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豪利上げ後にマネー逆流の兆し、東京市場では株安/円高

 [東京 29日 ロイター] 東京市場では、株安/円高が進んでいる。表面上は、弱い米経済データや米株安が材料視されているが、マーケットの中では、今月6日に実施されたオーストラリアの利上げ後、商品や高金利通貨にシフトしていたリスクマネーが逆流し始めたのではないかとの思惑が浮上している。

 10月29日、豪利上げ後にマネー逆流の兆しが見られ、東京市場では株安/円高が進行。写真は都内の株価ボード。7月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 過剰流動性相場が転機を迎えたとみる参加者の中には、米金融当局が出口戦略を発動するのではないかと神経質になる向きも出始めた。だが、弱い経済データが出てきている中で早期の引き締め転換を予想する見方は少なく、相場調整の材料に使われているとの声も出ている。

 <日経平均は1万円割れ>

 株式市場で日経平均が続落し、約3週間ぶりに1万円を割り込んだ。9月米新築1戸建て住宅総販売戸数が予想外の減少となり、米国株が大幅安となったことに加え、ドル/円が90円台まで円高となり、輸出株を中心に売りが先行した。「世界的な景気回復の一服感や、オーストアリアの利上げで始まった金融引き締めへの転換などを受けて、グローバルに資金回収の動きが出ている」とインベストラスト代表の福永博之氏は指摘する。

 さらに「その流れの中で、商品や株が売られている。次のステージを前に様子見となっているが、株価反転のきっかけは探しづらい」と話す。

 他方、東洋証券・情報部長の大塚竜太氏は「世界的にリスクマネーの巻き戻しが起きているが、マーケットのファンダメンタルズに対する見方が大きく変わったわけではない。米住宅市場も基本的に底打ちの方向にあり、時折出る悪い指標が後付け的に売りの材料として使われている印象だ」と分析する。

 その上で日経平均の下値メドは9800円程度とし、「今週から本格化している企業決算発表でも、好決算ながら円高や全体的な株安で、株価の反応が限定的になっているケースも目立つ。ある程度の業績回復は織り込み済みとはいえ、外部環境が好転すれば再評価も期待される」とみている。

 消費者信頼感指数や新築住宅販売など足元の米マクロ指標が予想を下回ったことで、米国景気は減速懸念が高まっている。日本株は米国株との連動性を強め、29日朝方に発表された国内の9月鉱工業生産指数速報が前月比1.4%上昇と事前予想(1.0%上昇)を上回ったものの、株価下支えの効果は限定的だった。

 こうした弱気の市場センチメントに対し、ソシエテジェネラルアセットマネジメントのチーフエコノミスト、吉野晶雄氏は「米国の景況感が悪化していることは明らかだが、1―3月期をボトムとする急速な回復が多少なえているにすぎない。米国の経済対策は日本と異なり2年越しの計画であり、2010年にかけて効果は持続する。米景気の二番底を懸念するのは杞憂だろう。予想を上回る企業決算も多く、ファンダメンタルズは悪くない」とみている。

 市場は米金融政策の出口論にも神経質になっているが、吉野氏は「80年代前半のインフレが急速に進行した一時期を除いて、米連邦準備理事会(FRB)が失業率の上昇過程で引き締めに動いたことはない。むしろデフレスパイラルに陥らないかどうかを見極める必要がある。米国の株価は年末商戦の盛り上がりをにらみ、11月後半にも反転に向かう」と予測している。

 <円買い戻し、FOMCにらみの調整との声>

 外為市場では、米金利の低下や株安などを受けて円が幅広く上昇。対ドルで一時90.35円と20日以来1週間ぶり、対ユーロで132.81円と2週間ぶり、対豪ドルで80円後半と3週間ぶり高値を付けた。

 上昇しているのは円だけではない。円安進行と同時に大きく売り込まれてきたドルも反発基調にあり、対ユーロで1.46ドル後半と2週間半ぶり、対豪ドルも0.89ドル半ばと3週間ぶり高値をつけるなど、10月初旬にかけて進んだ「ドル安/円安」と正反対の動きが強まっている。

 市場では、株高や米金利上昇の一服、予想を下回る米経済指標などが、最近のドルと円が上昇する背景との指摘が多い。しかし、ある都銀のチーフディーラーは、現在の動きはポジション調整の域を出ないとみる。「11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、テクニカル的に調整が入りやすい水準まで動いた株・金利などの各資産市場で調整が入っている。通貨市場も同様だ」。月末特有の動きも加わるため、目先的に不安定な動きが続く可能性もあるが、調整が一巡すれば市場は落ち着きを取り戻しそうだという。

 市場では、オーストラリアに続き、ノルウェーも28日に利上げしたことで、利上げの動きがさらに広がるのではないかとの見方も出てきた(〔情報BOX〕次に利上げが予想される国・地域を参照[ID:nJS8501172])。ある国内証券の関係者は「オーストラリアの利上げ以降、インドでも引き締めに転じるのではないかという思惑も出て、リスクマネーがいったん調達通貨のドルや円に戻る動きもあるようだ」と話す。ただ、その関係者は「米欧が本格的に出口を模索すれば、この逆流の流れが本格化するが、今はまだ、相場の調整の一場面にすぎないだろう」と予想している。

  (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 山川 薫)

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