は将来の売り要因となるが、相場が上昇している局面では気にされることは少ない。今回の増加は下げ局面において「個人が値ごろ感やリバウンド狙いで買ったものの、その後も相場は下げ続けたため裏目に出る形となり、上値のシコリ感を強くした」(準大手証券情報担当者)という。買い残の増加は、戻り売り圧力が強くなったというだけではなく、信用取引で買い建てたまま「塩漬け」状態になったままでは資金が「死に金」となってマーケットに還流しなくなる点も注目されている。

 個別銘柄でみると、コマツ6301.Tや東芝6502.Tなど売り残も高水準で取り組みが良好な銘柄も少なくないが、主力の輸出関連株の中には下げによって買い戻しが進む一方で新規に買われ、信用倍率が上昇した銘柄が目立つ。とくに、需給悪化が顕著なのは、個人投資家に人気が高い銀行株。みずほフィナンシャルグループ8411.Tの買い残は4億6000万株に達したが、売り残は4000万株に満たない状態であるなど潜在的な売り圧迫感が強く、需給の整理に時間を要するとみられている。

 例外的存在となったのは、公募増資の発表で急落した野村ホールディングス8604.Tだ。同社株は、直近1週間で買い残が1000万株増加する半面、売り残はそれを大幅に上回る3500万株の増加を記録。公募価格が時価水準を大幅に下回るとみて、先回りする形で「つなぎ売り」した投資家が多かったと推定されている。野村HDは5日に公募価格が568円に決定した後、急速な戻りを演じているものの「公募に応じて買い埋めすると損が確定するため、公募価格以下で売り建てた投資家の中には買い戻しを急いだ向きもいたのではないか」(SMBCフレンド証券・シニアストラテジストの松野利彦氏)という。

 こうした信用買い残の増加について市場では「信用取引の期日が6カ月である点を踏まえると、来年の1─2月くらいまでは需給面の重石になる可能性がある」(大和証券SMBC・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏)との声が出ている。

 ただ、一方では「円高懸念はあるとは言え、ミクロ面で企業業績の回復が確認されれば見直し買いが流入することになる。当面相場は、業績回復の期待感と、需給の荷もたれ感の綱引きになるのではないか」(コスモ証券・投資情報部副部長の清水三津雄氏)との指摘もあった。

(ロイター日本語ニュース 編集 宮崎 大)

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